【感想・ネタバレ】ルポ 絶望の韓国のレビュー

あらすじ

朝鮮人は三人集まれば、四つの政党をつくる(スターリン)

利己主義――ひと言で言えばそうなるかもしれません。冒頭に紹介されるスターリンのエピソードは秀逸です。朴槿恵大統領の弾劾・罷免・逮捕に見られた政治的、社会的なうねりは、まさにそうしたメンタリティーが表出したものです。
また、500年続いた李氏朝鮮時代にはぐくまれた「両班になりたい」という感情も、あらゆるところで顔を出します。「現代の科挙」とも呼ばれる度を越した受験戦争や、誰しもが一度は国会議員になりたいと考える社会風土など、ひとつひとつが社会を歪ませているのです。

これは「嫌韓本」ではありません。韓国を愛し、理解しようとつとめてきた筆者が見た、ありのままの韓国のルポルタージュです。
筆者は朝日新聞の外信記者として長年、韓国とかかわり、現在はソウル支局長として日々の取材にあたっています。
その筆者にして、今の韓国は、「病理」とも呼べる状況に陥っているとしか見えないところに、本書のテーマの深刻さがあります。

風雲急を告げる北東アジア情勢において、韓国を理解するための絶好の1冊。

【目次】
第1章 政治
スターリンは言った。「朝鮮人は三人集まれば、四つの政党をつくる」
第2章 歴史
背後にちらつく北朝鮮の影と日ごとに細る日韓のパイプ
第3章 経済
韓国全土に広がる不況と埋まらぬ格差
第4章 教育
壮絶なまでの学歴競争社会
第5章 社会
地縁・血縁・人脈が支配する世界
第6章 軍事
韓国の「三戦術」は、北朝鮮の「三つの切り札」に対抗できない
第7章 外交
米国と中国という二大国に挟まれ、身動きが取れない韓国外交

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Posted by ブクログ

2年も前に出版された本なのに、つい最近の事が書かれているように思える。物事がよく見えている人が書くとこうなるのか。さすがだ。
2019/11現在、日本政府は異例の「戦略的無視」政策を取っているが、非常に合理的な判断だと思う。「おわりに」で述懐されている通り、なまじ見た目が似ているからか、お互い自分達の常識に当てはめて相手を判断する嫌いがあるが、歴史経路が全く異なり、文明化の時期が100年も違うのだから常識が通じなくてイライラするのは当たり前である。だったら深く付き合わなければいい。隣人だからといって仲良くする必要は全くない。
我が家も隣人の一人とは波長が全く合わないから最低限の付き合いしかしていないが何も困ることはない。国同士でも同じことだ。

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2019年11月17日

Posted by ブクログ

2017年3月に朴槿恵大統領の逮捕があった。歴代の韓国大統領は退任すると検察に逮捕されたり収監されたりするが、朴槿恵大統領は初めて罷免され逮捕された。韓国の政治、歴史、経済、教育、社会、軍事、外交の分野を詳細に分析したルポルタージュ。この本は「嫌韓本」ではない。それについても表題の「絶望の」という修飾語がきついような感じを受ける。かなり厳しい内外の環境に韓国はあるが、絶望というわけではないだろうが…。著者は朝日新聞ソウル支局長である。

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2019年02月17日

Posted by ブクログ

朝日新聞社のソウル支局長が語る韓国の「今そこにある危機」ルポ。韓国と相性が良さそうなアサヒの記者ですら「絶望」と名付けてしまうほどの国らしい。

トランプ大統領をはじめ、世界では自国第1主義を主張する主導者が登場しているが、韓国は昔から国ぐるみでそんな傾向がある。他国の批判をものともせず、自国の主張を通そうとする。

そんな強気な国民性だが、政治力や経済力、軍事力などの国力は世界と渡り合えるレベルではない。北朝鮮の核は怖いが、米軍とは協力したくない。日本の経済協力はほしいが、慰安婦問題では叩きたい。中国の言いなりも嫌だ。そんなどっち付かずで中途半端な態度が韓国流の自国第1主義だ。さらに社会では自分第1主義。過度な学歴社会、財閥支配、現職大統領の罷免など引き起こす。

そして、セウォル号沈没事故。指示を聞かずに勝手に逃げ出した者が助かり、指示通り船中にとどまった者は亡くなった。いかにも韓国らしい事件であった。

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2017年10月26日

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