【感想・ネタバレ】意識と本質 精神的東洋を索めてのレビュー

あらすじ

東洋哲学の諸伝統の分析から得た根元的思想パターンを己れの身にひきうけて主体化し、その基盤の上に新しい哲学を生み出さなければならない。本書はこうした問題意識を独自の「共時的構造化」の方法によって展開した壮大な哲学的営為であって、その出発点には自分の実存の「根」が東洋にあるという著者の痛切な自覚があった。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

帰省時に改めて読み直した。大学入って最初に読んだ本。半年かけて1/3くらいしか読めんくてそこで断念した。
わかりやすいのに、1時間かけて数ページしか読み進められないっていう内容のその密度と伏線の張り具合に対して半年かけて戦ったおかげで、読書へのキャパシティが異常にあがった。そのおかげでそれ以降本読むこと自体のハードルが異様に下がった。
無意識を通した文化、宗教、言語が人の捉え方にどう影響するかっていう内容自体、全て自明のもんだと思ってた自分にとって全て新しくて、それからの人の思考過程に対する興味はこの本が原体験になって派生した。
東洋の思想が豊かだったっていう主張も、西洋が一番かっこいいし進化してるぐらいの知能やった自分にとって、目から鱗やったし、他の文化をもっと知りたいっていう志向性に繋がった。ひいては二元論的なものの見方を避けようと思うようになった。
っていう色んな点で、自分の原体験の一つになってる。読んでよかった本ナンバーワン

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2018年01月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『意識と本質』は、人間の意識の仕組みと、その奥に広がる「本質」の世界について、東洋思想の伝統を縦横無尽に駆使しながら探究した、井筒俊彦の驚くべき著作です。確かに、カスタネダがドンファンとの出会いを通じて体験した「別の現実」を、東洋思想の言葉で解き明かそうとしたら、こんな感じになるのかもしれません。
井筒の議論は、私たちの「普通の」意識が世界をどう切り分けているのかという分析から始まります。例えば、私たちが「これは木だ」と認識するとき、実は無限の可能性の中から特定のパターンを切り取っているんです。井筒はこれを「意味分節」と呼びます。面白いのは、この分け方が文化によって全然違うということ。まるでドンファンが、私たちの「普通の見方」が世界の一つの解釈に過ぎないと指摘したように、井筒も私たちの「当たり前」を揺さぶってきます。
でも本書の本当にすごいところは、その先にある「本質」の世界についての探究です。禅の悟りの体験や、イスラーム神秘主義での神との一体感は、普段の意識の仕切りを超えた「別の現実」との出会いなんです。カスタネダが砂漠でペヨーテと出会って体験した世界の見え方の変容と、東洋の賢者たちが伝えてきた体験には、不思議な共通点があるように感じられます。
井筒は、このような深い洞察を、様々な思想伝統を比較しながら展開していきます。イスラームのスーフィたち、道教の達人たち、禅の達人たち―彼らは違う言葉で語っているけれど、どうやら同じような「現実」を体験していたらしいのです。それは、ドンファンが語る「力の場」や「見ること」という体験と、どこか響き合うものがあります。
本書の面白さは、これらの探究が単なる机上の空論ではなく、人間の意識と存在の本質に迫る実践的な意味を持っている点です。私たちの「普通の意識」がいかに限定的なものか、そしてそれを超えた体験の可能性について、東洋思想の伝統は具体的な道筋を示してくれているのです。
現代を生きる私たちにとって、この本は貴重な道しるべとなるはずです。私たちの「当たり前」の認識を超えた世界の広がりを、東洋思想の言葉で鮮やかに描き出してくれているからです。それは、ドンファンが若きカスタネダに示した「別の現実」への扉を、哲学の言葉で開いてくれる本なのかもしれません。

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2024年11月27日

Posted by ブクログ

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いわずと知れた、「超・天才」。

「二十人ぐらいの天才が一人になっている」とは、司馬遼太郎の評。

日本におけるイスラーム研究の開拓者として知られるが、その分野は多岐にわたる。

この本を読んで、タイトル通り、「意識と本質」という、これほど言葉として表現するのに難しいことを、ここまで平易な文章で書き表せることに、驚嘆した。

一つの疑問を解消したいがために、様々な本を渉猟していたころ、この本に巡り合えたことに、感謝。

救いの一冊。

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2011年12月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サルトルは嘔吐で、神降ろしに失敗して、それが"得体のしれない"ものに見えた。悟りや禊を終えてないものが、偶然、原初の存在を見せられるとどうなるかを示している。

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2019年12月19日

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