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Posted by ブクログ 2021年08月28日
この本をひと通り読むだけで刑法の総則の大枠が掴めることができ、非常に読んで良かったと思います。
大学の講義なんかを受けて、刑法総論はすごい哲学的な要素が多いな... と感じ、詳しく理解せずに終わってしまった感じがありました。今回、この本をゼミで勧められて読んでみたのですが、消化不良だったところもす...続きを読むごく分かりやすく説明されていました。
特に、違法性阻却事由の基準なんかは、期末試験の答案を書く際には困ったらとりあえず書いとけばいいや!のノリで書いていたのですが、本書を読んでスッキリ理解できました。
先述のとおり、刑法は哲学的な要素(「刑罰とは?」「故意とは?」といった定義を考えるだけでなく、「この事例の場合は、どの解釈をあてはめて、どの罪が成立するのが社会にとって最善なのか?」といった通常では起き得ないようなことまで考える思考実験的なものも含むため)が多分に含まれていると思うので、少なくとも他の法律の入門本よりも読んでて飽きないと思いました。
また、刑法で問題となる判例は、人間の不完全さが感じられる判例がたくさんあるので、それも飽きさせない理由なのかなと思いました。(例えば、被告人の女性記者が男性官僚と恋仲になって、ホテルで致した後に、国家機密情報を男性が漏らすようにそそのかした行為が国家公務員法に当たるとして起訴された事件なんかは、「この男も、女にまんまと騙されてバカだな〜」と言った視点で見れるのが面白く、飽きないなと感じました。)
刑法の条文だけが全てでなく、起こった事例に合わせて条文の解釈の変える(その時代の情勢に合わせて変える)立場と、先例を重視して判例解釈を変えない立場の上手な妥協点を見つけて今日の刑法学があると思うと、それを解釈して、判決を言い渡す作業をする裁判所は大変な仕事だなと改めて感じました。
Posted by ブクログ 2017年09月07日
書名通りの内容ではあるのだが、読んでて楽しい入門書だった。入門でシンプル故に、論理を追う楽しさがあるというか。塾講的な入門書も良いのだが、それではこうは書けなかっただろう。
山口厚の刑法総論・各論に取り組む前に読んでおけばよかった。
Posted by ブクログ 2016年03月05日
法学部の1、2年生向けの副読本として、あるいは教養科目として授業を行う場合ならテキストとしても活用できそうに思います。
筆者は実務家というよりは学者畑の方なので、必ずしも過去の判例や有力説の見解に絞って記述しているわけではありません。
それだけに、裁判の判決が正解か否かという先入観が強い初学者には...続きを読む、少々戸惑いがあるかもしれません。
同じ事例であっても幅広い解釈が必要なのが、法律の世界であると感じるには十分な一冊だと思いました。
あとがきの一言ですが
「刑法について、犯罪について考えるというのは、そうした問題を、それぞれの世界の論理に従って考えることであり、単に事実を条文に当てはめるというにとどまらない知的ないとなみにほかならないのです。」
こういう発想ができる人は、法治国家であるはずの日本でもあまりいません。
一般にこうした認識が広まってほしいと思っています。
Posted by ブクログ 2014年03月23日
まさに入門書としてふさわしい内容。
これまで何となく聞きかじったことのある専門用語について丁寧な言葉で教えてくれる。
ただし刑法の性質上どうしても説明が難解である。
刑法って最高の屁理屈じゃないのかと思った次第です。
所詮は人間が決めたもんだし、最高裁判所の決定もイマイチ信頼できなかったり学説も諸説...続きを読むあって見解もわかれていたりして結構いい加減ですね。
Posted by ブクログ 2013年01月05日
すごくわかりやすかった。
法学部の人は刑法を授業でやる前に読んでおくと理解が深まるかもしれないと思った。レベル的には一般人にも理解できるくらいで言葉も噛み砕いてありまさに入門にはうってつけ。
Posted by ブクログ 2011年01月22日
新書だけあって初学者向けというより、むしろ一般向けに近いこの本。とてもわかりやすい反面、刑法の学習と捉えると物足りないといったところだろうか。導入にはもってこいだと思われる。
Posted by ブクログ 2010年01月16日
実際に行われた犯罪を、刑法の示すどの罪状にあてはめるのかというのは、時としてすごく微妙で難しくなる(たとえば殺人罪か過失致死か、とか)。そういう時に一般的にどういう物差しで考えればいいかというのが主眼になっているように感じられる。裁判員制度で狩りだされた人のための手引きとしてとても有用であろうと感じ...続きを読むられた。
裁判員制度時代の一般教養として必読と言っても良い。内容も平易。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
犯罪とは何か。刑罰はなぜ科せられるのか。
どのような行為が犯罪となるのか。
このような疑問にわかりやすく答える一冊。
現在、裁判員制度の導入により、刑法に関する理解が求められている。
その基本を非常に明快に知ることができた。
Posted by ブクログ 2022年02月27日
第1章 犯罪と刑罰とは何なのか
第2章 犯罪は法律で作られる
第3章 犯罪はどんなときに成立するのか
第4章 犯罪はどんなときに成立しないか
以上が目次。
普段触れない分野なので、どうしても全て理解するのは難かしい。ただ、目次から分かる通り、刑法を学ぶための基礎的なことが書かれている感じがした。
...続きを読む本書の内容を元に、実際にどんな判決が下されているか、判例を見て学んでみたらいいのかもしれない。
Posted by ブクログ 2019年05月17日
現在最高裁判所の判事を務める著者による、刑法の入門書です。
法律にかんする知識のない読者にもわかりやすいことばで、犯罪や刑罰とはなにかという根本的な問題から、具体的なケースについてどのように考えればよいのかということがクリアに解説されています。
もちろん、刑法の世界をすこしのぞいてみたいと考える...続きを読む読者にとっても役立つ本ですが、もうすこし腰を据えて刑法の学習をはじめたいと考えている読者にとっても、刑法を学ぶことのおもしろさが実感できる、優れた入門書ではないかと思います。
Posted by ブクログ 2014年04月04日
読みやすい本です。
刑法に関して必要最低限のことは書かれていますし、必要以上に難解であるわけでもない。
法律をこれから学ぶ人は勿論そうでなくても読んでおいて損はない一冊だと思います。
Posted by ブクログ 2016年01月25日
これまでで学習した学問の中で、刑法学が一番楽しく勉強できました。どんな時にどのような犯罪が成立し、どのような条件があれば犯罪が成立しないのか、という論理構築が面白かったからです。
本書は刑法学の入門編ということで、犯罪とは何かから始まり、どんな時に犯罪は成立するか(しないか)をやさしく解説してい...続きを読むる新書です。刑法学を初めて習う人や、日々のニュースで、どうやって犯罪が成立しているんだろうと疑問に思っている方などへおすすめです。
Posted by ブクログ 2013年07月07日
東大法学部教授が著した、刑法を学ぶ上でバイブルとされる一冊。単純明快に書かれててすごく分かりやすい。読んでて爽快感を覚えるほど。論理的に考えるプロセスが見につけるのって法律を学ぶのが案外近道なのかもって思ったりした。
Posted by ブクログ 2013年04月28日
溺れている人をたまたま見つけて且つ助けなかったら、それは処罰されてしまうのか?
本書は、著者の「刑法総論」等、大学の講義で指定されている著書に比べて、「なぜ?」ということにより焦点を当てており、法学に触れたことのない人にとって、刑法の理解への第一歩を後押ししてくれる。刑法の根底にある「考え方」を分...続きを読むかりやすく解説してくれている。
個人的に、犯罪を理解する2つの立場の説明が分かり易かった(「倫理違反」からの行為無価値論、「利益侵害」からの結果無価値論)。
ちなみに、冒頭の例は「不真正不作為犯の処罰」に関するもの。
Posted by ブクログ 2012年11月20日
総論を読むというのは各論を読むより骨が折れますね。特に第1章はくたびれましたが、具体例もまじえ、流れも分かりやすく作られていたので読み切ることができました。
Posted by ブクログ 2012年10月01日
刑法は、刑事ドラマやサスペンスで馴染みがあるので、民法や会社法ほど取っつきにくくはないですね。
起訴は略語で、公訴の提起が正式なんだそうです。
Posted by ブクログ 2011年07月08日
そもそも刑法とはなんぞや?という記述や、犯罪の成立要件など刑法入門の入門といったかんじです。
が、結構、難しかった。法学はどの分野も独特な学問(論理学的?)で、ある一定の理解に達するのに時間がかかります。
個人的な興味では、共犯、教唆、幇助のあたりが面白かった。
本書にも、ちょこちょこ出...続きを読むてきましたが、次は刑法の各論を押さえておきたいな。法定されている一つ一つの罪が面白かったから!
Posted by ブクログ 2011年06月20日
東京大学法学部教授(刑法学)の山口厚による刑法入門書
【構成】
第1章 犯罪と刑罰とは何なのか
1 罪と罰
2 刑事手続きのあらまし
3 法的な禁止の対象-犯罪
4 法的な禁止の手段-刑罰
第2章 犯罪は法律で作られる
1 罪刑法定主義
2 法律で罰則を定める
3 罰則は制定前に遡っ...続きを読むて適用できない
4 許されない罰則-内容の適正さ
第3章 犯罪はどんなときに成立するのか
1 犯罪の成り立ち
2 犯罪被害-結果
3 行為と結果の結び付き-因果関係
4 犯人の行為とは
5 犯人の意志-故意・過失
6 犯罪のかたち-未遂と共犯
第4章 犯罪はどんなときに成立しないか
1 犯罪の成立が否定される場合
2 違法性がなくなる理由
3 正当防衛
天下の東大法学部の教授が私のようなど素人でもわかるように平明な文章で刑法の概念を説明してくれる。「刑法学が何を考える学問なのかがわかる」という点については非常に優れた新書である。
Posted by ブクログ 2011年06月06日
タイトル通り、刑法の意義、役割、適用について概説した本。社会科の授業でも登場した罪刑法定主義、法の不遡及の原則という基本的な部分から詳しく解説する。
参考になったのは、
・「拘留」(軽犯罪法違反に課される短期自由刑(1~30日)と「勾留」の違い
・そもそも「犯罪」とは倫理違反(悪いこと)なのか利...続きを読む益侵害(迷惑なこと)のどちらなのか
・刑罰を正当化する論拠は何か(応報刑論と目的刑論)
・犯罪成立の要件(メルクマール)は、1.犯人の「行為」、 2.行為の「結果」、3.被害としての結果、4.犯人の犯罪意思 であること
・犯罪正当防衛、緊急避難などの事由で「阻却」される場合がある
といったこと。穿った見方をすれば刑法は人の自由の剥奪を正当化する法律であるため、思っていたよりも厳密に条文が定められ、犯罪や刑罰の意義にも鋭い論争があることが印象に残っている。
刑法の基礎知識が1冊に網羅されている良書だった。具体的事例、判例について勉強するなら、他の本が必要になるだろうが。
Posted by ブクログ 2011年04月24日
[ 内容 ]
犯罪とは何であり、なぜ犯罪者には刑罰が科せられるのであろうか。
また、「罪が犯された」と言うためには、どのような条件が必要なのか。
刑事裁判に市民が参加する裁判員制度が導入されるなど、私たちも刑法の基本を理解することがこれまで以上に求められている。
刑法学の第一人者が、犯罪と刑罰をめぐ...続きを読むる考え方を解説する。
[ 目次 ]
はしがき
第1章 犯罪と刑罰とは何なのか(1 罪と罰 2 刑事手続のあらまし 3 法的な禁止の対象―犯罪 4 法的な禁止の手段―刑罰)
第2章 犯罪は法律で作られる(1 罪刑法定主義とは 2 法律で罰則を定める 3 罰則は制定前に遡って適用できない 4 許されない罰則―内容の適正さ)
第3章 犯罪はどんなときに成立するのか(1 犯罪の成立ち 2 犯罪被害―結果 3 行為と結果の結び付き―因果関係 4 犯人の行為とは 5 犯人の意思―故意・過失 6 犯罪のかたち―未遂と共犯)
第4章 犯罪はどんなときに成立しないか(1 犯罪の成立が否定される場合 2 違法性がなくなる理由 3 正当防衛)
あとがき
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ 2009年10月07日
『刑法入門』(山口厚、2008年、岩波新書)
本書は刑法をわかりやすく解説した入門書です。やわらかい文章で、専門用語もわかりやすい説明がされており、読みやすく理解もしやすいと思います。
犯罪とは何か。どういう時に犯罪になるのか。また、どういう時に犯罪にならないのでしょうか。たとえば、人殺しは殺人...続きを読むですが、Aさんとけんかをしてけがをさせ、救急車で病院に運ばれている途中に救急車が事故にあって、その事故によってAさんが死んだ場合、けんかをした人は殺人をしたことになるのでしょうか。またならないとすればなぜならないのでしょうか。
またBを殺そうとして発砲したところ、実はBではなくCを殺してしまった場合、狙ったのはBなのにCをわざと殺したことになるのでしょうか。
本書はそんな刑法の疑問にこたえ、裁判員制度導入による市民的な常識となる刑法の知識をわかりやすく解説しています。
(2009年2月11日)
Posted by ブクログ 2009年10月04日
2008/12
刑法とはどのような法律なのか。条文の解説ではなく、法というものはどんな意味を成しているのか、丁寧に書かれている。刑法だけでなく、法律を学ぶ上でまず読んだほうがいいと思われる一冊。
Posted by ブクログ 2009年10月07日
一言で言うと‘犯罪とは何か’が書かれている著書。色々な具体例を出し、犯罪とは何なのかについて、読者は考えさせられる。具体例が多かったので、イメージしやすかったので、堅苦しくなく読める。刑法だけに法律に寄っているいる著書なので、法律に興味のある人には良いと思う。
Posted by ブクログ 2014年06月12日
前半は用語の説明に偏っていて、分かりやすいもののあまりおもしろくなかった。
3,4章は何を犯罪とするかの考え方を解説しているので面白かったが、具体的な事例の割合が多かった感じがする。
Posted by ブクログ 2013年02月17日
刑法の考え方の入門。
構成要件、違法性阻却事由など。
著名な判例をわかりやすく引用していて、読みやすい。
法律の初学者のとっかかりによい本だと思う。
Posted by ブクログ 2012年06月20日
難しい、というか慣れない法学の文章に手こずった。
感想としては、まず法学と文学はやはり肌に合わないなということと、よくこんな勉強を4年も6年もできるよなあということかな。
好きな人は好きなのかしら。
でも逆に、確かにすごく役に立つ知識ばかりだったなあと思う。
特に後半。犯罪の成立要件やら正当防...続きを読む衛やら、いや本当に身近だしすぐ使えそう。
ただ、僕は苦手だなあ、と…笑
Posted by ブクログ 2011年01月08日
全くの初学者の私には、正直このレベルでも難しい。
初学者は是非にと勧められたが、むしろ最初から入門者用教科書なり予備校本を読んだ方が良いかもしれない。
Posted by ブクログ 2010年04月12日
2008年の新書大賞で宮崎哲弥氏が推薦していたので読んでみました。犯罪とは何かといった前半の一般的議論はたいへん面白く読めました。後半は各論的な部分は事例がどうも学問的すぎるからか少し退屈でした。こういう問題にエンターテイメント性を求めるのもアレですけれど。
売春は法律で禁止されているけれども、その...続きを読む行為自体には罰則が無いのは何故かといったところ目からウロコでした。
Posted by ブクログ 2009年10月04日
どう考えても,裁判院制度の発足を前にして,一般市民向けに刑法の基礎を普及すべく企画され,書かれた本である。刑法の本だから,必然的に犯罪とは何かということがテーマとなっている。大学の講義で言う刑法総論の入門といってよい。
刑法入門としてはとても分かりやすかった。実際に本人の講義を受けたことがあるけど...続きを読む,その理解にはかなり役立った(当然か)。ただ,一般市民向けとういことを意識するなら,実定法だけでなく手続法についても説明される必要があろう。ぜひ岩波書店からは,『刑事手続入門』なるものを出していただきたいものである。