あらすじ
縫製工場で働く大神は、受注した制服のデザインを盗作ではないかと疑うが、指摘できずにいた。ある日、職場体験に来た中学生キクチと触れ合ううち、事なかれ主義になっていた自分に気づく。俺はいつからこうなった? 自問する大神の中で、何かが少しずつ変わっていく……(「一匹羊」)。職場で、家庭で、小さな町で。新しい一歩を踏み出す人々を描く、傑作短編集。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
山本幸久の短編集、どの作品の主人公も、どこにでもいそうな、人間臭い人たちばかり。そしてどこにでもありそうな話で、とんでもない不幸があったりとか、ゴールデンラッキーがあったりということは一切ない。街中にあふれている普通の話ばかりである。
が、そういうのを書かせると上手いのが、この作者。どの作品も余韻がいいねんなぁ。「この後、この人はもう人頑張りするんやろな」とか「ちょっと一息入れるんかな」ってな終わり方。
こういうのを読むとじゃ俺も、今抱えているちょっとした(でも俺にとっては少々やっかいな)問題に手を付けてみよっかな…みたいな勇気が湧く。
山本作品の常連キャラもちょいちょい出ていて、そういうお楽しみもある。