あらすじ
恋した女性のあまりにも哀しい最期。女が死の直前に叫んだ言葉「イアラ」の意味を知るため、男は悠久の時を生き続ける…。楳図かずお、伝説の名作が文庫版で登場! (イアラ)▼第1章/さなめ▼第2章/しるし▼第3章/わび▼第4章/かげろう▼第5章/うつろい▼第6章/望郷 (イアラ連作短編シリーズ)▼ねむり▼雪の夜の童話▼指●あらすじ/天平の世の昔、土麻呂(つちまろ)は奴婢の娘・小菜女(さなめ)と恋に落ちた。だが、大仏を建立するために土麻呂は都に狩り出されてしまう。男に逢いたい一心で、ぼろぼろになりながら都まで歩いてきた小菜女。力尽きて現場の前に倒れていた女を救ったのは、建立の指揮官・国中公麻呂だった(第1章)。 ●本巻の特徴/緊急出版決定! 恐怖マンガの巨匠・楳図かずおが描いた、あの伝説の名作が蘇る!! 世の平安のため、聖武天皇が行なった大事業“大仏建立”。だが、その陰には若い男女の尊くも哀しい悲劇の物語があった。“大仏のたましい”として、生きたまま胎内に溶かされる女。その記憶を胸に永遠の時を生きる運命を負った男。時空を超えたドラマの結末は…!
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楳図巨匠
子供の頃 洗礼や蛇女を読んだことありましたが、イアラという作品には出会えませんでした。この電子書籍で知り早速購入しました、時代を超えて一人の女性を探す発想や、時代の中に松尾芭蕉や千利休の時代背景など緻密な作品でした。
文学的な作品です。孤独や貧しさの悲哀がくっきり描かれていて、名作。
悲しい生い立ちを描くのが上手なうめず先生。
疲れた時や仕事の合間に読むと、静けさと力強さのバランスに、すごく癒されます。鎮魂の要素が大きいです。お薦めです。
Posted by ブクログ
女が死の直前に遺した「イアラ」という言葉の意味を求めて、長い年月をさまようことになった男。女の生まれ変わりらしき人物と出会ってはその意味を求めるが…
女の生まれ変わりを探して生き続けるといえばロマンチックみたいだが、手塚治虫「火の鳥」のような荘厳さがある。
名作。
Posted by ブクログ
楳図漫画(特に恐怖漫画)を読んで育った世代です
絵も緻密だけど、セリフ量、文字量が膨大なので文庫版で読むのは大変(字が小さ過ぎて)
楳図かずおの執念というか熱量はものすごかったんだなぁと改めて思った
Posted by ブクログ
何のために生きているのか
よくわからない人生を送っている身としては
凄く身に染みた。
何でもない背景でも、楳図先生の書く植物がまた怖いんだわ。
Posted by ブクログ
もちろん「火の鳥」からの影響だと思われる。
説明的描写の多さに辟易するという感想も聞くが、ここまで時代をまたげばそれも仕方ないと思う。
それよりも全編通読したときに胸中に残された抒情を重視したい。
ひとりの女を求めて時代を超える。
1章 さなめ 大仏建立の際、溶けた鉄で女が、溶かし込まれ。
2章 しるし 蒙古襲来で高麗の女が。
3章 わび 千利休と秀吉の対立。無作為の作為。作られた人生。見つめてくる男。
4章 かげろう 芭蕉と曾良。死ぬ間際の女。
5章 うつろい つや姫。
6章 望郷 昭和。イアラを探す男の存在に、はじめて気づいた女。「今までであった女は、さなめではなかったが、さなめでもあったのだと。」……この理屈が琴線に触れる。
終章 終焉(目次に反映されていない)人類の最期。再びあいましょう、いつかどこかで。
連作短編シリーズ、ねむり、雪の夜の童話、指。