あらすじ
18歳から21歳まで歌を歌っていた。早くおじいさんになろうと思い、25歳、町の本屋の主人として暮らしはじめた。そして二十数年後、無性に歌が歌いたくなり歌手として再出発した早川義夫の代表的エッセイ集。「恋をしていいのだ。恥をかいていいのだ。今を歌っていくのだ」。心を揺り動かす率直で本質的な言葉。文庫用に最終章を追加。
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Posted by ブクログ
これはもう、抜群に素直ですね。どストレート。有無を言わさぬ率直。そんな印象です。抜群に良いですね。
劇団大人計画の宮藤官九郎さんや、銀杏BOYZの峯田和伸さんが、この本を劇的に愛しているみたいなのですが、うむうむ、なるほど、さもありなん、って思いました。お二人の「あんな感じ」が好きなかたなら、この早川義夫さんの文章も、間違いなく好きになると思います。で、僕は、クドカンさんも峯田さんも好きなんで、そらもちろん、この早川さんの文章も、抜群に好きになりました。「うん。わかる。わかる。わかってしまうんだなあ~」って感じ。
どっちかゆうたら、好き、嫌い、の範疇ではなく、分かるか、分からないか、の範疇で受け取る文章だな、って思いました。だってもう、俺、あんたの気持ち、分かるんだもん。しっくりくるんだもん、って感じ。その感じ、どうしようもなく分かっちゃうんだから、もうどないもならんよね、って感じ。とにかく、良い。もう、そう感じるんだもん。しゃあないもん。って感じ。
峯田さんのエッセイ「恋と退屈」を読んだときにも「その感じ」を抜群に感じたのですが、凄くこう、親近感が湧きますね。たまらなく愛おしいですね。こういう文章は。
でも、凄く不思議な事に。
この本が凄くグッと来たので、早川義夫さん、どんな音楽を生み出している人なんだろう?って思いましてね。You Tube で、調べて、聴いてみたんですよ。早川義夫さんのソロの曲と、若かりし頃に組んでいた、という、ジャックス、の音源を。
そちらは、正直言って、あんまりピンときませんでした。「うーん、、、なんだかなあ。なんかこう、音楽としては、あんま、グッと来ないなあ。ごめん」という感じでして。早川さんの文章は、とてもとても好きなのに、何故にその音楽には、今ひとつ、いまのところ、心動かされないのだろう。不思議だなあ。
これと似てるんかしらん?と思うのは、僕は、峯田さんの文章は凄く好きなんですけどね、イマイチ、まだ、GOING STEADY と、銀杏BOYZ の音楽に、ハマりきれていない関係と、なんだか似ているなあ、とか、勝手に思った次第です。うむむ、好み、趣味嗜好とは、全くもって不思議です。
ただしかし、このエッセイの早川さんの文章は、マジで凄く良い。しみじみと、シミジミと、沁み渡る文章です。凄く、良いです。