あらすじ
日本の憲法学では「国民が権力を制限することが立憲主義だ」とされ、「抵抗」を英雄視する物語が延々と語られている。あたかも憲法9条が国際法をも超越した存在であるかのようなロマン主義を流布しつつ、自衛隊や日米安保を否定し、安全保障問題を語ってはいけない裏事情であるかのように扱ってきた。なぜこのような憲法学がまかり通るようになったのか。その歴史的経緯を解明し、日本が国際社会の一員として国際協調主義を採り、真に立憲主義国家になるための道筋を問い直す。
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Posted by ブクログ
本書は日本国憲法の解釈の変遷をつぶさに読ませてくれた。
政治の都合による解釈、憲法学者のロマン主義による解釈、それがすべてであって、憲法の精神などというのは解釈する人間の言説にすぎないと思い知る。
この事実を見ると、現在戦われている憲法解釈、改憲論争など本当にどうでもいい感じがしてくる。ばかばかしい、としか言いようがない。
政治に都合がよく、憲法学者が容認し、世論が同調すれば、いかなる解釈も合憲になりそうだ。
著者が言うには
日本国憲法は世界的に見て特別なものではない。
もともとが国連憲章とアメリカの憲法思想に基づいて起草されたものである。
つまり英米的な、字句に捕われないスタイルの憲法であるのに、日本の憲法学者の伝統で大日本帝国憲法の形を引きずり、ドイツ国法学的な字句解釈に終始する解釈をやっているのが、そもそもの間違いであると。
その観点からすると、現在やっている憲法論争はまったくお門違いということになる。
なんだかなあ、憲法改正国民投票に備えたいだけという一般人としては、もう憲法の本を読むのはこれで終わりにしてもいいな と心底思いました。
一般人に必要なことは、憲法改正を考える時、字句の矛盾がどうとかいいう小難しい議論に深入りするのは騙されに行くようなもの。
シンプルに、これまともだわ と思うところへ一票投じれば良いだけだと思いました。