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大ヒットドキュメンタリー映画『ハーブ&ドロシー アートの森の小さな巨人』の佐々木芽生監督が、同名映画の取材をもとに書き下ろしたノンフィクション。和歌山県太地町。映画『ザ・コーヴ』がアカデミー賞を受賞して以来、「くじらの町」として400年の歴史を持つこの漁師町は、シーシェパードを中心とした世界中の活動家たちから集中非難の的に。歴史・宗教・イデオロギー、自分と相容れない他者との共存は果たして可能なのか。小さな町に押し寄せた、クジラを巡る大きな衝突。
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Posted by ブクログ
【動機】 ・捕鯨にまつわる対立の歴史・概要を知りたくて 【感想・思ったこと】 ・めちゃくちゃ面白い!!!!! ・クジラの話にとどまらない。 - 捕鯨にまつわる問題と対立の概要と本質が掴める - 鯨を軸に見る、歴史・宗教・価値観・メディア論 - なぜ人は争うのか?考えさせられる --- ・「強...続きを読むき者」は「弱き者」の、声に耳を傾ける責任がある。 ・「弱き者」は「強き者」に、声をあげる責任がある。 ・声を上げなければ対話は不可能。特に相手が強者の場合なおさら。 ・自分の意見を相手に伝える重要性と相手の意見に耳を傾ける重要性。 ・情報は発信しなければ伝わらない。 ・情報発信・メディアの威力。感情を煽動する。 ・「クジラ・イルカは世界の海を泳ぐため日本だけのものではない」というロジックは確かにと思った。 ・対立するから、対立する。 ・読中に「キリスト教思想を基盤に持ち、現在国際社会で力を持つ欧米人は、自己中心的で独善的である」というステレオタイプを、深いところで実は自分も持っていると気が付かされた。本来「⚪︎⚪︎人は△△である」という一般化はできない。一人一人多様。読中、ジェイさんが登場した時にハッとした。
歴史や伝統、食文化はイデオロギーやアイデンティティにも繋がる。 イデオロギーやアイデンティティの対立。ネット上で見受けられる論争、最近では『温泉むすめ』であるとか、に余りにも似ている構図。 感情は無視できないが、感情だけでは暴走してしまうこともありえる。理論と考察は欠かせない。どちらが正義か、どちら...続きを読むが正しいかを簡単に決めつけるのではなく、考え続けることが重要。 映画化もされ、中立的な視点と立場で和歌山県太地町の問題が書かれている。
いや、これは大変な力作にして名著。感情的になることなく、個人の偏見や思い込みに走ることなく、反捕鯨・反イルカ漁と漁民や反捕鯨と対する側の状況、主張、活動を大変に公平に取材・考察され、各テーマごとにドキュメンタリー的にまとめられていて、この問題についての理解に大変に勉強になった。 捕鯨問題は異文化理解...続きを読むの難しさ…そこに政治的思惑や特定の思想を旗印にしたプロパガンダ(さらにそれがまた真摯なものから実はビジネス…金儲けのためだったりと玉石混交)が入り込んで来ると尚更問題は複雑骨折化…の典型例にして縮図。海外に住み、国際ビジネスに関わる者として大変に考えさせられます。
奇妙な題名と表紙のイラストが、なんとなくユーモラスな雰囲気を醸し出しているが、いたって真面目な、そして極めて有益な本である。イルカを含む捕鯨について日本が強く非難されているのは周知のことだが、捕鯨を糾弾する側も、維持しようとする側も、それぞれの立場で鯨を大切にしていることが、本書を読むとよくわかる...続きを読む。 捕鯨に反対する側は、鯨、イルカをその知能の高さ、希少性から別格動物とし、特別扱いを求める。一方、日本、特に映画「ザ・コーブ」で取り上げられた和歌山県大地町にとって、鯨、イルカは、それなくしては生活できないと漁師が信じる特別な存在である。双方にとって、鯨は単なる動物ではなく、まさに「おクジラさま」なのだ。 映画を本業とする著者は、映画「ザ・コーブ」にも、それに対する日本側の反応の静かさにも釈然とせず、双方の主張を取り上げたドキュメンタリー映画を制作する。本書はその映画製作の動機、過程、様子等を綴った本である。 本書の副題は「ふたつの正義の物語」だが、「正義」は多分に情緒的、感情的な言葉である。対立する立場にある者がなかなか互いに歩み寄れないのは、相手の主張に、まず感情的に反発するからである。例えば、反捕鯨映画「ザ・コーブ」の中心人物リック・オバリーは、妥協点を見つけることはできないかという著者の問いに、こう答えている。 「できると思う。水銀の毒にまみれたイルカ肉を日本人に売るのをやめて、イルカを捕獲して中国、ロシア、北朝鮮、トルコに輸出するのをやめて、つまりイルカに一切手を出さないことさ」 彼の言う「妥協」とはつまり、己の主張を全面的に受け入れさせることである。このような、命令に等しい物言いには、言われた側はまず反射的に反発する。イルカ漁、捕鯨問題には、まず感情的対立があり、鯨の数や漁師の生活等のデータは、己の感情を正当に見せてくれるための補強材料となっている。捕鯨に関する対立の根底には、おそらくこうした構造がある。だから、話し合いを重ねても、適当な着地点をなかなか見つけられない。ぶつかっているのは、まず、己を正義と信じる感情なのである。本書を通して双方の主張にふれながら、私はそんな風に感じた。 興味深かったのは、映画「ザ・コーブ」でリック・オバリーが言及している鯨の水銀汚染である。「ザ・コーブ」では水俣病を引き合いに出して扇情的に紹介されているが、事実としたら大問題である。住民の健康を心配した大地町長は、熊本県水俣市にある国水研に調査を依頼する。その結果、大地町民の毛髪からは実際に基準値を超える水銀が検出され、鯨肉の摂取量が多いほど、毛髪水銀濃度が高くなることが判明した。 ところが、最高値を記録した70代の漁師を含め、健康被害が認められる人が、一人もいない。水俣病の初期症状が全く誰にも見られないのだ。そもそも、水銀含有量の高いクジラが、水俣病の魚、猫のような健康被害を全く受けていないのだ。これはどうしたことか。詳しくは本書を読んでほしいが、命の不思議、したたかさを見る思いで、大変興味深かった。 未見であれば、まず、映画「ザ・コーブ」を見ることをおすすめする。その後に本書を読めば、いろいろ考えるきっかけとなり、得るところ大である。私は、本書を読んで大変よかったと思っている。
本当に中立的なドキュメントとは何なのか、よく吟味された本。色々と怒りや許しがたい感情が込み上げて来たりもするが、それらも取り上げつつも個人の意見は表明せず、読み手の判断に預ける姿勢は素晴らしい。
この本も今週末公開する映画も、映画『ザ・コーヴ』の反証ではない! 捕鯨に関わる二つの立場(正義)とその対立から、それを公平(中立)に見ることがいかに難しいかを浮き彫りにする。 著者であり、監督でもある佐々木女史の苦悩に、読んでいて共感してしまう。 相手にうまく伝わらない、受け入れてもらえない、責めら...続きを読むれる歯がゆさ…… 相手の生業を「悪」として一方的に非難するのは、グローバリズムにもまた反するのではないか? それは今、排他的な政権が支持され問題になっていることに関連する気がした。 世界を良くしようとしたアクションの“その後”それは本当に「善意」なのか? 捕鯨に留まらない、様々な問題提起をしてくれる。 勿論、映画『ザ・コーヴ』の問題点も指摘している。クジラ肉ではなくイルカである(また、絶滅危惧種ではない)とか。 そもそも関係ないや映像が、さもそうであるかのように作為的に編集されていることなど。(実際、映画では注釈付きらしい) さらにイルカ類の肉に含まれている水銀データも実は未解明で、人間に有害な有機水銀と経口摂取では排出される無機水銀があり、後者の可能性がある等…… 捕鯨反対の論拠そのものが、確固たるものに基づいていないという…… 結局、人間の理性ではなく、感情論(義憤や罪ある他人を裁きたいと思う衝動)で世界は動いていたのだ…… 読み手によっても様々な意見が出てくる――そんな深い読み物だ。
イルカの追い込み漁の町、太地。隠し撮りでセンセーショナルに動物愛護を訴えたアカデミー賞受賞作「The Cove」。静かな海沿いの町は、それ以降365日海外NGOのカメラ、動画のアップにさらされ続けている。 「アメリカ人は自分で考える訓練を受けている。だから情報があればきちんと判断する。太地の人たち...続きを読むが言い分を発信しなければ一方の情報だけで判断されてしまう」。この信念のもとに双方の言い分をフェアに取り上げようとドキュメンタリー制作に奔走する著者。 「The Cove」のあまりにも恣意的な編集(時間や場所の異なるものをミスリーディングにつなげる)には同じ映像作家として強い怒りを示しつつも、日本の「捕鯨ナショナリズム」にも冷静な目を向ける。 文化の違いを尊重しろ、そんなレベルでとどまらない名著。映画を見逃したのが悔やまれる。 どこかで必ず観る。
『ザ・コーヴ』という映画によって、自分たちの意思とは無関係に世界中で有名になってしまった、和歌山県太地町のクジラ漁が題材の作品。 世界各地でクジラを獲って生活している人々は大勢いるが、なぜ太地町が特別目の敵にされるのだろうか。その大きな理由として、獲物を沖から大量に追い込むという漁法、そして捕殺の...続きを読む瞬間に海水が真っ赤に染まる入り江、という残忍なビジュアルが大きく影響している。 口下手な漁師町の人々と、SNSを駆使し世界中へ発信する事に長けている、シーシェパードのような環境保護団体が諍いを起こせば、その情報の内容と拡散の仕方は火を見るより明らかなのである。生き物や環境を保護する事自体より、弱きを守る自分たちの姿を発信し同情と寄付を集める事が、環境保護団体の本業のようにも見える。 クジラを生活の糧とする人々、そしてクジラを守る人々、今は情報量の差によって片方が悪とされてしまっているが、実は最初から悪など存在しないのかもしれない。全く同じ情報が、切り取り方やバイアスの掛かり具合によって、薬にも毒にもなり得るという事を、私たちは理解しておかなければいけないと思う。
映画を観てから読んだので、すごく入ってくる。 佐々木監督がよく言ってた、正義対正義の話や中立という言葉を自分なりに考えさせられる。
「ザ・コーブ」を観て強い違和感を感じた著者が、より中立的な目線で太地の人々を描いたドキュメンタリー映画を制作する過程を描いたもの。 シーシェパードがいかに自己宣伝に力を入れているかが良くわかる。 が、環境保護派は自らが絶対善なので、対話のしようがない。 「正義の反対は悪ではなく、反対から見た正...続きを読む義」とは正にその通り。 結局、「こちらから見た正義」を粘り強く発信し続けるしかない。
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