あらすじ
「二度読み必至」を超えた、三度読み推奨ミステリー! あなたはこの企みを見抜けるか!?
年齢を偽ってスーパーでアルバイトする中学生の大和。バイト仲間の高校生・三千穂といい雰囲気になったが、正社員の宗像主任が露骨に2人の邪魔をする(「ずっとあなたが好きでした」)。
脱サラして立ち上げた会社が倒産、妻にも逃げられた五十嵐は、富士の樹海でネットの自殺サイトで知り合った男女と集団自殺をはかるドライブに出る。しかし、自殺仲間の一人、仁木智子に恋心を抱いていることに気づき(「黄泉路より」)。
弓木が通う小樽の小学校に東京から転校生がやってきた。人形のようにかわいく、裕福な生活を送る有坂弥生。風邪で休んだ弥生にプリントを届けにいった弓木は、彼女の部屋にも入る機会を得たのだが、思いがけずネックレスを持ち出してしまい……(「遠い初恋」)など13作を収録。
恋をめぐる小説集……だが?
サプライズ・ミステリーの名手が書く恋愛小説集が一筋縄でいくはずがない!
この企みに気づいた瞬間、あなたはまた最初から読み直したくなる。
解説:大矢博子
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
甘酸っぱいものやしんどいものまで様々な恋愛を絡めたミステリーが13編収録された短編集で、どれも一筋縄では行かず「そう来たか!」と思わせる話ばかりで意表を突かれ、作中の仕掛けにも大いに驚かされた。
Posted by ブクログ
2025.08.21 (木)
ポイントカードみたいな本だった
時には、自分にハマらない話もあったけど、コツコツ読み進めてその度にシールを集めて貯めて、最後にカード1枚全部埋まったような
最初から順を追って最後まで読んだ人にしか味わえないご馳走……
これが走馬灯……??女 !の最後から、落とした木の実をポツポツ拾っていくような感覚で読んでたたのしい〜〜〜〜歌野晶午だいすき〜〜〜
記憶消してもっかい読みたいな〜〜〜解説にも載ってた雑誌掲載時の順番で初見で読みたい〜〜
この本は大和であり、五十嵐であり、弓木であり、板橋継世であり、永嶌であり、DJマイケルであり、大輔であり、馬渡であり、ロレッタであり、十條であり、世之介であった……彼ら全て1人の人生恋物語だった…もうおもしろすぎ……!!!
このおっさん、今がいちばんの恋愛適齢期とばかりに還暦過ぎても全然懲りてない……!はああああたーのしかった…!
Posted by ブクログ
恋愛の短編集だと思って読み始めて、最後のネタバラシで全てが繋がってそういうこと!と納得しながら読みました。1回だけでなく2回3回読んで色んな伏線に気づくことが出来るんだろうなと思います。
最後の1行でオチをつけてきたり、色んな意味で裏切られることが多くてとてもワクワクしました。
全てのことが繋がると主人公はどうしようもなく惚れっぽいし女が好きな体質なんだなと呆れてクスッと笑ってしまうようなキャラクターでいいなぁと思いました。
個人的に好きだったのは「別れの刃」と「まどろみ」かなあと思います。秘密の関係っぽくて優越感に浸っていたところからフラれて刺されるところまでのちょっとずつ不穏な空気になっていって最後に衝撃が来る感じや、なんでもない日常に幸せを感じながらも今後のことについての不安があり、しかしなんとなく焦りながらも怠惰に過ごしてしまう感じの雰囲気が好きだと感じました。
これから時系列順に2回目を読んで伏線を見つけていきたいと思います。
3度読みのうたい文句に仕掛けを見抜くぞと意気込んだけど、一本一本が秀逸な上にまったく繋がりが分からない。
そうでもないオチだったとしても、満願に続きいい短編集読めて良かったなーと思ってたら、タネ明かしに3度どころか何度もページを読み返すとんでもない凄さだった!
今検索したら単行本版の表紙を見たけど、絶対こっちのまま文庫化するべきだと思った。
Posted by ブクログ
短編で同じ名前があるとまた前に戻り、そして読み返す。
解説を読んでやっと納得。
とやっぱり伏線に次ぐ伏線。
最後に種明かしがあるけど、でもなるほどって思うのは解説があったからなんだろうなぁ。
短編でもおもしろいのに、短編から 全て繋がるのはやっぱりこの作者のすごいところかも。
Posted by ブクログ
読書会でオススメされた小説。歌野晶午は「葉桜の季節〜」以来2作目。
驚きの仕掛けがあることだけ教えてもらっていたが、4作目あたりで何となくネタの見当はついた。『黄泉路より』で人に惚れやすい人生だったという文章から少し見えてきて、あだ名や偽名が多いあたりで繋がりを隠そうとしているんだなと確信を強めた。ただ、明らかに名字が違う話もあったため、もしかしたら2、3人いるのかなとも思ったりしたが。
『葉桜〜』と同じ感想になるが、やはり作者の作品は苦手だ。というより叙述トリックに気持ち良さではなく、ズルさを覚えてしまう。素直な驚きはあるが、どうしても上手いなとか考え込んだんだろうなといった裏側を見過ぎでしまうのかもしれない。また、本作に限って言えば短編を一気に読んでいれば作品のヒントを見つけたりして楽しいのかもしれないが、短編という形式上、一旦話が終わってしまうため、ダラダラと時間をかけて読んでしまったため、種明かしの驚きが弱まってしまった部分もある。