【感想・ネタバレ】ドイツ史10講のレビュー

あらすじ

ゲルマン世界、神聖ローマ帝国、宗教改革、絶対主義、2回の世界大戦…二千数百年の激動の歩みを、1講ずつ、要点を明確にして、通史的に叙述。地中海世界、大学や官僚と近代化の役割など重要なテーマに着目しつつ、つねに「ヨーロッパの中のドイツ」という視点から描き、冷戦後の統一ドイツの位置にも新たな光を当てるだろう。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

感情タグはまだありません

Posted by ブクログ

本書は現在のドイツに相当する地域の歴史を10章立てで概説している本です。著者も後書きで述べているように、著者が恣意的に重要と思われるイベントを中心にピックアップし、それに対して過去の先達の見解もふまえながら自分の見解を披露しつつ、歴史の前後関係を説明しています。このアプローチは良かった。特に著者も強調されているように、ヨーロッパの中のドイツという視点が一貫して取られているので、なぜその当時(例えば)神聖ローマ帝国がこういう行動に出たのか、ビスマルクはドイツ統一ができたのか、という点について、簡単ではありますが、初心者にも納得がいくように説明されています。

 とかく歴史の本は浅く広く書くと、初心者には全然分からないものになってしまいがちなのですが、本書はその罠に陥らないよう、かなり注意深く書かれた本という印象を受けました。また著者自身の意見が前面に出すぎるのも初心者には良くないと思いますが、そのバランスもいいです。私は本書を読んで、興味がわいたので、早速個別の時代を詳述している別の本を買いました。ドイツ史を勉強しようというきっかけには最適ではないでしょうか。

0
2023年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

期待通りの岩波新書的な出来具合。最高に読みやすく最高に面白い。
フランク帝国は教会=国家、という仕組みであり、民衆は帝国を教会と理解していた、という分析は専門家間では一般的なのだろうが、自分には目新しいものだった。その後は教会↔国家の対立という構造へと徐々に変わっていくが、最初から対立していたわけではない・・・という。中世ドイツは、教会↔国家という2つの中心を持つの楕円形で理解すべし、らしい。
神聖ローマ帝国時代の解説では、控えめではあったけど、オーストリアやプロイセン以外の領邦についても触れられていたのが良かった。教科書はこういう部分を端折るので、いつも全体像が見えづらくて困っていたから、ありがたい。
近代では、ビスマルク政治を端的かつ鋭くとらえていて、目からウロコだった。天性の外交家は、バランスオブパワーでアクター間の動きを捉え、包囲網的な安定を形成しようとする。これを国内で行うと、「いじめ」構造とでもいうべき排撃的な戦略になる(キリスト教勢力、社会主義者勢力などに対して)。ということらしい。
近代以降のドイツ政治は、調整型といわれることが多い気がするが、そのことも分析されていて、興味深かった。旧領邦が持つ議席配分や、議会と行政府の対立と調整などなど。ただ、利益政治的な側面はあまり語られていなかったかもしれない。
グダグダ述べてきてしまったが、再読すべき名著でした。

0
2021年09月26日

Posted by ブクログ

・ライン下流域からいまのベルギー、北フランス方面に、いくつもの支族の国に分かれて広がったフランク族は、五世紀末の481年頃に「フランク人の王」となったメロヴィング家のクローヴィスの下に統合されて統一王国を形成する
・ルターが問題にした贖宥状はサンピエトロ大聖堂の改修資金を集めるためのものであった
ルター派とカトリック派諸侯の争い―プロテスタント諸侯・都市の「シュマルカルデン同盟」結成(1531年)→「シュマルカルデン戦争」(1546年〜47年)→「アウスクスブルクの宗教和議」(1555年)
・第一次世界大戦「シュリーフェン作戦」―まず主力を西に向け、中立国ベルギーを通過して一挙にフランスを叩き、ついでフランスを撃つという二段階作戦

0
2018年11月04日

Posted by ブクログ

岩波新書の「10講」シリーズの既刊3点を読んでみたが、本書が一番読みやすかった。新書一冊でドイツ史まるごとを語るというのはそもそも無理なので、題材の適切な取捨選択が必要だが、本書の著者はそこら辺の塩梅を大変うまくやっているように思った。結果、全編の見通しがとてもよい本に出来上がっている(この点、あれもこれもと詰め込んで混沌としている『イギリス史10講』と対照的である)。著者自身の体験を交えて語られる現代ドイツのくだりも興味深い。

0
2017年06月10日

Posted by ブクログ

政治体制の変遷、特にヒトラーのくだりが興味深かった。やはり通史は楽しい。

・大学の誕生
・啓蒙と絶対主義
・ドイツ語での授業、ゼミナール、エリート官僚
・研究中心の大学
・オルテガの指摘、教養の喪失
・地域の政治モデル、ドイツ

0
2014年01月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ドイツには、1昨年、はじめていきました。ベルリンです。
最初の印象は、パリに一番近い都市だということです。
パリのような、世界の文化の中心を目指しているが、パリではない。
昨年、ミュンヘンに行きました。ドイツ博物館を訪問しました。
それからドイツに興味を持ちました。
本書では、アルミニウスがローマ軍をトイトブルクの森で破ったという、タキトゥスの話を最初に紹介しています。
神聖ローマ帝国、ハプスブルク家、ビスマルク、ワイマル共和国、ナチスについては、名前は知っていたが、関係はよくわかっていなかった。

3度目にニュルンベルグに行って,ドイツの歴史が立体的になったきがしました。

0
2012年02月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

第一次大戦後と第二次大戦のドイツ史を知るために利用した。

この本は歴史の流れと重要な登場人物を把握するのに非常によい上、歴史が明らかにする人間社会の問題について考えさせられると感じた。

 簡潔に歴史上の事件の流れが述べられている上、当時の経済状況を失業率の数値で具体的にのべられていたのでイメージがしやすかった。またヒトラーの思想や政策についても解説されていた上、ヒトラーが独裁体制を確立していった経緯や背景のヒントが示されていて興味深い。特に当時世界で一番民主的な憲法があったにもかかわらず、なぜ独裁が成立したかという点に関して、当時の国民や政治家に民主的な議会政治が成熟していなかったことを指摘しており、問題を理解するヒントになった。

ただ、いくつか鍵となる歴史の事件の扱いがあっさりしていたなという印象。流れをつかんで、他の書で気になったところを調べるのによいと思った。

0
2011年10月22日

Posted by ブクログ

ドイツ旅行にあたり、ドイツ史を概観したいと思い読んだ本。ある程度世界史・ヨーロッパ史を知っている前提で書かれた内容であり、個人的な目的からは少し外れた。ただ、古代ローマ時代から東西ローマ、フランク王国、神聖ローマ帝国、プロイセンによるドイツ統一、第一次大戦、第二次大戦、とヨーロッパの中のドイツが時代を追って描かれており、世界史の知識がほとんどない状態で読んでも大枠は掴めた。岩波新書らしいアカデミックな文体に久々に触れ、楽しく読めた。

0
2024年05月05日

Posted by ブクログ

英仏は国家統一を進め、教会所領に国王が課税権を持った。ローマ教皇は英仏に手を出せない。一方、神聖ローマは世俗領邦は半独立、国内の教会も半独立。国内がばらばらで介入がしやすいため、ローマ教皇はドイツの教会を通じて金を吸い上げていた。ドイツは「ローマの雌牛めうし」。教皇レオ10は、サン=ピエトロ大聖堂の修繕費を賄うため、ドイツ人に贖宥状を売って金を儲けた。いい加減にしろ、ということでルターの95か条(1517)。

大衆動員をしたナチス。大衆民主主義の苦い経験。西ドイツは徹底した議会中心の間接民主にした。ワイマール時代に小党が乱立して政権不安に陥ったので、得票率が5%未満の政党に議席を与えないことにした。

ヴィリー・ブラント(西ドイツ首相1969-1974)。ドイツ社会民主党(SPD)。オーデル川・ナイセ川より東をポーランドの領土と認める(1970)。ノーベル平和賞(1971)。東ドイツを主権国家として承認(1972)。しかし、秘書ギュンター・ギヨームが東ドイツのスパイだと判明、辞任(1974)。社会主義インターナショナル議長(1976-1992)。

※神聖ローマ。現ドイツ、現イタリアの北側、ブルグント(仏の南東)などを含む。当時「ドイツ人」という意識はない。
※聖職者の任命権は教皇にある。英仏(1107)。独ヴォルムス(1122)。
※シュタウフェン家フリードリヒ2。ナポリ大学設立(1224)。

0
2024年04月13日

Posted by ブクログ

あとがきで著者が述べているように、この分量でドイツの歴史を語るのは無理がある。駆け足で飛ばしていくところが多いので、ある程度歴史を知った上で読んだ方が良いと思う。個人的には、ナポレオンの時のライン同盟やその後の各国の改革など、プロイセンによる統一前までの流れが掴めて良かった。議会重視と権威主義の揺れ動き、上からの改革と下からの改革、ドイツの民主主義はこういった活動の賜物なんだと改めて認識した。

0
2022年05月12日

Posted by ブクログ

▼ハンナ・アーレントさんの「エルサレムのアイヒマン」を読もうと思い。準備体操にドイツ史の本を何か読もう・・・と手に取った1冊。期待に違わずかなりドイツな気分にさせていただけました。ありがたい。

▼「ドイツ史10講」坂井榮八郎。岩波新書、2003年。坂井さんという方は、1935年生まれの歴史学者さんだそうです。無論、一般向けの分かりやすい歴史書、というコンセプト。印象に残ったのは、ルターとナポレオンでした。

▼ルター=宗教改革については、とにかくルター自身の腐敗したカトリック教会への勇気ある反論活動。それに教義などとはあまり関係なく、さまざまな思惑が絡んで、プロテスタントが成立した、という雰囲気が(なんとなく)わかりました。全部がルター個人がやった訳では無くて、政治経済的にカトリックの一極独裁体制に、多くの国、州が嫌気が差してきていたから。さらに同時期にさまざまな相関関係でスイスでもカトリック否定の過激運動が勃発して、それがカルヴァン派、ユグノー、長老派、ピューリタンになっていく。知らなんだ。さらに、そんな新教の動きへの反発でカトリック内で起こった自浄運動が、イエズス会で、ザビエルさん。そこから日本にキリスト教がやってくる。うーん。世界は連動しています。

▼それからナポレオン。ドイツ史なんだけど。この本を読んでいて正直、中世までは、それなりにはオモシロかったけど、どうしても耳慣れない固有名詞と勢力分布の移り変わりが激しすぎて、もやっとしています。ところがそれが、ナポレオンですっきり。つまり、坂井さんも潔く書いていますが、「ナポレオンが全欧州を席巻してしまう。そこで、ぶっちゃけ全て一度、ご破算になってしまいます。全部、短期間でもナポレオン趣味にされてしまう。つまりフランス革命的な共和制を輸出、植え付けてしまう。その後リバウンドがあって、ナポレオンは失脚、王政帝政が戻ってくるんだけど、もはや共和制的な萌芽は揺るがない。統一国民国家、共和制民主制の緩やかな受け入れの方向になっていく」ということです。ナポレオン、やっぱり大物です。

▼かなり間違っているかもですが、中世に栄えしドイツ=オーストリア、神聖ローマ帝国。ですが結局、栄華のゆえに新興国に植民地競争で大いに遅れをとり、ドイツは諸州諸侯の乱立闘争。さらにイギリス&フランスに18世紀~19世紀の植民地経営で出遅れ。結局、植民地経営=グローバル貿易、資本主義、合理主義=平民ブルジョワジーの台頭=共和制民主主義という流れに乗り遅れた。合理的に運営できる規模、すなわちオーストリアを切り離した小ドイツでの中央集権国民国家の成立、そして後発が故の軍事国家へ、鉄血宰相ビスマルクで謳歌した帝政末期の強国時代も、第1次世界大戦でオーストリアと共倒れ。ヴェルサイユ条約体制の経済苦境に、世界恐慌のダブルパンチでヒトラーの台頭・・・。

▼そう考えると、冷戦終結~グローバル化のリバウンドとしての民族主義の再台頭から、コロナショックのダブル経済打撃が、更なるヒトラーの台頭を呼ばないことを祈りたくなってきますが、それは2度の敗戦と冷戦に蹂躙された20世紀を過ごしたドイツよりも、20世紀を勝ち抜いてしまった海の向こうの大国の方が心配ですね。トランプ大統領、どうなることやら・・・。

▼さて、アーレントに上陸します。

0
2020年05月19日

Posted by ブクログ

さっくりとまとめてドイツについてわかる。読んでいるうちに、どうして現代のヨーロッパでイギリス、フランスと並ぶ主要国であるのかストンと腑に落ちた。

0
2019年04月19日

Posted by ブクログ

前半部分、ローマ帝国との繋がりは特に混乱しやすいところであり、一応概観を理解できたと思う。
また、現在までに連なるドイツの地方分権的性質がどのように育まれたかもよく分かる記述であった。
何よりドイツ史と言えば、ナチスの取り扱いに頭を悩めるのだろうが、第一次世界大戦以後からの民主主義との付き合い方の文脈で語ると、もしかすると国民は皇帝を求めていたのかもしれないという可能性を示唆してくれる。

0
2018年03月27日

Posted by ブクログ

☆☆☆2017年12月レビュー☆☆☆


ドイツとは何だろう?現在のドイツは19世紀に生まれた新しい国で、歴史を遡ればその地域には「神聖ローマ帝国」があった。自分なりに解釈すれば、諸侯連合のボスといった存在だったのだろうか。諸藩連合のトップの江戸幕府のようなものか? 


今回の読書で印象に残ったのは、オーストリアのヨーゼフ2世の改革だろうか。「啓蒙絶対主義」の国王により、農民開放や信教の自由がなされたというのは興味深い。
ドイツ統一から第一次世界大戦、ヒトラーの出現に至る歴史にも触れている。


ドイツを中心にヨーロッパの歴史を学ぶのに分かりやすい良著だと思う。

0
2017年12月18日

Posted by ブクログ

ドイツについての歴史講。日本は島国なので、一つの国としての歴史を講じやすいが、陸続きのヨーロッパにおいて、現在の国境による国家の歴史を語ることは容易ではない。それでも様々な変遷を紐解きながら関わりを重視し、ドイツ史を講じてくれる。細かい歴史考察ではなくて、あくまで移り変わりと関わり合いを重視した10講である。今の私の関心はローマ時代から中世に欠けてなので、6講までで満足している。読み返しながら、ノートをとる。フランス史のこれとも重ねながら読みたい。

15/3/16

0
2015年03月16日

Posted by ブクログ

ヨーロッパの中のドイツという視点で書かれている。ドイツ帝国から現代までの比重が高い。講の始めに関係年表があり、所々に地図もあるので資料性も高い。書かれた年も2003年なので最新の研究が盛り込まれており、講の区切りで読んでいくと大学の講義を受けている気分になれる。

0
2012年05月03日

Posted by ブクログ

「フランス史10講」にくらべ、少々著者の意見が多く含まれている本であった。しかしながら、マルクスやエンゲルスの「唯物史観」への多少の批判も含まれている。

イギリスとドイツは資本主義発達の比較対象として語られるが、その上では「イギリスやフランスは絶対王政を早いうちから確立したが(もちろん仏英はそれぞれ違うのが)、ドイツは封建制が色濃く残った。」とする議論である。しかしながら、三十年戦争が起こるまではそこまで分権的であったわけでもない、ようである。
またしばしばドイツの人口が3分の1が死んだとする三十年戦争という議論があるが、少し言い過ぎだそうだ。もちろんこれでドイツの発展がかなり遅れ、その上ドイツは立地条件的に東や西からの侵略に悩まされ、その上宗教改革などの対応にも追われるなどし、三十年戦争の復興は絶対王政を確立するための絶好の好機であったともされるが、その時期を逸してしまった感が否めない、とする。
またルターばかりが宗教改革を行ったかのような印象を受けるが、当時はカトリック教会自体の権威が揺らいでおり、その上ペストの流行や三十年戦争などの内乱が相次ぎ世の中の治安が悪化していて、比較的自由な空気になっていた。その上諸侯の権力が増しており、改革に乗り気な諸侯もいた、ということから、ルターの宗教改革が成功したともいえるようである。
その後のドイツ帝国の発展は、概ね帝国主義段階の政策と一致する。

また時代はかなり下りナチスドイツの登場の記述で、大衆の反逆という記述は、今の日本の国政にもかなり云えるような部分があるように思う。権利を主張し、きわめて自分に甘く他人に厳しい言論がまかり通っているのではないだろうか。もちろん意見を表明する権利は確かに与えられている権利ではあるのだが、果たして政治家にあらゆる行動を要求するのは、民主主義といえるのだろうか?それはポピュリズム―またの名を衆愚政治というのだが―ではないだろうか。ナチ党の言論はユダヤ人を攻撃対象としたが、これはポピュリズムの一類型と呼ぶに相応しいような気さえする。民主主義の意味を問わざるにはいられない。もう一度ジョン・F・ケネディ―もちろん彼の政治家としての評価は種々様々であろうが―もう一度「アクティブ・シチズン」の意味を問い直したい。

と、自分の読直後の記憶を頼りに綴ってみた。フランスと対比することにより、より深く考えさせられる歴史である。他人事ではいられない。

0
2010年05月21日

Posted by ブクログ

ドイツがいつからあるのかよく知らないことに気がついて、とりあえず通史を読んでみようと思い手に取った本。第一次世界大戦以降はある程度知っているがそれ以前となるとゲルマン民族大移動とかまで遡ってしまう。そういう状態からすると大まかな流れが分かって良かった。

0
2024年08月15日

Posted by ブクログ

新書の良さを生かした見取り図的解説。
現代ドイツの問題は長い歴史、特に18世紀以降の経過を理解しないといけないと諭された感あり。まぁどこの場所でも近現代史の理解は必須なんでしょう。前にも書きましたが、近現代史をベースに学校教育の歴史教科を再構築する(らしい?)という方針には基本同意です。

0
2021年03月07日

Posted by ブクログ

今まで気がつかなかったが「国民国家」として歴史を考えたとき、ドイツ史は難しい。フランク帝国、神聖ローマ帝国、ドイツ帝国、いずれも現代ドイツとイコールではない。

0
2015年10月19日

Posted by ブクログ

「ヨーロッパのなかのドイツ」を描くというスタンスで著されたドイツの通史。
領邦国家、連邦国家としてのドイツ、という性格が本書全体を通しての縦糸になっているように思う。
我々はつい簡単に一つの国家としての「ドイツ」という言葉を発するが、そうでない時代のほうが遥かに長く、そのような伝統に根差した国だというのは新鮮な発見だった。
そういった性格を持つドイツの歴史を見つめることで、欧州連合の行く末を考える視座とすることを狙いとしているようだ。

本書の分量からして仕方がないが、ある程度駆け足で話題の取捨選択もあるし、上記のように「ヨーロッパの中のドイツ」をテーマにしているため、まずこれで学ぶよりも、ヨーロッパ史の大略をしっかり頭に収めてから読んだ方がきっといい読書体験になるものと思われる。

自身のヨーロッパ史の知識が不十分だったことと、本書のスタンス、著者のやや生硬な文章があいまって、本書の良さを十分吸収できなかったのが残念。

0
2015年01月11日

Posted by ブクログ

正直興味のあるところしか読んでいませんが読みやすいしわかりやすいです。
プロイセンのところとフランスのところをニヤニヤして読みました★

0
2009年10月04日

Posted by ブクログ

やはりドイツ史は複雑だと思いしらされました。「神聖ローマ帝国」という概念を日本人はどう理解すればいいのか、未だに迷ってしまいます。とくに帝国が解体し再編されていく近代の動きは、本書は著者が近代史の専門ということもあり期待して読んだのですが、あまりよく分かりませんでした(というよりも、高校世界史でふれられている内容にはあまりふれていない)。新書という形ですから、あまり一部の内容を深く掘り下げずに、もっと概略的に、例えばビスマルクのフランス孤立政策やヴィルヘルム2世の新航路政策など高校生も知っているような内容に深く切り込んでほしかったと思います。

0
2009年10月04日

「学術・語学」ランキング