【感想・ネタバレ】百日紅の咲かない夏のレビュー

あらすじ

父の事故死、母の出奔で別々に育てられた姉弟が、十年ぶりに再会した。以来、十七歳の弟は、二十歳の姉を週末ごとに訪ねる。夜、姉の布団で幼子のように身を寄せながら、歳月の重さと互いの愛の深さにおののく二人。その年、北国の町では怪しげな商事会社が暗躍し、孤独な二人に危険な人間関係がからみつく。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

すごいおもしろかった。たぶん三浦の言う北の悲劇に該当する話なのだろう。当たり前なのだが現代小説として読んでいけるその当たり前さに、この作家が生涯現役で作家として居続けた事実をおもわずにはいられない。昔の作品を読んでいる、ないし今の時代でないものを読むときの硬さがなく、それでいて作家性をかんじる。僕は今まで三浦を読む時に、「忍ぶ川」や「白夜を旅する人々」のような彼の根底にあるテーマ性と直結したところで読みがちだったが、この小説はただただ読めた。すごくいい意味として。つい最近、「愛しい女」を読んでから、あそこに出てくる登場人物のことを時折ふとおもいだす。そうだそうだ、小説ってこんなだったかも、と忘れかけていた感覚を呼び起こしてくれた。本作も何日か後になって作中の彼らを思い出しそうである。

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2022年02月26日

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