あらすじ
国力を左右する主な要因は軍事力や工業力、あるいは人口だと考えられることが多い。だが多くの識者にとって盲点となっている重要なファクターが一つある。「物流」である。漢の武帝はヨーロッパに先駆けて、物流に国家が介入するシステムを構築して財政を安定させた。オランダはバルト海地方から輸入した穀物を、食料不足にあえいでいた欧州各地に運搬することで覇権国家となり、イギリスではクロムウェルが航海法を制定したことがパクス・ブリタニカ(イギリスの平和)の要因となった。さらにヴァイキングを駆逐したハンザ商人から、社会主義国家の決定的な弱点まで、経済史研究の俊英が平明に語る。 【内容例】■フェニキア人なくしてローマ帝国はなかった ■イスラーム王朝はいかにして国力を蓄積したのか ■国家なき民は世界史をどう変えたのか――アルメニア人、セファルディム ■アメリカの「海上のフロンティア」とは
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Posted by ブクログ
情報だけ届いても、実は世界は動かない。
実際に物が(経済的に許容できるコストで)動くってのは凄いよねってのと、今読んでいる「東インド会社とアジアの海」にも繋がるなあと思って読んだモノの、いくら新書でもさすがに軽すぎる。浅すぎる。ちょっとがっかり。
特に、著者独自の見解?であるディアスポラ後のアルメニア人、ポルトガル系ユダヤ人の役割の大きさについて、裏付けるモノが少なく、語尾が「思われる」ばかりになっていて、ちょっとそれでは困る…
産業革命よりも、航海条例こそが、英国の世界帝国化に大きな役割を果たしている!とか、「世界の工場」よりも「世界の物流の支配」の方が大きいとかについては、裏付けが提示されていた(様に思えた)事と、中国が「世界の工場」とかした後も揺るがない、現在の米国の優位性に繋がるモノを読み取れた。