あらすじ
中学2年生の水野耕太郎は、唯一の親友だった三輪くんの転校をきっかけに、屋上へ出る階段の踊り場を「別荘」と名づけ、昼休みの時間をひとりで過ごしていた。 夏休みを間近に控えた7月の昼休みのこと。 水野がいつものように別荘で時間を過ごしていると、ザッパーンという大きな音が屋上の方から聞こえてくる。 屋上に出てみると、そこには驚くほど大きな“水たまり”が広がっていた。 そして、その水たまりで、女子生徒がバタフライで泳いでいる――。 混乱し、立ち尽くす水野の目の前に、水たまりから優雅に上がってきたのは、水泳部のエースで学校一の美少女と名高い、隣のクラスの水原だった。 水原は、水たまりに潜る行為のことを“パドル”と呼び、「パドルをしながら強く何かを願うと、世界をひとつだけ変えられる」のだと説明する。 半信半疑ながら、誘われるままに水たまりに飛び込んだ水野は、パドルで実際に世界が変わるのを目の当たりにする。 水原がある一つの“目的”に向かって、パドルを繰り返していることを知る水野。 そしてはからずも、その“目的”のためのパドルが、思いもかけない衝撃の真実を浮かび上がらせ――。 第六回ポプラ社小説新人賞受賞作!
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Posted by ブクログ
屋上に大きな水たまりがあるという設定が面白い!
最後読むまでごちゃごちゃしてよくわかんないけど、、、。
「あれ?こここうだったっけ?」って途中なるけど、最後に答え合わせされまーす。
でも、なんか読むのに体力がいるというか。
ちょっと大変。でも面白い。
水原が最後にパドルしたものが虹っていうのがいいよねー
Posted by ブクログ
有って欲しい過去を生み出すために、なんどもパドルを繰り返す。そこに生死の問題が絡んできた時に、ヒロインとの別れが避けられないものとなる。友情や家族は失わなかったけれど。オールイン。
Posted by ブクログ
中3の次男に面白いから読んで、と勧められて読みました。最初から少しずつ違和感が重なっていき、あれ車は?担任は?となっていきました。パドルの謎が分かってから一気に加速、最後まで結局一日で読んでました。爽やかなファンタジーという感じでしょうか。
Posted by ブクログ
青春×SF風ファンタジー×謎めいたヒロイン、といういかにも最近流行りの設定。しかし「パドル」で細部が二転三転する仕掛けがミソ。さりげなく登場する人や事物の中に、本来存在しなかったもの=「パドル」の産物がこっそり紛れています。アイデアのユニークさもさることながら、泣かせるラストへの鮮やかな着地、お見事でした。
文章もラノベ的な中二っぽさはなく、スッキリしていて好印象。次回作に期待します。
ラストのなぜ?で大きく減点
あのラストはやはり納得できません。
「パドル」はいわばチート能力。
なのにどうして主人公もヒロインもああいう道を選んだのか?
パドルの能力を使えばもっとできることがあったでしょう?
校舎を解体されないようにするとか、時間を引き延ばすとか。
その上でどうすれば誰も傷つかないような世界を構築することができるかをじっくり考えて、
成功するまで何度も実行してみることができたでしょう。
なのにそういうことはまったくしない。可能性があるのにしない。しない理由も弱くて納得できない。
特にヒロインの少女からすると死を選ぶも同然。なのにあまりに達観し過ぎている。主人公も同じく。
ああいう結末を自分たちで選ぶのならかなりの理由、理屈が必要。こうするしか他に道がないんだという理由付けが必要。
でもそれがない。少なくとも納得できるほどの理由も理屈もない。そりゃ「え?そんな簡単にそんな道を選ぶの?」となりますよ。
全体的には秀逸。ラストの結末以外には欠点がないと言っていいです。
それが故にラストの欠陥が大きく目立つ結果になって大減点となってしまいました。