【感想・ネタバレ】箱根山のレビュー

あらすじ

箱根の山は天下の嶮か、ケンカのケンか?──足刈にある二軒の老舗旅館、玉屋と若松屋は先祖代々の犬猿の仲だ。だが若松屋の娘、明日子と玉屋の若番頭、乙夫は反発しながらも内心惹かれあっていた。いがみあう旅館、勃発する跡継ぎ問題、親から紹介された見合い相手、旅館の経営不振と大事故、乗り込んでくる都会の大資本……二人の恋の行方と箱根の未来はどうなる?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

箱根旅行を機に。
私は小田急、登山電車、ケーブルカー、ロープウェイ、海賊船と、定番ルートで旅行した。箱根とはこんなにも交通機関が発達したところなのかと感激し、Wikipediaで小田急を調べた。そこで箱根山戦争のことを知り、この本に辿り着いた。

昭和中期の旅館のあり方が伝わってき、よかった。湯治とは何か、ホテルとの違いなど…。乙夫と明日子の関係が濃くなるにつれて物語は加速する。これからというところで物語が終わるのは名残惜しい。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初めての獅子文六。知り合いが絶賛していたので読んでみることにしました。
時代は私が物ごころ着き始めた頃の昭和35年。そのせいで「こんなだったよな~」と{そうだったのかしらん」が入り混じります。

冒頭は箱根開発をめぐる西郊(西武)と関急(東急)の2大勢力の争いでスタートします。箱根山戦争という名前が付けられたくらい有名な事件のようですが、私は初めて知りました。まあ、時代もですし、地方生活者にとって箱根そのものに馴染みが無いのです。地名なども判りやすく置き換えられている様ですが、そもそも土地鑑が無いのでついて行けない。という訳で、少々辟易しながら読み進めます。

途中から話は芦ノ湯(文中では足刈)の2軒の旅館間の争いに移ります。
元々、親戚関係だった2軒の確執。89才の元気な女将、忠義な番頭、家業そっちのけで趣味に生きる主人。登場人物もちょっと古風で多彩です。そしてその背景に描かれる高度成長期の日本。マイカーブーム、大衆レジャーランド、スモッグ、クーラーの無い夏場。元気で若々しい日本です。考えてみればちょっと今の中国に似ています。
そんな中で生まれる微笑ましい純情可憐な恋愛。ノスタルジックな昭和期の映画・テレビドラマの世界を思いながら、楽しく読みました。
全てが幸せな方向に向いたところでスパッと切り落としたようなエンディングが特徴的です。

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2018年01月15日

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