【感想・ネタバレ】道教とはなにかのレビュー

あらすじ

中国は儒教の国ではない! 道教こそが今でも生き生きと脈打ち、人々から篤い信仰を得ている。「道教がわかれば、中国のことはまるごとわかる」と魯迅は言ったが、中国人の精神構造を知るための鍵は道教なのである。では道教とはなにか? この問いに対する答えは単純ではない。なぜなら、道教は教理、哲学、経典を中心にした宗教体系ではなく、呪術、儀礼、戒律を基礎とした民族宗教であって、文献・資料からだけではその全貌を窺い知ることができないからである。本書では文献による歴史的理解は当然のこととして、東南アジアの華人街の現地調査も踏まえ、中国人のこころの拠りどころとしての「気の宗教」の本質を紹介する。冒頭に初学者のための「道教をめぐるQ&A」を付す。

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Posted by ブクログ

中国の民族宗教である道教を、主として方術・呪術的実践の視点から概説した書。房中術や導引、呪言や呪符から煉丹術、本草学といった諸分野から道教の姿を解説すると共に、日本への影響や気功をも含めた今日の道教界の様相についても紹介する。
本書は、2005年に中央公論新社より中公叢書として出版された同名書の文庫版である。中華文化圏の民族宗教として、中国本国はもちろん世界各地の華人居住地でも信仰されている道教であるが、実際の信仰の場から見えてくる姿は教理哲学よりも福禄寿といった現世利益を志向した呪術的側面が強い。本書の特徴は、道教の解説をそうした呪術的要素の解読から試みている点である。本書で主に扱っているのは道教の前段階としてあった古代の方術(房中術、導引、禹歩)、呪言や呪符、煉丹術や医術(黄帝内経医学)、本草学などであり、道教の様々な実践の姿を資料や文献・今日のフィールドワークの結果を渉猟しつつ概説している。内容があまりに多岐かつ専門的であるので全くの初学者が読むには少々カロリーが高いようにも感じられるが、多方面にわたる道教の姿を一望することができるという点こそが道教の概説書としての本書の強みであると言えるだろう。反面、あらかじめ著者が断っているように道教の教理哲学、儀礼についての解説は必要最低限のものに留まっているので、そちらの分野を知りたいと思っている読者は注意が必要である。

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2026年03月08日

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