あらすじ
謝恩使を成功させ、琉球に凱旋した了泉は一挙に富と名声を得るが、成功を受け止めきれずにいた。一方、清国から冊封使としてやって来た徐保光を待遇するため、踊奉行の玉城朝薫は究極の舞踊である「組踊」を創始。琉球の芸術を究めるため、二人の天才舞踊家を用いて完成に近づけようと目論む。王の身代わりとなる「月しろ」は、果たして了泉か雲胡か? 傑作『テンペスト』を凌駕した、《琉球サーガ》の到達点、遂に文庫化!
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Posted by ブクログ
江戸上がりを見事に成功させ、琉球へと凱旋した一行。中でも花形としての名声を得た了泉は、宴席では荒稼ぎし、盟友雲胡の婚約者を寝取り、愛する母を結果的に見捨てるなどやりたい放題の日々。やがて清国から冊封使を迎えるにあたり、新たな舞踊形式である組踊を完成させる命を受け、天賦の才を発揮しその真髄に迫る了泉だったが...
清国にも大和にも屈しない為に芸能立国を目指す国師、蔡温。能に着想を得た組踊の完成に心血を注ぐ玉城朝薫。気配を消すことが出来る体質を利用して特ダネを連発する瓦版屋、銀次。天刑病患者の避難所を築き上げた音地戸。
多彩な登場人物たちが奏でる、波瀾万丈、有為転変の一大絵巻に圧倒されるが、なんと言っても了泉の才能と純真さと慢心と狡猾さが渾然一体となったような人物像が凄まじく、後半で繰り広げられる壮絶な転落と魂の放浪ぶりには目眩がする。
気宇壮大な芸術論には正直なところあまり興味が持てないが、それを差し引いてもやはり傑作。