【感想・ネタバレ】虚ろなる十月の夜にのレビュー

あらすじ

切り裂き魔(ジャック)に吸血鬼(ドラキュラ)、名探偵(ホームズ)
いずれ劣らぬ曲者たちが旧き神々(クトゥルー)に対峙する――

十月の終わりの万聖節前夜に、そのゲームは行われる。
《閉じる者》と《開く者》、旧き神々を崇拝する者たちとそれを阻止せんとする者たちの、
世界の変革と保持を巡る戦い──《大いなる儀式》が。
御主人切り裂きジャックと使い魔である犬のスナッフもまた、《大いなる儀式》の参加者である。
彼らが来た村には、ドラキュラ伯爵、フランケンシュタイン博士らの姿があり、
使い魔たちは儀式へ向け情報を集めている。
スナッフは魔女ジルの使い魔である猫のグレイモークと頻繁に情報を交換するが、
果たして彼女たちが味方なのかすらもわからないのだ。
そして儀式の日が迫る中、参加者たちの周りに名探偵シャーロック・ホームズの影が見え隠れする──。
著名なキャラクターたちとクトゥルー神話を融合させ、
ネビュラ賞候補作ともなった、奇想横溢のゼラズニイ最後の長篇。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

犬の日記視点で描かれる異色の小説。
ロジャー・ゼラズニイ27年ぶりの邦訳新刊。
舞台は19世紀イギリス、クトゥルフ神話をバックボーンに切り裂きジャックや某「伯爵」、某モンスターや某名探偵が、ある儀式をめぐり駆け引きを行う。
 ところがあくまで主人公は使い魔たる犬であり、彼が主に他の使い魔(猫、蛇、梟、鼠、鴉etc…)とコンゲームを繰り広げるのだ。この犬の視点こそがこの小説の醍醐味であり、ゼラズニイの飄々とした文体とマッチしている。
 ゼラズニイがクトゥルフ神話を題材にして、動物視点でのコンゲームを描く、とモリモリの作品。
 なお、主人公の犬とヒロインの猫の名コンビっぷりは二匹の関係性も含めて特筆に値する。

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2021年11月13日

Posted by ブクログ

ゼラズニイの未訳ものが出るのもビックリなら、ラノベの様なカバーで竹書房から出るのもビックリでございました。
表紙絵にも違和感だし、オビの説明文も余計な気がするが、この方が若い子が手に取りやすいんだろうな…

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2017年12月08日

Posted by ブクログ

 虚ろなる十月、万聖節前夜(ハロウィン)が満月の時、旧き神々が地球へと帰還するための道が開かれようとする。
 その時、適切な数の人間が、適切な場所に引き寄せられ、ある者たちは道を開く手助けをし、他の者たちは道を閉ざす努力をする。誰が敵で誰が味方か。それはその時になるまで、そして終わるまでは誰にもわからない――。
 19世紀末のロンドンを舞台に、怪人たちが暗躍と駆け引きを繰り広げるゴシック・サスペンス。

 本作の主軸はゴシック✕クトゥルフ神話。小説から映画まで、ゴシック作品で有名なキャラクターたちがプレイヤーとなり、2つの陣営に分かれてゲームを行う。なにより、作中で主に描写されるのが、プレイヤーではなくその使い魔たちというのが、ゼラズニィ特有のユーモアを発揮させるのに役立っている。
 しかしプレイヤーたちの駆け引きは紳士的で、物語の大半はゲームの準備に費やされるため、起伏の少ない展開に読者は序盤で本を閉じてしまうかもしれない。勿論作者はそれを想定しており、スパイスとしての副軸として、フーダニット(誰が犯人か?)な事件も用意している。これが双方を惑わせ、プレイヤーには混乱を、読者には面白みを与えてくれる。
 クトゥルフ神話の方はと言うと、旧支配者の名前や魔導書の類が登場する程度かな、と思いきや、がっつりとその要素を散りばめている。ネタバレになるためにそのあたりは詳しく言えないが、クトゥルフ神話の "世界観" の方を好む人には、本書を楽しめるだろうし、クトゥルフ神話に無知な人でも楽しめる仕様となっている。

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2024年08月04日

Posted by ブクログ

ゼラズニイの遺作。
クトゥルー神話とハロウィンをネタにしたこんな本を書いていたのか!
いろんな魔物が出てくるけど、そのパートナーになっている動物たちが中心となっている物語。ゼラズニイの割にはわかりやすく優しい感じに描かれています。おしゃれなハロウィン・パーティーって感じ。ゼラズニイ丸くなったな。
ットの犬とか猫とか鳥があんなオシャレな会話してたら飼い主の自分は面目丸潰れだなぁ。ちゃんとしよ。

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2023年10月14日

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