あらすじ
大ヒットドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の佐々木芽生監督が、同名映画の取材をもとに書き下ろしたノンフィクション。和歌山県太地町。映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、「くじらの町」として400年の歴史を持つこの漁師町は、シーシェパードを中心とした世界中の活動家たちから集中非難の的に。歴史・宗教・イデオロギー、自分と相容れない他者との共存は果たして可能なのか。小さな町に押し寄せた、クジラを巡る大きな衝突。
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Posted by ブクログ
この著書の映画版を視聴しました。そのうえでの感想です。
わたしは関西出身で、小学生低学年の時一度くじらの竜田揚げが出ました。鯨なんて初めて食べるし、情勢なんて知らないから無知なまま食べました。なんて美味しいの!と感動しました。味を覚えてはいませんがその気持ちだけをずっと持ち、小学校で好きだった給食ランキングのベスト5には入っているほどでした。また食べたいななんて思っていたら、翌年から無くなりました。スーパーに行くと、たまに鯨の黒い肉や白くてふわふわした部位が売られていることも目にします。捕鯨反対の声があるのは知っていたけれど、ここまで過激というか批判を受けていたなんてこの映画を見るまで知りませんでした。
ざっっくり主張
◯シーシェパード(米、その他)
イルカの虐殺問題である
誇れる文化ならなぜ逃げ隠れるのか?
イルカは歌えて人間と意思疎通が出来哺乳類で
人間に近いじゃないか。
文化だとして長い歴史があるから正しいとは
限らない
イルカを殺す際痛みをなくすことはできない
◯太地(日本)
その町の文化を壊すのは勝手だ。もともと鯨の
町なんだからほっておけ
家畜の屠殺を隠しすのとイルカの屠殺を隠すの
の何が違うのか。そもそも人目に晒すようなも
のではない。
捕獲しているイルカは7種類に限定し、全て
絶滅危惧種ではない。
映画を見ていると論点がずれているんじゃないか?それはただの盗撮と暴言ではないか?一応敬意を持った話し方をしてくれているのに対して返答に歩み寄ろうという姿勢は感じられないなあ、など思うところはありました。価値基準が異なる場所にある議論なので一筋縄ではいかないという印象です。
けれど、気になったのは「日本人は鯨を食べるのは1.2割ほど。なのに捕鯨を文化だからやめようとは言わないという意見が7割(意訳)」というところです。まさにわたしもその一人でした。調査した方は「他国に批判され、反発精神から文化と主張しているのでは。どこかに捕鯨で生計を立てている人がいるのだろうから守らなきゃ。私は食べないけど。と思っているのではないか」と仰っていました。確かに。昔は食べなくてはいけなかったけど現代で鯨を食べる必要はない。それなら日本は捕鯨を辞めてもいいのかなと思ったものの私は第三者であるので太地町の人たちの思いは汲み取りきれていないはずです。
それなら他の家畜は?養殖は?犬食文化は?水族館は動物にとって危険がなくて、餌も必ずあって、でも狭くて‥悪なの?食文化という言葉を逃げに使ってしまっていることがあるのかな?色々と考えさせられる映画でした。