あらすじ
「森林浴は気持ちがいい」「ハイキングしたら元気になった」それは単に気分が変わるからではなく、実際に自然がストレスを激減させ、脳機能を高めるためであることを科学的に解明。日本をはじめ、各国の最新の研究とその取り組みを紹介する。今日から脳力アップのために、まずは15分間、近くの公園でのんびりしてみよう!
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Posted by ブクログ
自然の中にいるとリフレッシュする感覚。
自然がこのような人の気分やウェルビーイングだけではなく、思考力にも及ぼす影響を数値で示そうとしている。
記憶し、計画を立て、創造性を発揮し、集中する力、社交能力までもが自然によって左右される。
自然の中で15分過ごせば血圧とストレスが低下して気分がよくなり、45分過ごせば認知機能や活力、熟考する力が増し、3日間過ごせば創造性が50%向上するという実験結果もある。
バイオフィリアとは
人間が他の生きた有機体と情緒の面で生まれつき密接な関係をもっていること
注意回復理論(ART)カプラン夫妻
自然の風景の写真をみた後や実際に戸外で過ごしたあとには被験者の思考が明晰になり、不安感が減る
自然には脳を回復させる力がある。それはトップダウン処理を行う部分が解放されて、そのあいだにじっくり時間をかけて回復できるから。
自然は視覚だけではなく、五感に作用する。
森の香りや鳥のさえずりもリラックスさせる効果がある。
フラクタルパターンとは(数学者マンデルブロ)
一見複雑で混沌としている膨大な配列のなかに単純な幾何学的ルールがあること
荒削りな自然の中によく見られる。
フラクタルパターンが脳を活性化させる
視覚系のフラクタル構造が、視野に入ったフラクタル映像と適合すると、生理学的な共鳴が起こり、ストレスがやわらぐ
うつうつとした気分を改善するには、1ヶ月に5時間自然の中で過ごす。一回あたり30分程度を週に二回過ごせばよい。
スウェーデン、デンマーク、フィンランドは世界幸福度は高いが、自殺率も高い。(長く暗い冬が原因か?)
電話で話しながら歩く人たちは、トップダウン処理を行っている注意ネットワークが休まず動き続けている。歩く、聞く、話すというマルチタスクを行っている。特に話す行為は多大な注意を向けなければならない。
自然の中で過ごすと、反芻思考(うつや不安につながる)が改善される
発達過程にある子供の脳には自然が必要
自然の中で遊ぶと、子供の認知機能と情緒的発達において、運動と探検遊びが強化される。
4才から18才のこどもが体を動かすと、脳内物質の働きが活性化し、知覚能力、IQ、言語能力、数学的能力が向上するうえ、学習に向けた下地もできる。
思春期のこどもの前頭前野は、環境刺激によって形成される
都市部で活かす方法は、身近な場所に自然があること。
都会の隅々まで緑で埋め尽くすには、政府の確固としたビジョンが必要(シンガポールの例)
ところどころに少し野性味を加えると、都会の自然は最大の効果を発揮する。
ネイチャーピラミッド(ビートリー)
毎日;庭、観葉植物、街中の公園で一息つく
毎週;緑豊かな大きな公園、川辺などでリラックスする
毎月;ハイキングや森林浴に出かける
毎年;大自然に畏敬の念を抱く
準備、エネルギー、感性がこの本の源泉
樹木は地球のお役に立つべく、すでに気をつけの姿勢で立っている
Posted by ブクログ
観葉植物買え週一で公園に行け月一で森林浴しろヒノキかラベンダーかローズマリーのアロマディフューザーを買え
さすれば疲労感は消え幸福感は増し集中力は高まり認知機能は向上しADHDは治りPTSDは緩和し心臓疾患は治りうつ病も回復し代謝疾患の罹患率は下がる
Posted by ブクログ
読書の動機→自然が心身に良い影響を及ぼすのではないかという仮説を持ち、その検証のために読んだ。
人類が誕生してきてから自然に囲まれ、守られ、自然と共生してきたのにも関わらず、現代は自然との繋がりが希薄になっているのは奇妙ではないか?
この疑問から始まる本書は、自然が心身に良い影響を与えることを証明する(証明しようとしている)研究を紹介する。
驚いたこと
・森林浴は日本発祥
・都心部を歩いている時と比べて森林を歩いている時では、ストレスホルモンと呼ばれているコルチゾールの値が下がる
・森林で過ごすことでNK細胞が増大し、それは持続する
・樹木が発するフィトンチッドがNK細胞に影響を与える
・実行、空間知覚、デフォルトネットワーク
・血圧が正常値に近ずく
・自然界にある幾何学的パターンのフラクタルは、視覚野にも見られる
・フィンランド国土の74%が森、人口500万人でコテージは200万個
・畏敬の念を覚えるには、「はてしない広がり」が必須、簡単には分類理解ができず、好奇心がかきたてられる、恐怖と謎と美が一体になった時に、記憶に焼きつく
・シンガポールの取り組みーバイオフィリックシティ、国土の緑地は年々増えている(2007年で47%)
その他
・研究の信頼性や妥当性を保つのが難しそう
Posted by ブクログ
本書はタイトルの通り、自然の大きな効果について研究者へのインタビューとその研究者の実験に参加した著者の体験をまとめられた本と感じました。
著者はかなり自然の影響を重要視しているのがまじまじと伝わる文章になっており、科学的な研究もさることながら、著者の想いの強さの方が私は感じられた。
ただし、私の感覚だが、研究結果としてはまだまだ弱い部分が多く感じており、まだまだ自然は科学にとって未解明だと思った。
嗅覚、聴覚、視覚で自然をどう感じるかという前半の話はとても面白く、視覚の話で、フラクタルという考え方…脳の処理がシンプルなほど負荷が低いという考え方は、なるほど確かにそうかもと思わされました。
自然は畏怖の念による、自我収縮がストレスからの回復を生むという話は昔から言われていたが、それぞれの感覚機関がどのように自然と反応するかを学べたのはとても学びになった。