あらすじ
胤(たね)よりも腹(はら)が大事――母親が誰かに注目した「女系図」でたどると、日本史の見え方が一変する。滅亡したはずの平家は、実は今上天皇にまで平清盛の血筋を繋げる一方、源頼朝の直系子孫はほどなくして途絶えているのだ。「史上初にして唯一の女性皇太子はなぜ誕生したのか」「徳川将軍家にはなぜ女系図が作れないのか」等々、著者作成の豊富な系図をもとに、次々と歴史の謎を解き明かしていく。
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Posted by ブクログ
皇室から平安時代の藤原氏、そして各時代の将軍家。資料に記述される表の歴史では滅亡してしまっているはずの一族が、女系に視点を置いてみてみると違った面が見えます。血という観点から考えると、一族の血は絶えておらず、それどころか時代の中心に今も居続けていることがわかります。そしてそれが昔はむしろ重要であったこと。それが歴史の重要なポイントをみるときに必要な視点であることが書かれています。古代、中世の人間関係を、このポイントで押さえた説明を読むことで、なるほどと合点がいくことになり新鮮さを感じながら読ませていただきました。
Posted by ブクログ
著者が楽しみながら、好きなように書いていることがよく分かる本だった。歴史を学ぶのに、自分の手を動かして作業しないといけないと思っていたところ、著者が自前で女系図を作って古典を楽しんでいたというのは良い例だと思う。知らない人物、言葉が多過ぎて何か新しい知識が頭に残ったような気はしないけれど、発想の種みたいなものは得られた気がする。読んでて楽しかった。
180214
Posted by ブクログ
戦略的にやってるんだろうけど、この人の露悪的な言い方がどうも鼻について…と思っていた。
が、やはり面白い。
古代の天皇制についてはほとんど知識がないので、藤原光明子があと少しで天皇になるところだという話にびっくり。
しかもそうすれば、天皇家が姓を持つ事態になっていたかもしれないと聞けば、刺激的だ。
(今年出た本なので、女性天皇ことも考えさせられる。)
頼朝の母、常盤御前は、「雑仕女」とされ、地位の低い人と思われているが、当時義朝の唯一の正妻として、社会的に重んじられていた、とあるのも初耳。
武運を上げるために醜女を娶ったり、秀でた学者は特異な容貌をしているという文化的伝統も、興味深い。
これは『美男の立身、ブ男の逆襲』などに書かれているそうなので、機会があれば読んでみたい。
Posted by ブクログ
<目次>
第1章 平家は本当に滅亡したのか
第2章 天皇にはなぜ姓がないのか
第3章 なぜ京都が都になったのか
第4章 紫式部の名前はなぜ分からないのか
第5章 光源氏はなぜ天皇になれなかったのか
第6章 平安貴族はなぜ「兄弟」「姉妹」だらけなのか
第7章 「高貴な処女」伊勢斎宮の密通は、なぜ事件化したのか
第8章 貴族はなぜ近親姦だらけなのか
第9章 頼朝はなぜ、義経を殺さねばならなかったのか
第10章 徳川将軍家はなぜ女系図が作れないのか
<内容>
平安時代を中心に、「女系図」(女性中心の系図)を作ることで、歴史を違う視点から見るお話。「新潮45」に連載した記事に書きおろしを加えたもの。古典の解釈で斬新な解釈を提示する著者らしい内容である(徳川家は「女系図」を作れない。理由もわかる)。若干、使っている論文が弱い気もするが、読み物としてはとても面白い話である。
Posted by ブクログ
日本の歴史上の家系図は、大体男系だ。平家は滅び、源氏は滅び、なんだかんだ。
なのだが、女系で家系図を作ると実はいろんな事実が見えてくる。たとえば平氏は滅ぶどころが皇室まで繋がってくる。
これを、著者は、学生の頃から興味と趣味で作って来たという。
まじで、歴史学の一角にキチンと入れて研究した方がええんやないか。文学やなくて。
と思うのだが、まあなんつか、平安は源氏物語の世界で、正直どうでもよくて、唯一面白いなと思ったのが、義経が結構持ち上げられて来たのは、お母さまのせいだろうという分析。
静御前もうちの嫁さん言わせれば最低の女らしいのだが、どうにもとんでも無いというのが実情らしい。
なるほど。
Posted by ブクログ
京都が都になったのは、京都は渡来人が多く住んでいて、天皇の母親が渡来人だったから都を移した。
建造にも渡来人が関わっていた。
京都人が聞いたら憤死しそう。
母親が重要視されていた時代から、院政になり、父親が重視されるようになると同時に女性の地位が低下していった。
滅亡した家も今上天皇に繋がってるってすごいと言うか、狭すぎるような。
興味深い内容なのに、漢字読めないのがいっぱいだし、読むのに疲れた。
言葉が直接的で、ある程度はしょうがないけど系図にやった相手って露骨すぎやしないだろうか。
柔らかくしても一緒なんだけど。
Posted by ブクログ
胤よりも、腹が大事?!
平家は滅亡した。
確かに私はそう習った。
壇ノ浦で、幼い天皇を抱き、皆が入水自殺した。
はずだった。
もちろん平家の落人の村、なんて言い伝えも確かにあるが、主流ではない。
と思っていたら、なんと、今上天皇にまで系図が続いているのだそうだ。
そんなバカな?!
確かに今まで見たことのある系図は、父が誰かに重点が置かれ、母は単なる「女」とか、「〇〇の女」(菅原孝標女など)「〇〇の母」(藤原道綱母など)であった。
しかし、なぜ男系なのか?
父がいれば当然母もいるわけで、そこに焦点を当てると、常識が覆る。
物事を疑ってみる、多面的に見るとはこういうことかと目からウロコだ。
作中、手塚治虫の『奇子』が登場する。
まさかここでこの作品を耳にする(目で見ているのだが)とは。
詳細は省くが、奇子の生まれた旧家における人間関係の入り組み方は、日本の歴史そのものだ。
これが普通だとしたら、恐ろしいが、残念ながらこれは日本だけではなく、諸外国にもあてはまる。
有名なのがハプスブルク家だ。
さて、第五編の「腹」の話を読むと、国語の授業で、古典を読むというのは、なかなかキワを責めているのかもしれない。
よく考えてしまうと、結構、アレがアレだ。
それに、我が国の名作である『源氏物語』はまことに厨二病をこじらせた物語だ。
私がこんな素敵な彼に見初められて愛されちゃったら、こうなってこうなって.......。
イタすぎる。
夜中に書き溜めちゃったポエムの方が何倍かマシかと思うのだけれど、そう思えば、古文の授業はきっと楽しくなるだろう。
「いづれの御時にか 女御更衣あまたさぶらひ給ひけるなかに」が、睡眠のまじないではなく、覚醒の呪文になりますように。
Posted by ブクログ
興味はあったんだけど、この手の話がうまく頭に入ってこない頭の構造なんだと自覚した。
ほら。平面図が頭の中で立体化しない人もいるように。
脳の傾向?向き不向き。
後半慣れてきたのか、大分楽しめた。