あらすじ
戦中派の矢口は激しい生命の燃焼を求めてサラリーマンを廃業、安売りの薬局を始めた。メーカーは安売りをやめさせようと執拗に圧力を加えるが……大手スーパー創業者をモデルに話題を呼んだ傑作長編。
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Posted by ブクログ
フィリピン、ルソン島で地獄を経験した矢口は日本に帰り、「どうせ一度は死んだ体」と割り切って会社を辞め、「価格破壊」を標榜しスーパーマーケットを立ち上げる。
従来のメーカー⇒卸⇒小売という商流の中にあった慣れ合いや癒着を一切排除し、次々と常識を打ち破っていく矢口の言葉・行動は力強くて圧巻。
常識を打ち破る姿が痛快で、文章の歯切れはいつもの城山三郎のように非常に良く、読んでいて本当に気持ちがいい。
モデルは誰だろうと思って調べるとやはりダイエーの中内功であった。
原体験のある人は強い。自分にはそんな強烈な原体験はないけれど、この本だって原体験になりうる。だから小説でも読書はやめられない。
Posted by ブクログ
経済法の教授がオススメしていたので、少しでも経済法の理解の足しになれば…と思い、読んでみました。
簡単にいうと、独占禁止法の「不当廉売」の話です。不当廉売からのし上がっていく主人公と、それを阻止しようとする大企業との闘い。講義を聞いたり、法律の条文を目で追ったりするだけでは、決して分からない当事者(被害者・加害者)の心情・息遣いが伝わってきます。
個人的には、「経済法の理解」に重点を置いていたので、その点では物足りなかったので、この評価です。しかし、小説に「経済法の理解」を求めすぎるのも筋違いかなとも思っています。
物語としても面白いと思います。自分のように勉強の理解のために…と欲張るのでなければ(笑)オススメです。