【感想・ネタバレ】SE職場の真実 どんづまりから見上げた空のレビュー

あらすじ

IT業界「多重下請け」の実話
この過酷な労働環境は過去の話なのか!?

本書には2つのことが書いている。

1つは、IT業界の末端で働く人から見た世界だ。昨今は「働き方改革」が叫ばれるが、現場を無視した働き方改革など全く意味がない。改革を進める人たちはどれほど現場を知っているのだろうか。間違った改革をしないためには現実から目を背けてはいけない。単純に労働時間の短縮を進めても、そのしわ寄せは立場の弱い人のところにいくだけである。

もう1つは、システム開発に関わる立場によって見えている世界の違いだ。システム開発には、発注企業の業務部門、システム部門、受託したITベンダー、その下請けとなるソフトハウスなど、様々な立場がある。立場が違えば見える世界が違うのは当然。だが、得てして人はそれを忘れてしまう。優れたシステムはよい環境からしか生まれない。「あの現場は最低だった」と言われる環境で優れたシステムができるわけがない。良いシステムを開発・運用するには、システムに関わるすべての人を理解することが欠かせない。本書には、下請けソフトハウスのプログラマのほか、設計担当者、システム部門の責任者、業務部門の社員など。それぞれの視点で見えた世界を書いている。

ITに関わるすべての人に本書を読んでほしい。優れたシステムはよい環境からしか生まれないからだ。IT業界の働き方改革を進める人にとっては、本書は本当の現場を知ることができる貴重な存在になるだろう。

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Posted by ブクログ

実はこの書籍の著者の方とは、とあるIT系のコミュニティで面識があります。(とはいってもお会いしたのが一度だけですが・・・)
いわゆる「IT土方」からキャリアをスタートし、事業会社の情報システム部門・営業・工場責任者を経て、現在では自社のIT戦略を担当されているそうです。
興味深いのは、それまでのご自身の経験を血肉にして、業務システムに関して独自の哲学を持たれているという点です。

テクノロジーや方法論には流行り廃りがつきものですが、こうしたブレない「哲学」を貫く姿には一種の憧れのようなものを感じますし、是非自分もそうありたいと思った次第です。

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2018年04月08日

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