【感想・ネタバレ】喪失のレビュー

あらすじ

京都市内のビルの非常階段で、有力不動産会社社長、真鍋征矢の妻、文香の遺体が見つかる。文香の手には夫・征矢の金属製のブレスレットが握られていた。妻は夫からの暴力被害を訴え離婚調停中だった。事件後、文香の担当弁護士の和光は、彼女は嘘をついていた、DVはなかったとして、征矢の無実を証明したいと名乗り出る。果たして嘘をついているのは誰か。京都府警の準キャリア刑事、大橋砂生が不可解事件に執念で挑むが……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

鏑木連氏の刑事ものは久々な気がします。率直な感想としては……悪くはなかったのですが、過去の刑事ものに比べるとやや物足りなさを感じてしまいました。

主人公は流産を経験した女刑事という設定ですが、この設定が本作の展開に効果的に作用しているという印象が薄かったのがその要因でしょうか。母親を失った瑠美と、お互い喪失したものを補い合う関係を強めるための要素だったのかもですが、流産という設定がなくても成り立ったのではないかと思ってしまったので……

過去作と比較するなら、被害者やその他登場人物にさほど感情移入できなかったことが、物足りなさの要因に挙げられるかもしれません。「白砂」「時限」などは被害者に強く同情したのですが、本作の真鍋父娘には同情できる部分もありますが自分勝手さの方を強く感じました。

とはいえ、大橋刑事の出来る女感溢れる振る舞いや無駄に声の大きい望月くん、そして娘との関係や会社の状況に悩む真鍋社長など、キャラクターは生き生きとしていて「物語を紡ぐためのただの駒」という感がないのは流石に思います。次回の刑事ものに期待したいです。

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2017年12月02日

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