あらすじ
かくも人間は騙(だま)し、騙される。
フェイクニュース時代にメディアリテラシーを高めるための必須教養が「偽書(フェイク)の歴史」だ!
「ユダヤ人大量虐殺の根拠はなんと一冊の「偽書」にあった……」
本書では二十九の古今東西の「偽書」を挙げ、それがどのように世に出て、信じられ、「偽書」と暴かれたかを紹介する。
なかには、「偽書」と知らないで読んでいた本もあると思う。
この世界は奥が深く、「偽書」と断定できないものもけっこうあるのだ。(中略)
巷にたくさんあるフェイクニュースに騙されないためには、人類がいかに「偽書」に騙されてきたかを知る必要がある。
フェイクニュースの真贋を見抜く眼力を養うために本書を役立てていただきたい。
――というのは本音だが、実はもうひとつの本音もある。
「偽書」は「読み物」として面白いのである。
もちろん、「偽書」と知ったうえでの話だが、多くの人が騙されるだけあって、実によくできている。
そういうわけで、不謹慎かもしれないが、本書は「面白い本」のガイドブックでもある。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
古今東西の怪しげな本を紹介する。名前だけなら知っているが、その内容、成立過程を知ることができた。クライスラーが「発見」した曲を聴いてみたいと思う。しかし、日本に竹内文書あれば、西欧にはウラ=リンダ年代記あり、か。
Posted by ブクログ
世界を動かした「偽書」というものの、特に世界を動かしてはいないものも多い気がする。後半は偽書っていうかトンデモ本ですよね、みたいなのも多くなってくる。まあ、いろんな偽書を紹介してほしかったのでこれはこれでいいんですが。
ちなみに『鼻行類』だけは持ってたのでちょっとうれしい。
Posted by ブクログ
文章は神代文字で書かれ、神武天皇の前には72代の天皇が存在し、
キリストもモーゼも日本に来たことがあり、天皇に仕えていた。
日本は全世界の中心で、ある代の天皇の係累が世界中に散らばり、
天皇は空飛ぶ船で世界各地を文字通り飛び回っていた。
すげぇ、日本。安倍晋三が言う「世界の中心で輝く日本」は実際に
あったのかよっ!
とは、思わない。これ、偽書として名高い「竹内文書」の内容だから。
でも、偽書と分かった上で読むと面白いのだ。「ほほぅ、こんなこと
があったのか」「文明、めっちゃ進んでるじゃん。超古代なのに」と
かね。
一方で明らかに整合性に欠ける記述があっても信じてしまう人たちが
いるのも確か。時には真贋論争の的になり、時には歴史を変えてしまっ
たりした29の偽書を紹介しているのが本書だ。
250ページ少々で29の偽書を扱っているので、かなり駆け足的なのは
仕方ないとしても、「死海文書」や「古事記」、朝日新聞痛恨の捏造
記事「伊藤律インタビュー」をも含めてしまうのはどうなのだろう。
対象を絞って、それぞれをもっと掘り下げた方が良かった気がする。
「東日流外三郡誌」なんて、偽書であることを検証した過程を1冊の
作品として発行されているのだから。
まぁ、ブックガイドの類として参考程度に読むにはいいかも。紹介され
ている偽書については巻末に参考文献が掲載されているので、「もっと
知りたい」と感じたら、改めて参考文献の方を読むのがいいかな。
私には少し食い足りなかった。
しかし、古今東西、捏造・偽造は後を絶たないんだな。あ、公文書の
改竄ってやっぱり偽書扱いになるのかしらね。