【感想・ネタバレ】平均思考は捨てなさい──出る杭を伸ばす個の科学のレビュー

あらすじ

人や物事を評価するうえで平均という尺度が欠かせない、というのは間違っていた! ユニークな「個の科学」に基づき、平均を排して成功した企業などの実例を紹介、個性を十分に発揮しながら人生で優位に立つヒントにもなる3原理を説く、生き方のガイドブック。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

軽々しく個性ということなかれ

一つの基準で比較することを奨励したおかげで、一次元的思考に偏るようになってしまった。
人間の才能にはばらつきがあるという事実を受け入れ、子供のそれぞれのプロファイルを評価し、長所を生かすための方法を探してあげる。
行動は、特性、状況のどちらかで決まるわけではない。
別なコンテクストでどのように行動するのかを理解する。
平均主義に騙された私たちは、正常な進路なるものがあると思い込み、成長の道が一つだけ存在すると信じて疑わない。
みんなと同じ場所でみんなよりも秀でなければならない。こんな窮屈な思考パターンに陥ってしまう。

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2017年09月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この本はすごい!!!
目からうろこが落ちるどころが、うろこをひっぱがされる感じ!
データをとって、「これが平均値」となると、それがマジョリティの中のマジョリティ、母集団を代表する存在である、と思うじゃないですか?
でも平均に一致するものが何もなかったり、あるいはその+/-の範囲に入るものがすごく少ないケースは多々あるという話なのです。

1940年代のアメリカ空軍は墜落事故が多発していましたが、その原因がコックピットの使いづらさだと判明。当時「パイロットの平均体形」に基づいて設計されていたものの、1950年に改めて身長、胸回りや腕の長さなど10カ所の平均値を割り、10項目すべてにおいて平均範囲におさまるパイロットがどれだけいるかを調べたところ、4,063人の内10項目全てが平均内の者はただの一人もおらず、3項目だけに絞っても該当する者はたったの3.5%しかいなかったのです。

これは体という物理的な話ですが、能力においても同じ「平均主義の偏見」がはびこっています。
大学出願のための全国統一試験において点数が高ければ「能力が高い」とみなされるわけですが、この点数とは、「平均値とどれだけ乖離しているか?」で測られます。
高いほうに乖離すれば、あらゆる分野で能力が高く、低いほうに乖離すれば、あらゆる分野で能力が低い、とみなされてしまう。
結果、生徒は「同じ分野(試験の対象となる科目)でどれだけ抜きんでるか」を競わせられ、その試験では図られない分野の能力は切り捨てられていき、能力の無駄遣いや自尊心の欠落などの悲劇が生まれるわけです。

人格でもそうです。かの有名なマシュマロテスト(マシュマロを食べずに我慢できた子は人生で成功する確率が高い)には、他の学者による続きのテストがありまして。
それは、マシュマロテストの説明をする大人を二人に分け、一つ目のグループには信頼を置ける大人、二つ目のグループにはそれまでに子供に約束したことを破って信頼感を持てないようにした大人が、マシュマロテストの指示を出します。
すると、当然ながら二つ目のグループのほうが、マシュマロを食べる確率が高くなりました(我慢しても報酬がもらえるとは思えないのでね)。
つまり、人格のようになかなか変わらないものですら「コンテキスト(その場の状況、背景ですね)」に左右されるわけです。
なので、人格テスト(SFでもVIAでもそうですが)も、実はそのコンテキスト次第なんですね。
例えば社交性ひとつとっても、友人たちとの集まりなどカジュアルな場では社交的だが、会社のパーティなど年齢層が幅広く、固い場ではシャイになる人がいるわけです。
でもテスト結果によって、「この人は(世の平均と比べてこの項目の点数が高いから)こうである」と判断されてしまう。
そして同じ点数を取った人が、いつでもどこでも同じようにふるまうとは言えないのですね。

この著者は高校までさんざんな成績(Dばかり)でした。
そのあと、結婚し、子供も生まれ、なんとか凡庸な大学に進学しなおしたのですが、勉強する時間が限られていたため、「自分にあったクラスを集中的にとる」やり方で生き延びようとします。
その結果、Aばかりの成績となり、ハーバード大学院に進学するのですね。
彼自身、平均というものから思い切りかけ離れていた人なのです。
(そうは書いてありませんが、ADHD的な行動パターンを感じさせる人です)
だから、平均のうさん臭さがわかるんでしょうね。

この本に書かれていることは、言われてみればそうだな・・・と納得できることばかりなのですが、逆に「どうして今まで改めて考えてみなかったんだろう?」ということばかりでもあります。
どれだけ世の中が平均主義にやられてしまっているか。
どれだけ、世の常識から離れて思考できるようになるか?
正直、そうできる自信がありません。

常識の呪縛から離れるためにも、めちゃお勧めの本です。

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2017年07月21日

Posted by ブクログ

ネタバレ

勝間和代さんのオススメで読んでみた。

「平均的な人間像」は想像上のもので、存在するのは個性。この事実を受け入れることは、医学界における「細菌の発見」くらいのインパクトが有るという。医学は「細菌への対策」を出発点にすることで飛躍した。同様に平均は一旦置いて、個性重視(その人特有の力をいかに引き出すか?)の姿勢を貫くことが重要。

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2022年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平均は数値として計算できるが、平均的な身体のサイズの人はいない。同様に平均的な才能や知性や性格、も存在しない。
平均信奉はテイラー主義が由来。
マイクロソフトはスタッフランキングで失敗した。社員に多様な才能があることを見逃し、ひとつの尺度で測定した。官僚的組織になる。
太って背の低い人と痩せてて背の高い人、どちらを大きい人と呼ぶか。答えられない。
新入生の知能テストは、テスト間での相関はない。学業成績と知能テストも同じ。卒業後の仕事の実績と学業成績にも相関はない。
グーグルは社員の実績に相関がある変数は見つけられなかった。
履歴書不要の採用プログラムで実際にプログラムを教えて採用を決定すると、履歴書があったら採用しない人材が成績が良かった。

性格や特性はコンテクストによる=コンテクストの原理。人間の特性は決まっていない。本質的な性質はない。特定のコンテクストで一定なだけ。
道徳的な行動でさえ、外的状況に左右される。人間のそもそもの特性はない。
マシュマロテストの結果も、事前に大人が嘘をつくか否かによる。自制心は本質的な能力ではない。

採用はコンテクストを細かく分析して、職務経歴書と付き合わせる必要がある。そうすれば隠れた才能を採用できる。

標準化と階層管理=テイラー主義の産物。平均的な使い捨て可能な社員を求める。
コストコはキャリアの決定権を従業員に委ねている。
ウォールマートは離職率は50%を超える。テイラー主義で成長した。
インドのZOHO。発掘されない才能のためにZOHO大学を創設。
モーニングスターは、トマト加工の製造業なのに、管理職がひとりもいない。個人の成長を促す仕組み。ほかの企業で管理職として働いてきた人は、何をしていいかわからない。イノベーションが組織内から起こる。
個性を重視するには、自分の会社ならどうすればいいか。

現在の高等教育もテイラー主義に基づいている。学校の内容と社会の要求はずれているが、平均主義の構造の根深さにある。
卒業証書の代わりに、能力証明書(資格証明書)を発行する。コンピテンシーを判断基準にする。
自己決定型の経路を支援する。

平等の概念も変割る必要がある。従来はアクセスの平等。個人の機会が平均的に最大化することを目指すもの。
平等のフィット=個人に合わせたアクセスを確保する。教科書も1人1人違う。外れ値を考慮する。

アメリカンドリームとはもともとは金持ちや有名人になることを意味しない。個人の潜在能力を発揮できる機会がある社会を意味した。
医療の個別化医療の試みのように、あらゆる社会で平均を相手にすることを拒否するべき。

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2024年05月23日

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