あらすじ
膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから――「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。穏やかで知的で、権力への志向を持たず、ふつうの人々の中に埋もれてひっそりと暮らす人々。彼らは何のために存在し、どこへ帰っていこうとしているのか? 不思議な優しさと淡い哀しみに満ちた、常野一族をめぐる連作短編集。優しさに満ちた壮大なファンタジーの序章。
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Posted by ブクログ
自分は特別な人間かもしれない、と勘違いした経験は誰にでもあるのではないだろうか。
この話は世間にひっそりと紛れ込みながら、特別な力をもつ「常野」の人々のお話である。
恩田陸さんは私の好きな作家であり、幻想や不思議といったテーマが好きなので、このお話はまさに私の好みドンピシャの作品だった。
連作短編集で、内容も主人公も全て違うのに、全ての登場人物が関わっている。
昔好きだった人がひょっこりと同窓会に顔を出した時のあの感じ。物語が完結した後、またその主人公の息を感じる瞬間、たまらなく興奮する。
私は常野の人間ではないが、光の子供である。
ツル先生たちならそう言うだろう。
常野の人たちが私の隣で生活しているかもしれないというそこはかとないワクワク感が読後に感じられる。まさにタイトル通り光が感じられる作品だった。
Posted by ブクログ
【読むきっかけ】
・夜のピクニックが良かったので、奥様書棚にあった本作を手に取った。
・ジョウヤモノガタリ?つねのものがたり?
【感想】
・「とこのものがたり」かよ!
・「大きな引き出し」、「二つの茶碗」が良かっただけに、「光の帝国」が悲しすぎて、凹んだ。「達磨山への道」は、私には理解が難しい…。
・最後らへんでの心のつぶやき。『え?あと「黒い塔」と、「国道を降りて…」の2つしかないよ?量も少ないよ?大丈夫?伏線回収できるの?』
・「国道を降りて…」、で音楽ネタ。その道に進んだ光紀が出てくるのかと思いきや、出てすらこんじゃん!
・続きはないのか?続きは?(半ば怒り)
【あとがき】
・著者のあとがきを読んで、初めてシリーズモノの短編集と知る。
・著者も『今にしてみれば「大きな引き出し」の春田一家の連作にしても良かったなぁと、少々後悔している。』と書いてある。そうだよ。僕もそう思う。光紀の活躍が見たい!
【続き】
・ネットで調べると、常野物語は「光の帝国」、「蒲公英草紙」、「エンド・ゲーム」と続くらしい。ホッとした。ぜひ、続きを読みたい。
ひとまず、個人的に読んでて辛かったので、星3つです。続きを読んだら、変動するかも。
Posted by ブクログ
社会に溶け込んだ、不思議な能力を持つ常野一族を描く連作短編。
すべての話が繋がるわけではなくて、結局達磨山のことや、黒い塔がなんだったのかわからないまま終わってしまった感があるけど(あとがきを読むと、達磨山の話とかは別の長編物として考えられていたものらしい。)、最後は良い感じで終わった。岬と美咲はどういう関係なんだろう。一族全員が集って大団円ではなかったけど、色んな境遇の人がいるように、常野一族も色んな境遇のなか暮らしているんだというふうに感じた。
本筋とは異なるところな気がするけど、「草取り」の話ではっとするところがあった。
「この人たちがそれぞれに目的を持ち、やがては自分の部屋に帰るのだと考えると不思議な気がする。」
「力がある方向に働く時、必ず逆方向の力が起こる。」