【感想・ネタバレ】東の果て、夜へのレビュー

あらすじ

組織の命を受け、少年たちは数千キロの旅に出る。人を殺すために……。昨年英語圏で最高の評価を受けたロードノベルにしてクライムノベルの傑作。英国推理作家協会賞ゴールドダガーほか三冠達成!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

クライムノベルであり、ロードノベルであり、ティーンの成長譚である、俺の好きな3要素ががっちり詰まっているなら読むしかないだろ!

ほとんどの部分、主人公イーストの独白調で物語は進む(ちょっとだけ違う視点で語られる章がある、俺の好みではあの視点は不要と思うが…)、このイーストが生真面目で、一直線で、憂いや哀しみや諦めを心に抱えた可愛いヤツなんだよなぁ。生活環境から犯罪に手を染める生き方を選ばせて(選択肢がそこしかない)いるが、環境が違っていれば、文武両道で頼れるいい子になったんだと思うが…。

そんな主人公が、エエ加減な男、デブッチョオタク、13歳の殺し屋(弟)とともに、青色のヴァンにのって、LAからはるか2000マイル(3000キロ!)先のウィスコンシンまで、人を殺しに行く。というのが大雑把なあらすじ。

普通、ロードノベルや成長譚というと、明るい希望があるからこそ魅力的で、ページ繰る手もポジティブになろうというものなんだが、この物語は一筋縄ではいかない。ほぼ全編にわたって明るい希望が見当たらないのだ。後半になって主人公がたどり着いた先で、よーやくボヤーっと見えた「あれはひょっとして明るい未来につながるのかなぁ…」って希望の断片も、ものの見事に踏みつぶしてくえるし、オーラスの話の締めは、「ガメラ3イリス覚醒」に似た「それでも行くのか…」な哀しみを連れた未来しか見えないし…。

なのに、なぜか、この物語にひかれてしまった。もっとストレートな成長譚、もっと未来につながる旅物語の方が好きなはずなんだが…。絶望は嫌いだが、この作者の小説は、絶望であっても、追いかけてみたい、と思ってしまったんよなぁ。

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2019年05月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

LAの一角しか知らなかった15歳の少年イースト。叔父が支配するドラッグ組織で見張り役をしていたイーストは、叔父の命令でほかの3人の少年たちと共にバンに乗りウィスコンシン州に向かう。目的はある人物を殺すこと。

犯罪組織に属する癖の強い4人が道中、平和に旅するわけがありません。どんどん問題を抱えていってしまう。仲間との軋轢を重ねながら、今まで知らなかったLA以外の地域、自然、人々を目にしてゆくイースト。

物語の最後になって、イーストは叔父の命令の真意を知ります。LAに戻り犯罪組織で生きていくのか、それとも東(イースト)で新しい自分として生きていくのか。イーストの決断に心を揺さぶられた。

この本、アメリカの地図付きだったらいいと思いました。カリフォルニアからウィスコンシン、そしてオハイオなど地図を辿りながらもう一度読みたい。
アメリカ横断のロードトリップをしたくなります。

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2019年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

タイトルに惹かれて購入しました。原題ならば手に取らなかったかも。
幼い頃から犯罪組織の一員としてキャリアを積んだ少年らが、証人殺しの命令を受けて2000マイルの旅路に出る。
その最中で主人公イーストは、自分が築き上げてきた自信や、辛うじて捨てていなかった清らかさや絆も捨て去らなければならないような体験をする。
物語終盤になり、過去に犯罪組織の見張りで叩き込まれた規律と忍耐力が、ペイントボール場のオーナーの信頼を得る良い武器となり、多くの人から小さな信頼を積み重ねるように得ていく。そのささやかな成功体験が誰のものでも無い自分自信の考えを見つけ出すきっかけとなる。
読み易くテンポも良いため、長さを感じさせない良い小説だと感じました。表紙の良さが際立つ。この表紙に対して、星一つ上乗せ。ハヤカワ文庫のデザインは優秀。原作も同じ表紙だったら的外れかもしれないが、カッコイイ!

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2020年02月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

黒人少年の成長物語...
主人公イースト、やっぱまだ少年だけあってタフガイではない。タフガイであることを期待してまうんやけど、実際は弟のタイの方がタフガイ。でもイースト、いいやつ。
オハイオでの生活がもっと長く続けばよかったのに。

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2018年02月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ハードボイルトとはいえ、渋いおじ様が主人公ではなく、ハイティーンの少年、それも黒人の男(の子?)が主人公という異色作。

ロスの犯罪エリアで生きる少年たちに下された指令は、組織の審理に不利な判定を下すであろう判事の殺害。少年4人は車に乗り、はるか東の果てへ向かう…。

少年4人のロードムービータッチの小説(ロードノベル)でありながらも、常にメンバーの不協和音が奏でられ、暴力と10代の無軌道な行動がせめぎあい、徐々に悪夢を帯びていくクライムノベルでもある

やがて、単純なストーリーの様であったクライムノベルが、実は少年の自立と再出発の物語と変わる。
どこまでも孤独ながらそれを当然のこととして受け入れ、淡々と生きる主人公の姿が切ないと同時に力強い。

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2017年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

前半の半人前悪党の少年たちがいざこざを起こしながらだらだらと東に向かっていくくだりは個人的には退屈でなかなかページが進まなかった。
終盤のイーストの再生物語には惹きつけられ、また、予想していなかった結末までの展開には驚き、なるほど全体としてみると悪くはないと思った。

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2019年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最初から危うい感じの4人組。予想どうりトラブルの連続。だんだん追い詰められていく感じで苦しくなり、なかなか読み進められない。
後半の穏やかな時の流れがよかったが、こんな生活はいつまでも続くわけがなく、やはり旅立ち。
新しい名前で生きていくイーストに、頑張ってと言いたい。
それにしても老成した男の子であった。

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2018年02月09日

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