あらすじ
死体にも「格差」がある――。解剖台の上の遺体には、その人が生前、どのように生きてきたか、その痕跡が数多く残されている。老い、孤独、貧困、病…一つ歯車が狂えば、誰もが“悲しい死”を迎える可能性がある現実を現役の法医学解剖医が明かす。
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とても面白かった。
異状死した遺体についてのエピソードが淡々と語られるが、飽きること無く読める。この方の授業を受けてみたいとすら思った。刺殺された女の子が、綺麗な服を着せて貰っているのかと思えば鮮血に染まっており、あまりの痛ましさにメスを入れるかためらう話が一番心に残っている。人間の生と死に興味のある方はぜひ呼んで欲しいと思う。
Posted by ブクログ
著者は、兵庫医学大学 法医学講座主任教授。
ちょうど、大口病院連続点滴中毒死事件についても書かれていたが、その容疑者である元看護士は、先日死刑を求刑された。この本が書かれた時点ではまだ捕まってなかった。
この事件を起こした理由は、『患者が亡くなった時に遺族に説明するのが嫌だった』
なんて身勝手な理由だろう。
解剖にまわされる多くの遺体は、独居者、生活保護受給者、自殺者。その中の30%は精神疾患者、そのうち5%が認知症患者。
1人で死んでしまって後で発見された時、誰も見てないからんからないので、こういう結果が多いようだ。
結核は治せるけど、怖い病気。誤嚥などでお年寄りがなりやすい。
予防接種のポスターも病院で見ることがあるけど、空気感染だから、解剖でも危険なのでとても注意が必要とのこと。
いろんな意味で結核にはならないように気をつけた方がいいなと思った。
アルコールの飲み過ぎも良くない。当たり前かもしれないけど、飲みすぎた結果は悲惨だ。
全て解剖されることは不可能だけど、一見、転倒して死んだとか、一見、自殺だろうとか、見た感じで判断されても実は違っていたりするから、解剖は大切だろう。
ただ、予算も人員も少ないから難しい。
こうなると、殺人だったものがそのまま他の原因にされて、犯人が野放しになるパターンもある。
そう思うと、恐ろしい。
Posted by ブクログ
異常死、という言葉を初めて聞いた。
隣にあるかもしれない、自分に起こるかもしれない、そんな不安が襲ってきた。
知らないことがたくさん。
そしてこんな大変な仕事をしている人がいることに、頭が下がる思いです。
Posted by ブクログ
遺体の解剖は県により差がある。
死後の体の反応について、興味深いことが多くあった。
飽食でない人の体(内臓)はきれいなものが多いという記述に、うらやましさを感じた。
恵まれているとは窮屈なものだなと。
Posted by ブクログ
ヤフーの記事で見つけ、「死の格差」というより、「死に方の格差」と思われた内容に興味を惹かれて購入。
帯に「死は平等ではない」とあったけれど、「死に方」だよなと思ったのは読み終えてもそうだった。
「死」そのものは誰にでも来るんだけれど、そこに至るまでの方法が、人さまざまなのは当たり前で、ただ、貧困や老いが絡まってくると、どうしてそういう死に方をしなければならなかったのか、死に方は生き方と直結してくる、でも、自分ではどうしようもないものだってあるのだ。
現代人は、見たくない現実から過剰に目を反らす、という一文があって、私一個人としては、兎にも角にも世知辛く、忙しく、見たくないというより面倒くさい、というのが正直なところ。
ただ、ふと思ったのは、「死ぬのなんて簡単だ」などと若い頃は思っていたのだけれど、これを読んで、さほど簡単なことでもないし、一人だけで終わることはないのだと、しみじみと思い直したのだった。