あらすじ
売るか買うかではない。
大切なのはどこと組んで成長するか。
日本における中堅・中小企業M&Aの潮流は、後継者不在による事業承継型から、会社の成長を実現する手段としてM&Aを選択する成長戦略型へと移行しつつある。社会の産業構造が激変、ビジネスにおいてカテゴリーを越えた「異種格闘技戦」ともいえる状況が繰り広げられているいま、中堅・中小やベンチャー企業が勝ち残るには、自社のステージを引き上げるためのパートナー選びが重要だ。そのためには、まずは会社を「売る」か「買う」かという思考を捨て、ゼロベースでのM&A戦略を考える必要がある。
本書では、M&Aにより会社・社員・経営者すべての成長と、経営者の新たなステージへの挑戦を可能にした最新の8社の事例と、IPO(株式公開)と変わらない効果を実現するためのM&A=「ミニIPO」の知恵と考え方を紹介。日本におけるM&Aの最前線を知るだけでなく、アフターオリンピックを見据えるための一冊でもある。
【目次より】
第1話◆「成長戦略型M&A」とは何か?
第2話◆「価値情報」を活用できる会社が勝ち残る
第3話◆人の成長なくして企業の成長なし
第4話◆大手企業と組んで中間流通業から脱却
第5話◆ファンドを活用したM&Aで会社を成長させる
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Posted by ブクログ
M&Aで会社を譲渡することを「ミニIPO」と例え、社員、会社、オーナーそれぞれにIPO以上の効果をもたらす三方よしの戦略であるとする考え方が非常に参考になった。
自社の譲渡を成長戦略と捉える一方、先代や社員に対し申し訳ないというネガティブな思いを払拭できないオーナーに、救いの手を差し伸べるフレーズである。
会社を買うという選択肢は、どうしても自社の規模や資力が限界値となるが、売るという選択肢は、特に中小企業にとって際限のない成長をもたらすプラチナチケットである。
また、ITの進化による越境型の事業展開についても大変勉強になった。
小売に始まり、今やナナコを起点としたビッグデータの収集、プライベートブランドの製造まで手がけるセブンイレブンの事例は、産業構造のドラスティックな転換を感じさせ、今後、どんな企業にとっても「現状維持は衰退である」ということを強く認識させてくれた。