あらすじ
浪人者の多田文治郎は江ノ島・鎌倉見物のあと足を伸ばした米ヶ浜で、浦賀奉行所与力を務める学友の宮本甚五左衛門に出会い、対岸の猿島で起きた殺しの検分に同道してほしいと頼まれる。甚五左衛門が「面妖な事件」と評したことに興味をそそられ、承諾した文治郎。酸鼻を極める現場で彼が見たものとはいったい……? 驚天動地の時代ミステリ!
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Posted by ブクログ
本格ミステリと時代小説が融合した、非常に面白い娯楽小説だった。
探偵役は諸学に通じる多田文治郎、助手はその幼馴染の宮本甚五左衛門。まずこの二人の掛け合いが軽妙で心地よい。
舞台は浦賀沖の孤島・猿島。そこで密室屋敷内で六人の殺人が起きる。しかも手口も被害者の身分もバラバラ。検分後、被害者の一人による手記が見つかり、そこで事件の経緯が明らかになる。続いて物語は現在の視点に戻り、多田による謎解きと、波乱を含んだエンディングへと繋がっていく。
通信手段や道具が限られているからこそ生まれる不可能性がこの時代設定ならではの魅力。不自由さが謎の深度を増している。鏡の反射や蜂の習性など、現代では普遍の知識を先取りしたトリックが物語を盛り上げる。
動機は王道の家族や恋人の復讐だが、身分違いの被害者たちとどのような因果があったかが判明していく過程が心地よかった。
手記の作者である林だけ、怨まれる理由が薄く、手記の語り口とも違和感があったが、手記で自分を良く見せようと書かれたものと考えると、それも納得できる。
既に続巻も発刊済み。次作も楽しみ。
Posted by ブクログ
あっという間に読んでしまった。続きが気になってなかなかやめられなかった。おもしろかった。間延びせず読めた。シリーズものなのでこのあともたのしみ。