【感想・ネタバレ】考える練習のレビュー

あらすじ

「考える」とは論理を詰めることではなく、世界と触れ合うことだ。頭の中の「使っていないソフト」を動かす。
◎「自分の命が何より大事」というのは本当だろうか?
◎「論理的」イコール「正しい」とは言えないのではないか?
◎「人は死なない」と考えることもできるのではないか?
論理に縛られて「テンプレート化した発想」から抜け出すための12講。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

芥川賞作家が考えるとはどういうことかを若手編集者からの質問に答える形で書くエッセー。
経済的なものの見方を否定する形を取っており、それに対して当初は反発を覚えた読み進めるうちに確かに自分が毒されている部分も大きいと思えて来た。経済的な合理性が正しいとするのは概ね人が金銭的インセンティブになびくケースが多いということだが、当然それ以外の最後通牒ゲームに現れる公平性の問題も重視される訳で、あくまで個人の判断の問題。著者はそこを重視しており、多数の人がどう思うかではなく、自分がどう思うか、どう有るべきかを考えろと説く。

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2013年07月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 ネットに情報が溢れ出る昨今。考えないでもわかった気になる時代である。そんな時代だからこそ読みたい一冊だ。第一講から、思考に「公式」は役に立たない、「わかった」と思わずに考え続ける、とくる。

 実に多くのテーマを論考しているが、一貫して流れているテーマは、『学問は「頭」でするものではない、本当は情緒でやるものだ』という岡潔の言葉に集約されていると思う。保坂和志の文章は実に論理的なのだが、一方で「文体とはペンの動きやためらいである」とか、「小説を書くことは、最初の何フレーズかのメロディが与えられればあとは即興を引き続けられるっていうのに近いようなイメージ」であるとか、「辺縁的な観念を大事にする」とか、頭で生まれた観念をもとに言葉を紡ぐのではなく、五感で掴むリズムや音と、そこから生まれるライブの情緒を大事にしているのだな、と思った。
 「文学は理屈ではなく芸術である」ということかなと。

 共感した点が2つほど。1つは「理系と文系を繋ぐような本を書きたい」というモティベーション。もう1つは、ドラマ「ER」のように、物語の中に大きな視点と小さな視点のものが同時に描かれる群像劇が面白いってこと。そこで起こる問題は、見る視点によって大きくも小さくもなる。物事を多面的に見ることの重要性は、それに尽きると思う。
小説では伊坂幸太郎が得意とするスタイル。「あまちゃん」や三谷幸喜の映画や舞台もそう。登場人物全てのキャラクターに「人生」を与え、読み手がいろいろな立場で想像できる。小説を味わう醍醐味の1つであろう。

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2013年06月27日

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