【感想・ネタバレ】おもしろ遺伝子の氏名と使命のレビュー

あらすじ

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命名の逸話が秀逸! 身近に感じよう遺伝子の世界
遺伝子研究が進展する過程で、数多くの新しい遺伝子やその突然変異体が発見されています。なかには一風変わった名前を命名されるものもあります。たとえば、「モームス」「ポケモン」「暴走族」「ブレイクダンス」等々。これは発見者が好きに名付けてよいこととなっているためで、見た目の印象によるところも大きいようですが、その時の気分で命名されることもあるようです。
本書は、こういったおもしろい名称を持つ遺伝子(機能面で珍しいものも含む)を収録し、その名前の由来、働き・機能を豊富なイラストや写真とともに読み切りスタイルでまとめ、紹介するものです。

目次
I これまでの遺伝子研究
1. 生き物を分解する
2. 生命の粒の発見
3. 分子生物学飛躍への階段・二重らせん
4. DNA→RNA→タンパク質→体
5. 遺伝子とタンパク質
6. 遺伝子を研究する、ということ
7. 分子生物学の代表選手
8. 遺伝子の書き方
9. 誰が名前を付ける?
II おもしろ遺伝子の名前たち
1 生 殖 あなたとわたし、出会うとき
2 胚発生 イチからからだ、作ります
3 神経 まわりの様子、感じよう
4 左右非対称 右と左が、ある世界
5 体内時計 チクタク動く、我が時計
6 病気モデル その処方箋、出す前に
7 細胞 1つだけでも、大変だ
8 植 物 動かないけど、生きてます
9 その他 こんなとこにも、あの名前
III これからの遺伝子研究
1. これからの分子生物学
2-1. ノンコーディングRNA
2-2. エピジェネティクス
2-3. 数理モデル
3. 遺伝子診断
4. 遺伝子は設計図? 料理のレシピ?
5. 分子生物学の果て
参考文献

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Posted by ブクログ

珍しい、面白い、役に立たない。三拍子揃った珠玉の一冊である。本屋で見つけて中身を数ページめくった後、思わずガッツポーズが出た。

DQNネーム、キラキラネームなど、ネーミングにまつわる問題が深刻化して久しい。その流れを受けたわけでもないのだろうが、アカデミックの世界でもネーミング周りが大変なことになっている。

本書で取り扱っているのは遺伝子の領域。地道な研究が実を結び、未知の遺伝子や変異体などを発見した研究者は、自分自身で名前を付けることが出来る。その遺伝子が体内で何をしているのか、人類にとってどのように役立つのか、そんな深い思いを込めてネーミングは付けられているのだ。

ただ中には、そのネーミングに小ネタを仕込んでくる研究者もいるのだという。そんな偉業の中に潜む遊び心を、いくつか紹介してみたい。

ショウジョウバエの生殖に関する研究のさなか、ある変異体が見つかった。その変異体は、メスに求愛されても全く無関心なオスであったのだ。どんなに魅力的なメスの誘惑にも反応しない、まさに孤高の男。悟りを開いた僧侶をイメージさせることから、その変異体はsatori(悟り)と命名されることになる。

ところが、悟りを開いたかに見えたこのハエは予想外の行動をとる。satori変異体のオスだけを集めた虫かごの中を覗くと、なんとオスがオスを追いかけていたのだ。この変異体、別に悟りを開いたわけで何でもなく、ただの同性愛者であったという…

一方、暴走族にちなんで名付けられた変異体も存在する。あるゼブラフィッシュの研究者が、稚魚の時に背中の構造をうまく作れない突然変異体を見つけた。これらは、まっすぐに泳ぐことが出来ないという特徴を持つ。

後日その研究者は、学会のため日本を訪問することになる。ホテルの部屋でまったり過ごそうと思ったその時、窓の外でバイクの集団が轟音を上げながら蛇行運転をしていることに気が付いた。その強いインパクトに衝撃を受けた研究者は、ホテルマンに「暴走族」という言葉を教えてもらい、さっそく変異体の名前にすることを決めたのだ。ただし英語で発音しにくかったせいか、bozozokと表記されてしまったのは、ご愛嬌というところか。

さらに、日本が誇る世界のスーパーキャラクターも、遺伝子の世界に名を轟かせている。細胞のガン化に関わるもので、その名もポケモン遺伝子。全世界が衝撃を受け、特に日本におけるインパクトは絶大なものであったという。正式名称は「POK Erythroid Myeloid ONtogenic factor」で、その頭文字を取ったものらしい。

だが、このネーミング。意外なところからクレームがやってきた。ポケモンのグッズ販売をしている株式会社ポケモンのアメリカ法人・ポケモンUSAである。その内容は、ポケモンがガンを引き起こすというのがイメージダウンになるから改名して欲しいということ。結局Pokemon遺伝子は、もともとナンバリングとして与えられていたZbtb7という名前に変更されてしまったのだ。

本書ではこの他にも、武蔵(musashi)、侠気・緋牡丹(otokogi・hibotan)、サンデードライバー(sunday driver)、脳だらけ(nou-darake)、暑がり(atsugari)、筋斗雲(kintoun)、不眠(fumin)、時計じかけのオレンジ(cloackwork orange)、守護神(shugoshin)、盆栽(bonsai)など、数々のネーミングとその由来が紹介されている。文体も柔らかく、まさに脱力系のサイエンス本だ。

名は体を表すとはよく言ったものである。結果的に正反対の意味になってしまったものもあるが、それはそれで魅力の一つという印象も受ける。普段は想像もしたことのない遺伝子たちの豊かな表情を、ご堪能あれ!

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2013年04月27日

Posted by ブクログ

タイトル通りおもしろい名前の遺伝子とその働きについて書かれている。所々難しいところもあるけど、くだけた表現で書かれているので比較的わかりやすい。
これまで・これからの遺伝子研究についてもわかりやすく書かれていて、興味をひく。
お酒を飲むと眠くなる私の場合、「happy hour」遺伝子はどうなってるんだろう??

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2015年03月27日

Posted by ブクログ

生命のしくみ、なりたちを分子レベルで解き明かしていこうとするのが分子生物学。
今最も注目されているiPS細胞の研究もこの分野だ。
難しそうに見える分子生物学を知ってもらいたい、どこから読んでも構わない、へ~こんな世界もあるんだと思ってもらえればよい、遺伝子や研究に親近感を持ってもらえればいい、そんな思いで書いたという著者の言葉通り、親しみやすい言葉で、また親しみやすいイラスト満載で、小難しい表現は一切なし。ややこしそうなところは思い切って省かれ、ちょっとでも「遺伝子ってなんだろ」という気持ちがある人ならきっと楽しく読める、そんな本。

本編となる、研究者が付けたという、ふざけてんのか?と思いたくなるような遺伝子のおもしろネーミングの数々もさることながら、遺伝子研究とは何ぞやという基本の基本に言及したⅠは非常にわかりやすく、また遺伝子研究のこれからを展望したⅢが素晴らしく興味を引き、本編読まずとも(ごめんなさい)ⅠとⅢだけ読むのでもいいかも、とさえ思ってしまった。

とても面白かったのだけれど、遺伝子名「klotho(クロト)」の中で幾度かでてくる「糸をつぐむ」という表現は、「つむぐ」なんじゃないかな~とそれが気になってしまって…。誤植?

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2013年07月13日

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