【感想・ネタバレ】地球暗黒記 III アルカ・ノアエのレビュー

あらすじ

宮下陽子は、母に会うためBNASのアジトへと忍び込んだ。だが、陽子の母ノエはBNASの女司令だった。母は、陽子にBNASの“アルカ・ノアエ・ツアー”への参加を勧める。このツアーこそ伝説の大洪水から助かる唯一の道だという。そして、ツアーの参加資格を得るための命を賭けた脱出ゲームへの挑戦を迫られるのだった。ハワイに現われた第3の神、核爆弾。それが今、太平洋を闇に包もうとしていた。陽子が見続けてきた熱帯の楽園ハワイは、人間が創り出した地獄のパラダイスだったのか?書下し熱帯伝奇小説。注目のシリーズ完結篇。

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Posted by ブクログ

ついに主人公の陽子は米国の秘密結社BNASに拉致されハワイ島キラウェア火山の地下大洞窟へ。仲間とともに命を懸けた洞窟脱出ゲームに参加させられてしまいます。なぜそんなに敵対しあうのかよくわからない秘密結社同士の陰謀もすごいですが、ハワイに代表される南国の楽園の暗い歴史と「楽園」そのもののイメージがいかにして作られていったかを読むと、まさしく熱で思考も溶け暗黒に落ちて行きそうになります。ハワイは火山島なので珊瑚のかけらからなる白い砂浜は本来無い。南国ビーチの代表椰子の木も、もともとは無い。バナナ畑ももともとは無い。ではどこから持ってきたか・・・どんどんアメリカナイズされ、日本の観光用にイメージを上塗りされて完璧な「楽園」のできあがり。そしてポリネシア文化は死滅する・・・この恐ろしいサイクルが、地球規模の陰謀とつながって実に暗澹たるイメージが出来上がります。命がけでの脱出を果たし帰国した陽子も変貌をとげ、もはや学校生活にはなじめなくなってしまいます。なんという絶望感を孕んだラストシーン。南国の印象を一変させるこの作品。次にミクロネシアの島に行くときには、見る目が変わっているに違いありません。

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2011年08月01日

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