【感想・ネタバレ】消費大陸アジア ──巨大市場を読みとくのレビュー

あらすじ

増加する訪日観光客、喧伝される中間層の増加、進出が続く日本のメーカーや飲食店……アジアの市場・消費が注目され始めて久しいが、その重要性はますます高まってきている。中国、台湾、タイ、ベトナム、インドネシアなどアジア各国で長年調査してきた著者が、各地に進出した日本企業の成功と失敗の豊富な事例から、その成否を左右するアジア市場固有の論理を読みとく。日本企業の海外展開や訪日観光客招致のポイントを知りたい人はもちろん、アジアの地理や文化に関心がある人も必読の一冊!

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Posted by ブクログ

少子高齢化による人口減少はいずれ国内消費の縮小に繋がるのは誰でも予測がつく。企業が今と同じ利益を維持するためには、更なる商品やサービスの提供までのコストを下げるか、より高くしても売れる様な魅力的な商品を作るか、そして本書のテーマとなっているアジアなどの海外に向けて進出し、より多くの量を売るかしかない。肝心な事は提供する商品やサービスが、顧客の心を捉えるだけの価値を持っているか、それ自体に魅力があり、必要性を感じさせなければ、当然それは売れない。だから、企業はマーケティング活動を行い、自社が提供するそれらの価値が本当に顧客のマインドを揺さぶるか、可能な限りの情報を集め分析している。これがうまくいかなければ、国内だろうと国外だろうと価値を提供する事は叶わないだろうと思う。
問題はそこから更に先にある。顧客が何を求めているかは一通りではない。民族も国も性別も年齢も違う全ての人々が同じものに同じ価値や意味を見出すわけではない。本書のテーマはそこにあり、消費者、特に人口が増加し、経済の発展により所得も上昇し、中間層が爆発的に増加し続けているアジアの消費層を例に挙げて、消費行動に影響する要素に対し細かな分析を行っている。前述した様に、進出する国によって社会制度や宗教観念や所得の幅も様々であるから、そうした多くの要素が消費意欲に深く影響を加え、どういった商品が売れるのかを予測する事は非常に難しい。
本書は日本の企業が果敢にアジアへ進出した複数の事例を挙げ、分かり易く解説を加えることにより、それら消費行動に結びつく要素やきっかけが何であるかを理解することができる。必ずしも思った通りにならないのがアジアの面白いところであるが、それ自体が地球上の人口の6割を占める46億人が暮らすアジアなのだと改めて感じさせてくれる。
私自身東南アジアを中心に大半の国は旅行や仕事の出張などで訪れる機会があったが、どの国も独特の食文化や交通インフラの整備状況、電気事情など異なるものに触れその国々らしさを感じることが多くあった。特にレストランが提供する食事内容や、スーパーの品揃えには、その国らしさが出ていた様に記憶する。東南アジアなどは日本の製品も多く出回っており、日本で我々が当然と感じていた売り方とは異なる売り方に思わず、スーパーの中でカメラのシャッターを切ったこともある。要するに我々が(私が)感じている商品の意味や価値が、世界共通ではなく、私にとっての意味、私にとっての価値に過ぎないことを、それらの場所は教えてくれた。
本書は当然ながらマーケティング中心の本ではあるが、そうした海外で異文化に触れた方なら、色々過去の体験や記憶と照らし合わせて、懐かしみながら読めることもあるだろう。何よりここまでわかり易く納得感のあるマーケティングの本は、これまで読んだ経験が私にはない。単純に文化の違いがあるからとは言わせない、それ以外の根本的な部分を構造的にまとめ、理解し易くしている点で、マーケティング分野の経験がない人でも容易に手が出せる内容だと感じた。

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2025年09月20日

Posted by ブクログ

文章が読みやすいのが特に良かった。
大衆向けのビジネス記事のような文体で、内容も興味を引くものばかり。専門用語があまり出てこず、新書らしくないけど自分は好き。
実際に色々な国でマーケティング担当をしているような気分になれた。
ドラッグストアで中国人が爆買いしている事は、有名だけど、金持ちだからという理由以上に、それにはちゃんとした理由があったんだね。

海外に店を構えることにおいて、何となくその現地に合わせる事が大切だとは思っていたけど、それごこれ程まで難しいとは思わなかった。商品のどこを変えて、どこをそのままにしておくか。その微妙な判断がとても難しい。
もし海外に店を出すなら、それ専門のコンサルに任せるしかないと感じた。

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2023年12月14日

Posted by ブクログ

International Marketingの一冊目、導入としておすすめしたい一冊。日本の身近な商品がどのファクターによって海外市場に受け入れられたかが平易に説明されている。フレームワークが使いづらいことが個人的にはマイナスだが、イメージは掴めると思う。

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2022年01月07日

Posted by ブクログ

日本製品を異なる意味付けで、違った価値として使用していることはよくある。駐在すればよく分かる。日本品質のまま攻めるか、現地カスタマイズするかは製品特徴や経営意志次第。どちらもストーリーは成り立つ。

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2019年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

■ポカリスエットがなぜインドネシアで人気なのか
体の渇きを癒すイオン飲料
日本:風呂上がり、スポーツの後、飲酒後
インドネシア;デング熱がもたらす脱水症状、ラマダン明けの脱水症状
→全人口の8割を占める2億人のイスラム教徒すべてを市場に取り込んだ
→意味次元の適応化→価値の地域差を乗り越えた

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2018年01月21日

Posted by ブクログ

タイトルから巨大市場としてのアジアのビジネスの現状を説明した本だと思っていたら、アジアでビジネスを成功するための理由とその戦略を説いた本で、期待と別にアタリの本でした。

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2017年12月24日

Posted by ブクログ

ゲーム関連だと中村彰憲先生の仕事と合わせて読むと面白そうに思った。医薬品で考えると、マーケの領域を出ないのかな。市場での受容のされ方に考慮して創薬ってやんないだろうし。すきまが空いているような気もするけど。教育はどうだろう。とか、いろいろ考えれる。ただ、フレームワークが大きすぎるので、実務に落とし込むの、片手間じゃ無理だな。

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2022年08月11日

Posted by ブクログ

アジアでビジネスをする人には参考になる本。
後ろの方は書いてる内容がだんだん難しくなり、
読みにくかった。

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2017年10月02日

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