【感想・ネタバレ】幻想建築術のレビュー

あらすじ

魅惑的な建築物と謎に彩られた〈都〉を舞台に紡ぐ連作短編集。都の秘密に取り憑かれた神学生の葛藤と恐怖を描く「神の墓」、祖父が遺した複雑怪奇な建物の図面に魅せられた少年が、運命的な出会いへと導かれる「偸盗」、人好きのする腸詰屋の女将の悪夢に隠された秘密が恐ろしい「こともなし」ほか、十二話を収録。すべての物語がつながったとき、明らかになる〈都〉の驚くべき秘密とは……!?

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Posted by ブクログ

千年続いたという「都」を舞台にした幻想的な連作短編集。非常に「浸れる」小説だった。絢爛で叙情的な文体が、この物語のためにあるかのように一体となっていて、本当にこの作品自体がひとつの建築物みたいにしっかりと構築されている。

序章 腐乱の美酒
第一章 神の墓
第二章 聖心臓
第三章 炎の髪
第四章 チュウ盗
第五章 叫び
第六章 偶像彫り
第七章 飢える男
第八章 化金石
第九章 こともなし
第十章 荒野より
終章 鈴

どの話も良かった。「偶像彫り」、「こともなし」あたりが好みかな。

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2013年07月18日

Posted by ブクログ

ある謎に包まれた<都>を舞台にした物語。

初めて読む作家さんだったのですが、
「序章 腐爛の美酒」の読みづらさに内心怖気づいていました。
さて、これは最後まで読めるのだろうか?と、久々の挫折の予感。

ですが、本編に入ると途端に読みやすくなり、
あっという間に、この幻想的で奇怪な世界の虜に…!
しさの仮面を被った悪夢のようなお話の数々。

<都>の謎にとりつかれてしまったある神学生。
石工の青年の秘密を目撃してしまった黒猫。
夫と娘を亡くして以来悪夢にうなされる腸詰屋の女将。

一つ一つが独立した話でありながら、
読み進めていくうちに繋がりが見え始めます。
内容、構成ともに素晴らしいのですが、少々凡庸なラストが惜しい。
ここまできたら、もう落ちるところまで落ちて欲しかった~(笑)

でもその事を差し引いても、とても自分好みの作品でした。

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2012年06月14日

Posted by ブクログ

惜しい。まことに惜しい。大傑作になる可能性を秘めた構想だったと思うのだけれど、きれいにまとめて終わってしまったために凡作になってしまった。
冒頭から格調のある華麗な文章で幕を開け、その後に続く何章かの不条理劇は快哉を叫びたくなるような出来映えだった。第三章の「炎の髪」が特に良い。なのに、第七章の「飢える男」のあたりから各章を無理やり関連させようとする意図が見え隠れし、第八章の「化金石」に至ってはもう謎解きに入ってしまう。これは興醒めだ。第九章「こともなし」ではすでに物語は混乱し、第十章「荒野より」では説明に終始する。惜しい。まことに惜しい。第十一章はもう蛇足以外の何者でもなく、せっかくの物語世界を自ら台無しにしてしまっている。
もうさ、ずっと不条理劇でよかったんじゃないのかな?第一章ですべてを予感させているのだから、その後は何を語っても夢物語で納得してもらえると思うんだが。この構想で著者の文体をもってすれば、中井英夫並みの幻想小説の傑作になったのではないかと想像すると、いや、本当に惜しい。

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2011年12月23日

Posted by ブクログ

 病床にある老人が<都>の夢を見る。
 
 <都>と、そこに暮らす人間の暗部を描きながら、最終的には<神>の存在を問う。
 ま、いわば<都>は神の入れ物ってことなのかな。
 つか、入れ物なしに、神は存在しないということか。

 連作短編集なんだけど、関連のある人物がつながりつつ変っていくのが、面白かった。

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2011年11月29日

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