【感想・ネタバレ】「豊かさ」の誕生(下) 成長と発展の文明史のレビュー

あらすじ

明日の日本はどうなる?
国家の繁栄が、社会・政治・経済・軍事に与える影響を考察する

「私有財産権」「科学的合理主義」「資本市場」「輸送・通信手段」――これら4条件がそろった国では爆発的な勢いの経済成長が始まり、国民生活の「豊かさ」も大きく引き上がる。19世紀初頭に始まる西洋諸国の勃興から、戦前・戦後における日本の驚異的な成長、そしてイスラム諸国の停滞の原因に至るまでを、壮大なスケールで描き出した文明史。

第2部では、4つの要素がいつ、どのようにして作用するようになったかを述べる。まずはオランダで、次にイギリス、アメリカで相互作用が起こり、その後残りのヨーロッパと日本が続き、最後に日本以外の東アジア、という順番だ。それぞれの事例を分析することで、4要素がすべて揃わないかぎり、国が繁栄することはないということを明らかにする。

第3部では、豊かさの誕生に端を発する個人間、国家間の富の格差がどのような社会的、政治的、経済的、軍事的帰結をもたらしているかを徹底的に考察。経済成長が行き着く先の未来に何が待ち受けているかにも想像をめぐらせている。

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Posted by ブクログ

上に続いて、歴史と経済のマリアージュ、めちゃ面白いです笑

中国が経済成長を経て民主化することを願う。

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2022年03月15日

Posted by ブクログ

下巻を読み終わったのが通勤電車の中。視線を上げると中吊りに「徳川宗家十九代 徳川家広氏プロデュース 葵もみじ」ともみじ饅頭の新製品の広告が…えっ!いま読み終わった本の訳者って江戸幕府将軍の末裔?とびっくり!と、どうでもいい偶然なのですが、さすが徳川三百年の直系の翻訳による本書は巨視的な視点で「豊かさ」というすべての国が追い求めるテーマを追い込んでいきます。上巻では数々の変革者たちのエピソードを編み込むように「豊かさ」の歴史を描いていましたが、下巻ではデータを駆使して「豊かさ」の意味を著しています。特に「繁栄は民主化をもたらすかもしれないが、民主化そのものは繁栄を約束しないのだ。」という分析には衝撃を感じました。(著者はこのポイントでアマルティア・センにも噛みついています!)また民主主義の行き過ぎがポピュリスト政府を生み、それが衰退産業の保護を含め、非生産的施策を実施させる、という指摘は現在のBREIXTやトランプ大統領、またフランス大統領選で行われていることと予見しています。高度に発達したグローバル資本主義がどのように生まれたのかを物語る本書は、それがこれからどうなるか?を議論する時にマストな本だと思いました。

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2017年05月02日

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