あらすじ
風力発電施設建設会社のビルの中で、夜警の死体が発見された。一見、階段を踏み外したための事故死に思われたが、監視カメラに侵入者が写っていたことで、にわかに殺人の様相を呈する。奇妙なことに、社長室のデスクの上になぜかハムスターの死骸が残されていた。これは一体何を意味しているのか? 風力発電の利権をめぐって次々に容疑者が浮かびあがり、さらに第二の殺人が。再生可能エネルギーにかかわる国家的犯罪なのか? 人々の欲望と、巨大な陰謀に呑み込まれる刑事オリヴァーとピア。〈ドイツミステリの女王〉による新たな傑作が誕生!/解説=大矢博子
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Posted by ブクログ
風力発電に関する推進派(政府・企業)と反対派(市民)の対立。
しかし、想像を絶するやりあい。
自分達の主張を通すためには手段を取らないそのやり口は、どちらにも嫌悪を抱かせる。
風力発電は、環境に優しい再生可能エネルギーだと思っていたので、環境破壊を理由に反対運動が起こるとはびっくり。
「渡り鳥の渡りのルート上には風車を作らないで」と作家の梨木香歩が言っていたけど、それ以外にもいろいろ問題はあるのだな。
そして、地球温暖化という不安に簡単に踊らされてはいけないと改めて思う。
もちろんエコは大事だし、何事につけ踊らされるのはよくないけれど、「地球温暖化」というのは結構な切り札になるので。
でもって、シリーズが進むたびにオリヴァーの情けなさが露になる。
女に弱いにもほどがある。
今回ほとんど捜査の戦力にはならなかったオリヴァー。
確かに父親が殺人事件の死体発見者になったり、その被害者から遺産を贈られたりと、どっぷり事件に巻き込まれてしまったということはあるけれど、職場に連絡もしないで個人行動ばかりなのは組織人としてアウトでしょ。
「結婚が破綻し、両親のところに居候し、ゾフィアのベビーシッターしかまともにできることがない。仕事にも身が入らない。ここにいる意味あるかい?」
という、最後のオリヴァーのセリフに、ベビーシッターもまともにできてませんけど!と突っ込んだのは私だけではあるまい。
Posted by ブクログ
オリヴァー&ピアシリーズ第五作。
オリヴァー&ピアのシリーズなのに、ここ数冊、どんどんオリヴァーが壊れていってダメ男になっていっていて、刑事としてすら使えない人間になっていっていて実に残念。
正直読んでいて痛々しくてオリヴァーのシーンは見ていられなかった。
その分、ピアの頑張りはますます必要で、彼女の方も折角得た新しいパートナーとの関係が危うくなってきていて、こちらも別の意味で心配。なのに、オリヴァーは勿論のこと、他のチームメンバーたちもプライベート優先で、ピアのプライベートは誰も心配しないの?と彼女本人ではないが、そう言いたくもなる。
事件の方は風力発電建設に絡んだ様々な汚職や陰謀が錯綜する。出てくる人物みんながみんな、自分のことしか考えていなくて、こちらも正直読んでいて厭になってきてしまった。
環境問題など本気で考え取り組んでいる人間は誰一人としていないのか?と思えるほど。しかしこういうことはドイツに限らずどの国でもあるのだろう。
唯一、マイクが大人たちのエゴに巻き込まれて可哀相だったが、逆に言えば彼もまた流されやすいのが弱点。もっと自分を強く持って欲しかった。
最後の最後にオリヴァーから爆弾発言が。オリヴァー&ピアシリーズなのに(敢えてもう一度書く)どうなるの?
しかし本国では第八作まで出ているそうだから、収まるところに収まるのか。
ただこの調子のオリヴァーだとどうもシリーズ自体に興味が薄れていく。元の愚直なまでに仕事熱心なオリヴァーに戻ってほしい。