あらすじ
日本の大企業の間で、「事業創造」のニーズが以前にも増して高まっている。そうしたなか、事業創造型のプロジェクトを多数手掛けてきた株式会社ドリームインキュベータが、その方法論をはじめて解説した『3000億円の事業を生み出す「ビジネスプロデュース」戦略』(2015年5月刊)は、多方面で大きな反響を呼んだ。ビジネスプロデュースとは、「社会的課題を取り込み、それを解決する形での構想を描き、その実現に向けた仲間づくりをして連携していく。それによって数千億円規模の事業を創出していく」というものである。本書では、その最初にして最大の難関である「構想策定」と、「フック(顧客を惹きつけるツール)」と「回収エンジン(お金を儲ける手段)」の設計手法にフォーカスを当てて解説する。また、前作で好評だった小説風「ビジネスプロデュース・ストーリー」も収録(テーマはIoTを取り上げ、その本質に迫っている。純粋にIoTを理解する手助けにもなる)。やらなければいけないのはわかっているが、実際にやろうとするとできない……そんな「事業創造のジレンマ」を抱えている経営幹部・ミドル層は特に必読。
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Posted by ブクログ
産業創造のビジネスプロデュース本の第二弾。
事業構想策定とブックと回収エンジン設計にフォーカスした本とのこと。
メモ
・大企業で事業創造がうまくいかない理由
圧倒的な経験不足
関係者全員の本気度不足
劇的な変化を理解できていないこと
・かつての事業創造は成長市場への参入が主だった。
現在はどこも成熟化し、産業が交わったところにできる新たな産業が事業創造の対象となる。
・ビジネスにはフックと回収エンジンが本来セット。
自動車の場合は国が道路を準備してくれたからこそ、回収エンジンのみで成り立った。新しいビジネスではフックも自分達でつくっていく必要があるのではないか。
・フックと回収エンジンでは基本的には回収エンジンから考えるべき
・強みや差別性はフックに活用した方がパワーを発揮する
・回収エンジンのスクリーニング基準
収益性の高い事業か。人工ビジネスより固定費ビジネスが向いている。鉄道・広告、、、
大きくなりうる要素があるか。恒常性や普遍性の高さ
フックとつなぎこめるか。顧客を回収エンジンに自然と流せるか
・構想の定義
どの社会課題をきりとって解決するのかが明確な取り組みになっていること
その解決による社会的なインパクトが市場規模として概算されていること
各プレイヤーのビジネスモデルがある程度の相互関係を持ちながら全体としての整合性を満たした形で表現されていること
・筋の良い妄想を生み出すたむに必要な能力
物事を人よりも深く掘り込んで考えられること
多様な客観的視点を高い視座で取捨選択して取り組むことができること
・深く掘り下げるポイントは知識の絶対量
・多様な客観的視点をもつコツ
別人格になりきってみる。
幽体離脱
視座が高くて鋭い人に議論を手伝ってもらう
・
Posted by ブクログ
大企業で新規事業を作っていくにはどうしたら良いか?という問いに対して正面から向き合った本。綺麗事では上手くいかず、社内政治も駆使しなければならない、そんな泥臭さまで踏み込んでいるため参考になる。
新規事業の起こし方として、沢山の芽を生みポートフォリオを管理していくというやり方と、全体の事業の方向を転換する富士フィルムのようなやり方があると思うが本書は後者のイメージ。
◯全体戦略のポイント
・ビジネスモデルからではなく、構想から作る
・構想は社会的課題から発想
・フックと回収エンジンを駆使し、構想とビジネスを繋ぐ
・構想やフックを通じて上手に仲間づくり
・国も仲間、法律も変えられる
本書は構想策定とフックと回収エンジンにフォーカス
◯なぜ必要なのか
・いきなり回収エンジンだけでは新しく大きなエンジンは作りにくい、それくらい成熟してきた。
・色々なプレイヤーを惹きつけるフックと、そこから自社の回収エンジンへの誘導が必要。
・自社だけで魅力的なフックを作るのは難しいので、フックを包む構想が必要。
・魅力的な構想は社会課題から生まれる。業界のような狭い仕切りは踏み越える。
順番は、
構想➡︎回収エンジン➡︎フック
ここを行ったり来たり
◯自社の強み
・強みをフックにするという経営判断が肝
・インテルはフックとしてマザーボードやUSBといったパソコン全体の設計図を次々規格化してばらまいた。ここをフックとし、回収エンジンのMPUで儲けた。しかしMPUが当時から圧倒的な競争力を持っていたわけではない。自社の強みを、パソコンの動作のあり方やその使用感を突き詰める力と定義したのがポイント。
・強みをどう捉えるか、あくまで相対的
◯構想の作り方
・筋の良い妄想に向けた準備段階は本を大量に読むこと。知識が立体的になり、景色が変わる。
◯ビジネスプロデュース人材
1. アイデアを生み出す発想力 (色々なものを見聞きする行動力、興味関心の幅が広い)
2. 情報やアイデアを統合し、本質を整理し統合する力・示唆統合力 (立体的な思考が得意、経験知識豊富)
3. 社内外の広いネットワークがあり、多くの人と仲良くできる社交力 (相手に好かれる)
4. 専門外の分野も深掘りする力 (先入観やプライドに邪魔されず、知らないことを認め臆せず理解する)
5. パートナーの立ち位置を理解し、共感を得つつwin-winを想像する力
・プロデューサー本人が備えるべきは2、3、5(他もある程度必要)、アイデアを豊富に出せることより筋の良し悪しを理解できるセンス
・全て持つ人は稀なので、チームで補完する。その際同じ能力がある程度重なる人と組まないと、相手に対する理解が低くなり相手の能力を尊敬できなくなる。
◯成功の演出 KPIの活用
・期待値のコントロール、周囲から潰されないようにするのが目的で、自ら縛るわけではない
・今後のアクションを全て洗い出すことから始める。起こりうるプロセスを最初にとことん細かく詰めておくと、やるべきことがよく見え、細かいことにも頭が回り、変化にも対応しやすい。
・洗い出したアクションを時間軸で並べいくつかの固まりにする。それに得点を設定し、重要な固まりをKPIとしてマネジメントと握る。