【感想・ネタバレ】下山事件 最後の証言 完全版のレビュー

あらすじ

「あの事件をやったのはね、もしかしたら、兄さんかもしれない…」祖父の23回忌の席で、大叔母が呟いた一言がすべての発端だった。昭和24年(1949)7月5日、初代国鉄総裁の下山定則が三越本店で失踪。翌6日未明、足立区五反野の常磐線上で轢死体となって発見された。戦後史最大のミステリー「下山事件」である。陸軍の特務機関員だった祖父は、戦中戦後、「亜細亜産業」に在籍していた。かねてからGHQのキャノン機関との関係が噂されていた謎の組織である。祖父は何者だったのか。そして亜細亜産業とは。親族、さらに組織の総師へのインタビューを通し、初めて明らかになる事件の真相!日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞受賞のベストセラーに、新たな取材、情報を加筆した完全版、待望の電子化!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

わたしが生まれたのは昭和42年。
当時は「戦争なんて遠い昔の話」と思っていましたが、生まれる二十年ほど前は戦時中でした。
57歳になった今にして思えば、それほど遠い昔のことでもなかったのだと今更ながら驚いています。

そういえば少年時代はテレビドラマや漫画のそこかしこで戦後の重苦しい雰囲気の残り香を嗅いでいたような気がします。
また帝銀事件や下山事件といった未解決事件の情報に触れて、日本の暗部に触れているような何とも言えないおどろおどろしい気分を味わったものです。

下山事件のことは国鉄総裁である下山定則さんが突然行方不明になり、轢死体となって発見されたことくらいしか覚えていませんでした。
下山総裁は戦後の混乱期にあって複数の社会的な断層の狭間に置かれていたこと、そして、どの断層がこの結末をもたらしたとしても不思議ではない状況であったようです。
著者の柴田哲孝さんの祖父はこの事件に深く関係したと疑われる会社に籍を置いており、そのことが一層事件に生々しいリアリティを与えています。
ノンフィクションではあるもののスリリングな展開に息を飲みます。

他にも柴田さんは下山事件について2冊の本を書かれています。

「下山事件 暗殺者たちの夏」
「下山事件 真相解明」

「暗殺者たちの夏」は「最後の証言」で得た情報に基づいて書かれたフィクション、「真相解明」はその後に得られた情報も含め名指しこそ避けているもののこの事件の犯人を特定しています。
ただ、個人的には誰が犯人であるかは大きな問題ではなく、この事件の背景にある社会構造に興味を持ちました。
というわけで、おすすめは「最後の証言(完全版)」です。日本の戦後史に興味を持つよいきっかけになりました。

戦国時代や明治維新の話は間違いなくおもろいですが、直接的に現代社会の骨格を形成したこの時代の話はもっともっと勉強せねばと思いました。
兎に角、去年読んだ本のなかではダントツでおもろかったです。

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2025年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

下山事件最後の証言

完全版

祥伝社文庫 し8-3

柴田哲孝/著
出版社名祥伝社
出版年月2007年7月
ISBNコード978-4-396-33366-9
(4-396-33366-8)
税込価格943円
頁数・縦602P 16cm
内容紹介
【増補完全版】 W受賞 日本冒険小説協会大賞 日本推理作家協会賞 昭和史最大の謎に挑む! 「私の祖父は実行犯なのか?」 「私の祖父は、実行犯なのか?」昭和24年7月6日、初代国鉄総裁下山定則(しもやまさだのり)が轢(れき)死体で発見された。戦後史最大の謎「下山事件」である。戦時中は陸軍、戦後はGHQの特務機関員だった祖父。彼が在籍した「亜細亜(あじあ)産業」に蝟集(いしゅう)する政財界人、日米諜報員の実態を親族、特務機関長の生々しい証言をもとに暴(あば)く第一級のドキュメント。新たな取材、情報を加筆した完全版!
以上E-honより引用

レビュー
旧版のほうで感想は書きつくしたが、完全版がどこを補訂したのかはっきり書かれていないのでまた再び
読み直すことになってしまった。
ドン・シャグノンが帰国してから日本の知人に送ってきた書簡が補訂されたメインだろうか?
完全版でも下山事件の真の黒幕はx何某で実名は書かれていないが、文脈から考えると田中清玄らしい。
満足度★★★★+0.5

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2024年07月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後史上最大の謎といわれる「下山事件」。その実行犯は自分の祖父なのではないか? という疑問から始まる、とてもスリリングなレポでした。吉田茂、白洲次郎、伊藤律などなど、聞いたことのある人物の名前が次々と絡んできて面白かった。
自殺か他殺かも意見が別れるなか、最後の証人・柳井乃武夫が、「"自殺説"というのはまったく考えられない。線路上の轢死体を我々はマグロと言うんですがね。運転士には本当に迷惑な話なんです。それを運転士の親方の、運転屋で一生暮らしてきた下山総裁が自ら飛び込んでマグロになるなんて、絶対にあり得ないんです。当時の国鉄内部の空気としてはそうでしたね」と証言したというのは、泣ける。

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2018年07月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

事実は小説より奇なり、とは本当ですね。マンチュリアンリポートの次に読んだということも偶然にしては奇妙でした。昭和、戦後の日本のことをもっと知らないといけないと感じたし、国民の知らないところで壮大な駆け引きが行われている政治の舞台はきっと現代も同じなんだろうな。郵政民営化の裏側にもアメリカがみえかくれ。。。けど読んだら私まで消されそうwで怖かったです。

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2012年10月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦後の動乱冷めやらぬ時期、「松川事件」「三鷹事件」と共に国鉄の3大事件と呼ばれる謎多き事件。いつかは読みたいと思い続けていた「下山事件」のノンフィクション。

昭和24年7月、GHQの占領下にあった日本で、国鉄総裁だった下山定則が轢死体で発見された「下山事件」。自殺説、GHQ、CIAの陰謀説、大量馘首に端を発した労働組合による殺人、ソ連による暗殺説など様々な説が取りざたされながら、今も真相は闇の中に沈み、関係者もほとんどが鬼籍に入っている。
筆者は、事件にかかわったかもしれない男の孫として、貴重な親族の証言を得ながら、これまでのジャーナリストとは違った切り口で事件を検証していく。

一人の男が殺されたというだけに留まらない、重く、深く、暗い事情が目の前に示されるとき、自分の暮らす国のこれほどの闇を知ることへの躊躇に何度か挫折しかかった。
好奇心だけでは言い表せない何かに突き動かされ最後まで読んでみたけれど、やはり真相はいまだ霧の中。ん~はっきりしない。当時、関わった数々の人物が、不審死を遂げた事実を思うと、すべてを明らかにするのは筆者とて危険なのかしら?

国を動かしているのは誰だろう?という素朴な疑問が消えない。同じ思いをグリコ森永事件のノンフィクションを読んだ時にも感じたのを思い出した。
警察の捜査はもちろん、政治家をも操る右翼やフィクサーと呼ばれる存在。GHQによる占領が終わると、経済によるある意味軍隊なき占領があり、では現在は?

関東軍、満鉄、国鉄に群がる利権、国鉄民営化構想・・・下山という一人の男の死を突き詰めていくと、戦前にまで行き着くという闇の深さに愕然とする。
そして、それは今に至るも大きくは変わっていないのかもしれない。国を動かしている力を本当には知らないんだな~と思い、知らない方が幸せなのかもしれないとしみじみ感じた読後でした。

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2019年08月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

先に「暗殺者たちの夏」を読んだが、そのきっかけとなっている本書を読んでみた。
森氏の本で「彼」の伝聞でぼやけていたところが明確になった。
また森氏の記述における誤りを訂正している。
昭和史に明るくないので最後のほうは難しかったが、身内が関わっているかもしれないが真相を知りたいという心を感じる一冊だった。

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2016年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 前半の下山事件の詳細は、分かりやすく参考になりました。小説のように読めました。
 これまでも多くのひとが検証しきて、様々な説を唱えており、年数もたっていいることから新説を導き出すのは難しかったのでしょう。だんだん話が広がってきて、最後の方ではユダヤ資本まで登場した時には、少しくらっときました。

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2013年02月18日

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