【感想・ネタバレ】蟇の血のレビュー

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Posted by ブクログ

こういうマンガが読みたかった!怪談文芸の祖・田中貢太郎の傑作を、偉才・近藤ようこが鮮烈に視覚化。日本の幻想文学が恍惚の衣をまとった。



高等文官を志す若者・三島譲が山の手で住む先輩の家で「海岸で出会った女の話」をした帰り道に巻き起こる不可思議、あとがきで近藤が語るよう、「昭和のエログロナンセンスを先取りするような、奇妙で可笑しく、しかもわけがわからない恐ろしい話」だ。

闇夜の中に幻灯機が映しだしたかのような怪しさを、近藤の丁寧でしとやかな時間のながれ、淡麗な筆づかいが見事に現出させている。いかがわしく執拗に迫る女たちの異様さ、主人公の所在の不安定さは、原作(青空文庫でも読める)の恐怖をはるかに上回っているのではないか。

もしこれが夏目漱石による作であれば詩的で禁欲的な趣になったであろうし、丸尾末広が漫画化していたなら退廃的な狂喜乱舞に堕ちていったであろうことを思うと、本作のコラボは実に均整の取れた傑作だと言わざるを得ない。

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2018年09月04日

購入済み

一夜の怪異譚

田中貢太郎の小説を漫画にするのは大変だったろうなと思いますが、とても見事でした。素晴らしかったです。
まさにエログロナンセンス!作画からはあの時代特有の空気感と言いますか、闇がまだ今よりも身近にあった時代の不安定なものを強く感じます。妖しくて艶っぽい一夜の怪異譚です。
物語はナンセンスなので、多分ビックリするであろう衝撃的な結末にはっきりとした説明はありません。なのでモヤモヤ感が嫌or消化不良な話は苦手という方には向かないかな。
私は楽しみました!

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2020年03月15日

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