あらすじ
【倉知淳ノンシリーズ作品集成第一弾】死神を思わせる風貌の警部が、完璧だったはずの殺人計画を徐々に崩壊へと導いてゆく――倒叙ミステリ「運命の銀輪」をはじめ、残虐な場面が映し出されているにもかかわらず観客席の闇の中で微笑を浮かべる女性の謎を追いかける「闇ニ笑フ」、米大統領選挙の熱狂の最中に発見されたひとつの死体の謎をファンタスティックな筆致で描く力作本格推理「幻の銃弾」など7編収録。たくらみに満ちたミステリ・ワールドを二分冊で刊行!【収録作】「運命の銀輪」「見られていたもの」「眠り猫、眠れ」「ナイフの三」「猫と死の街」「闇ニ笑フ」「幻の銃弾」/単行本版あとがき
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Posted by ブクログ
ノンシリーズの作品を集めたミステリ短編集。
猫好きはより楽しめる「眠り猫、眠れ」と「猫と死の街」、倒叙ものの「運命の銀輪」、日常の謎を追う「ナイフの三」など、七つのお話。
取り立てて派手さのない普遍的な雰囲気に安堵しながらページを繰っていくと、不穏な空気を膨らませて物語を盛り上げていく手腕が素晴らしく、一気に読みました。
ただ、お話の雰囲気作りはうまいのですが、真実を隠すために偽装を重ねる犯人の話が多く、その偽装があり得なさすぎて本格ミステリとしては腑に落ちない読後感でした。
どの短編もひねった作りなのは、悪への警鐘とか社会への糾弾といった作者の強いメッセージ性が込められているからなのかと思いましたが、そういうわけでもなさそうです。
後書きも蛇足って感じで・・・倉知さんのノリは自分には合わないみたいです。