あらすじ
見てもいるし、覚えてもいる!科学の最前線が解き明かす驚異の能力!視覚、聴覚、嗅覚、位置感覚、そして記憶――多くの感覚を駆使して高度に生きる植物たちの「知られざる世界」。
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Posted by ブクログ
植物にも、視覚、嗅覚、触覚が備わっている。植物は案外、ヒトに近い存在なのかも知れない。
ヒトには1種の光の明暗を感じる細胞と、3種の光の色を感じる細胞があるのに対し、植物には11種類の視細胞を有している種がいる。青い光で体内時計を調節し、赤い光で活動を休止するなど、生息地を移動できないからこそ、より繊細に光を感じている。
植物は揮発生ガス(エチレン)に対応する受容体を有している。この他の受容体もあると考えられるが、まだ見つかっていない。エチレン受容体によって、ツル植物は寄生したい植物に優劣をつけ、小麦ではなくトマトの方へツルを伸ばす。
植物は刺激を感じると成長を止めることがある。これは外的環境が不安定なときは植物の丈を高くするのではなく、植物を頑丈にする方へシフトするからである。
また、植物の尖端にも平衡石があり、重力によって上と下を判断している。平衡石が接している側を早く成長させることで、植物は天に向かって伸びる。光を感じたほうの逆側を早く成長させることで、光に向かって伸びていく。ツルが接した方とは逆側を早く成長させることで、真っ直ぐ伸びていたツルは目的の植物に巻きつく。
聴覚は未だ発見されていないが、動物の難聴に関わる遺伝子が植物にもある。音楽を聞かせると植物はよく育つ言われているが、科学的な根拠はない。
ハエトリグサの閉じるための記憶はイオン濃度に由来する。また、親がストレスを経験したとき、これが遺伝子の活性箇所に影響し、それが子に遺伝して、ストレスに強い子が育つことがある。遺伝子の非活性は、糸状のヒストンタンパク質がDNA二重螺旋に絡み付くことで、転写が行われないために起こる。再活性化のメカニズムはまだ分かっていない。
祖先は同じだったため、植物はヒトと同じ遺伝子を保有している。植物も電気信号を使って情報を伝達している。
植物は成熟するとエチレンガスを放出し、これを検知した他の個体は一斉に果実を成熟させる。成熟タイミングを合わせることは、花粉・種子拡散生物を多く呼び寄せ、生存競争に有利に働く。害虫による侵食を検知した葉はある種のガスを放出することで、そのガスを検知した他の葉が対抗物質を生成し、害虫に食べれないようにする。