【感想・ネタバレ】困難な結婚のレビュー

あらすじ

いま最も頼りになる思想家による
ウチダ流「結婚ノススメ」、待望の刊行!

結婚前の人は、したくなる。
結婚している人は、気楽になる。
そのためにこの本を書きました──内田樹

どうしたら良い相手が見つかりますか?
そもそもなんのために結婚するんですか?
お金がなくても結婚できますか?
本当にこの人と結婚して大丈夫でしょうか?
結婚式はやったほうがいいですか?
家事はどう分担したらいいですか?
もしも相手に浮気されたら?
結婚を長く続けるにはどうしたらいいですか?

──すべてウチダがお答えしましょう!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ふわっとしていた結婚や結婚生活についての捉え方が非常に明確になるだけでなく、葛藤や人間的成熟など哲学的な視点も豊富で、個人的には金言に溢れた一冊となった。
見方によっては、硬派で時代錯誤的な結婚観と捉える人もいるかなとは思ったが。
「祝辞」も示唆に富み、読み応えがあった。
以下、気になった内容の要約

■結婚
・結婚というのは、
①「病めるとき」や「貧しいとき」といった人生の危機を生き延びるための安全保障契約
②配偶者双方にとって市民的成熟のためにきわめて有意義な訓練の場
・配偶者を選ぶときに絶対見ておくべきは、「健康で、お金があって、万事うまくいってるときに、どれくらいハッピーになれるか」のピークじゃなくて、「危機的状況のときに、どれくらいアンハッピーにならずにいられるか」、その「危機耐性」


■結婚式
・結婚式の本質は、男女の結びつきという私的な出来事を、公共な場において公開し、参列した人々に向かって「誓言をなす」ということ
・人を好きになる、一緒にいたくなるという心情そのものの起源を人間は誰も知らないから、結婚式に神さま仏さまを「ステイクホルダー」としてお招きし「神頼み」することが大事


■結婚生活
・傷だらけの中古車を運転しているような気分で結婚生活をしていると、そのうち大事故が起きる
・家庭には「ボス」がいた方がいい
・自分にはよくわからない人といっしょに暮らせるということ、そんな人と折り合ってゆけるような幅の広い「ゆるい」空間を作り上げること、結婚する前は共有されていなかったものが気がつくといつの間にか共有されていること(だんだん似てくる)が結婚のおもしろみ、醍醐味
・その「よくわからない人」がいつも自分のかたわらにいて、いっしょにご飯を食べたり、しゃべったり、遊んだりして、支えが欲しいときには抱きしめてくれる、それって感動的じゃないですか
・結婚生活にかぎらず他者との共同生活を適切に営む上でいちばんたいせつなことは「機嫌がよい」ことであり、そのためには目標を低めに設定してひとつずつ積むこと、機嫌がよいを先取りすること
・さまざまな微細な「不調」が加算されて、水がコップのふちからあふれそうになったときに、「最後の一滴」となるのが、だいたい家の中のいさかいなので、ちまちました補正によって「コップのふち」までたまっていた水を、「コップのふちから指1本分」くらいまで水位を下げておく努力の積み重ねが夫婦の危機を解消する唯一の方法
・結婚生活が破綻しかけたときに最後の支えになるのは、「私たちの結婚生活というのはたまたま二人の合意によって成り立った暫定的な制度ではなくて、山や川や海のような自然物と同じく、存在すべくして存在しているリアルだ」という確信犯的な嘘
・結婚ははじめから公共的なもの「である」わけじゃなく、公共的なもの「にする」ための日々の努力が結婚生活を支えている


■家事
・家事なんて気がついた方がすればいい、厳密に区別するとグレーゾーンに落ち込んだ家事は誰も手を出さなくなり家の中はたちまちカオス
・家事分担のおすすめは「家事は誰の担当でもない」というルールを採用すること、これを長くやっていると、阿吽の呼吸でなんとなく予測が立つようになる
・女の人がものを置く秩序については、あなたの理解を絶した秩序に従って構成された「都市」の風景を見ているようなつもりで「鑑賞する」という立場に徹底することをおすすめ


■哲学的内容
・ある特権的条件においてのみ発現してくる唯一無二の「ほんとうの自分」なんてものはなく、ぜんぶ等しく同格の「自分」
・仕事を「続けるべきか辞めるべきか」はシンプルな基準で判断せず、悩み、できるだけ葛藤した方が成長できるからいい
・仕事選びや結婚相手などの本質的な問いにシンプルな一般解などなく、そのつど唯一無二の特殊なケースなので、真剣に葛藤しないといけない
・葛藤とは、「自分固有のオリジナルでパーソナルな判断基準」を手作りするための生成的なプロセス
・たった一つの正解に固執するせいで、さっぱり問題が解決しないということより、「正解はなんだろう」と悩んでいるうちに、気がついたら問題が消えていた…という方が効率的だし現実的
・ランダムに生起しているかに見える移ろいやすい現象の背後に、ある種の美的な階調というか、数理的秩序というか、多いなる意志が存在すると直感することは、自分たちが閉じ込められている「いま・ここ・わたし」という「檻」から一歩踏み出すことを要請するため、人間的成熟にとって必要不可欠
・転機というのは、不意に、なんの脈絡もなく、でも、抵抗しがたい圧倒的なリアリティを以て切迫してくる
・病気になっても、投獄されても、人に裏切られても、裏切っても、何かを失っても、何かを得ても、それらの経験のうちに無駄なものは一つもなく、「人生の厚み」が増す
・およそ人間が経験できる極限まで経験してきた人が読んでも頷かせるだけの迫力がないと哲学にならない
・他者に対する好奇心は、自分に対する好奇心に相関する
・ある年齢を過ぎた人間に「人生観を変えろ」と言うのは無意味で、問題をこじらせるだけ

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2023年03月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

結婚について
幸せになるために結婚するのではない。
不幸にならないためにするのだ。


『狼少年のパラドクス』
少年が狼が来るぞ!と言ったのに、狼は来なかった。
いつのまにか、狼が村に来て人を食べちゃえばいいのに、と考えてしまう。
人間は、発言したことは実現してほしいと考えてしまうもの。

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2020年09月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

久々に面白い本読んだー。くすっと笑えるポイントがたくさんあるし、読んでいて納得できる部分も多い。とにかく語り口が楽しい♪ 結婚20年を経たから楽しめる本?(笑)
*****************
P61
若年労働者を追い込むことで短期的に企業の収益は上がりますけど、若い人が結婚できないから子供が生まれず、人口が減少すれば、一世代先には賃労働者も消費者も激減して、市場そのものが消滅する。短期的に市場の要請に従っているうちに、長期的には人間も市場も消えてしまう。そのことをグローバル資本主義者たちは別に気にしていない。一世代先のことなんかどうでもいいからです。当期の利益が最大化して当期の配当が最大化して、自分の個人資産の残額が今増えるなら、先のことなんかどうでもいい。ほんとにそう思っているんです。
そういう、「今しかない」人たちが今の社会の制度を作り、運営している。


P62
よほど例外的に能力が高くて、高い生活水準を維持できそうな人しか結婚できないように制度がつくられている。
話は逆なんです。こういう風に作られている社会そのものの原理と「戦う」ために結婚して、子供を産み、育児をして、教育をするというふうに考えないといけないんです。
だって、結婚をして子供を産み育てるというのは、「人間としてごく普通のことだからです。。。。「普通の人なら誰でも結婚できる」のがデフォルトなんです。。。。今が異常なんです。
だから、社会制度はずっとこのままで、その中で結婚して幸福になるためには「どういう風に個人的努力をしなければならないか」ではなく、ふつうの人間なら誰でも結婚できて、愉快に暮らせるために「社会制度はどうあるべきか」を問わなければならないんです。

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2018年01月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2019.12.15

【感想】
なるほど、そんな考え方があるのかあ、となる本
結婚に対して「キラキラしたもの」「憧れ」という認識があったのだけれど、

「今よりも不幸にならないように結婚する」
「結婚は社会契約である」

の言葉たちが少し冷静にさせてくれた

そして自分がパートナーに多くを求めすぎていると反省
「よくわからない人」と共に生活していることは感動的なのかそうかそうか…

【印象に残った言葉】
目の前にいる人よりもっとましな相手がいるんじゃないか(略)というのは「自分はこの程度の人間じゃない」という自負の裏返しです。(P24)
→耳を塞ぎたくなる人多そうだなあ(笑)

配偶者が変われば、あなたは別の人になる(P35)
→たしかに彼が本当のわたしを引き出す!なんてありえないよな、ぜんぶ本当のわたしかあ

人間というのは、自分の判断の正しさを証明するためなら自分が不幸になっても別に構わないと思う、(P117)
→そうなのかもしれない、変な備えと変なプライドは捨てたい

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2019年12月15日

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