あらすじ
戦国の梟雄と称される松永久秀。織田信長上洛前の京の実質上の支配者であった彼は、主家・三好家を乗っ取り、第十三代将軍・足利義輝を弑逆、さらには東大寺放火と、その非道な行動から悪人のレッテルを貼られてきた人物である。だが、かつて同じく梟雄と称された斎藤道三や信長が、一方で優れた先見力を持ち、時代の先駆者として近年再評価著しいように、久秀もまた、少なからずその面を持ち合わせている。本書は、彼の評価を人間的な史観から問い直す力作である。京の東寺を縄張りとする浮浪の少年であった久秀は、ひょんな経緯から三好家と縁の深い隆法院の寺男となり、さらに離宮八幡の荏胡麻買いの人夫に。この時期に培った視野の広さ、兵学、そして処世の術をもって、後に三好長慶に仕え、次第に能力を発揮していくのである。何の後ろ盾もなく、自らの力のみを信じて乱世を疾駆した男の心情と、下剋上そのものの波瀾の生涯を見事に描出する長編小説。
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Posted by ブクログ
信長上洛後の彼については結構知ってたけど、その前、三好家に仕えて頭角をあらわしていく過程を知れてよかった。義輝が将軍時代の機内がどうだったか、三好家がどう台頭したか、義輝の暗殺や大仏殿の焼き討ちがどう起こったのかなどなど面白かった。
Posted by ブクログ
主家の乗っ取り、将軍弑逆、東大寺放火など、その非道な行動から戦国の梟雄と称される松永久秀。だが、浮浪の身から京の支配者にまで伸し上がった彼の評価を、本書は人間的な史観から問い直す。若き日、京の実力者であった三好元長に取り立てられたことに始まる、下剋上そのものの人生。何の後ろ盾もなく、自ら培った教養と処世の術で、乱世を疾駆した久秀の心情を見事に描出する力作長編。