あらすじ
東銀河系南東部の辺境に、小さいながらもそれなりの知名度を持つ自治星系がある。人呼んで〈蒼橋〉。豊富な鉱物資源に目をつけた〈紅天〉星系資本により開発されたこの星系で、その圧政に耐えかねた住民との間で抗争が勃発! 事態を重視した連邦政府は、ムックホッファ准将らが率いる2艦隊を派遣するが……ムックホッファとロケ松は、なぜ連邦宇宙軍をやめ〈星海企業〉をつくることになったのか――〈銀河乞食軍団〉誕生秘話!
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Posted by ブクログ
70年代に発表された日本のスペースオペラ 野田 昌宏著「銀河乞食軍団」にトリビュートした作品。銀河乞食軍団の誕生秘話として、5年前に構想されたそうですが、完成を見ずして野田さんは鬼籍に入られました。カバーはラノベ風でなんとなく赤面してしまうがこれは読まねばなるまい。銀河乞食軍団とは宇宙の運送屋「星海企業」のことだですが、その創立までを描くシリーズのようです。原作の「銀河乞食軍団」の特徴は、1.時代劇のノリ(今回は宇宙のとび職が主要メンバーで屋号で呼び合う、「おぅ、播磨屋」、せりふ等)を取り入れた和風活劇の演出。2.スペースオペラだから、どんなに未来の話で宇宙に進出しても、人間の価値観や意識は現代のそれと全く変わらないし、それについては触れない地続きの安心感。3.そんなばかばかしい設定なのですが、リアリティーを持たせるため、未来になっても採用されている技術を注意深く選択して世界を積み上げていて、その世界の生活感を出している(例えばコンソールとは表現されているがCRTとは記述されていない。捨て去られる技術も巧みにかわしています)テクノロジーおたく心を刺激する描写満載です。この3つが相まって独特の世界が構築されています。そんな世界の続編を作るにあたって、著者は落語テイストの章を挿んでみたりと様々な工夫をしていますが、やっぱりなかなか難しそうで、まだしっくりとなじんでいない感じ。(そりゃそうでしょ〜)まだまだ、世界設定の説明だったり、登場人物の紹介エピソードだったりの巻なので、これからに期待!気になる登場人物は、中古パーツ屋の女の子、沙良(屋号は皿屋)。妙な舌足らずの口調を「あワてなィ、あワてなィ」なんて表現して不思議ちゃんぶりを発揮しています。野田さん本人には、これは書けなかったろうな。