あらすじ
細川邦子(48)は兄・三樹男(53)に憤っている。父・滋(82)の面倒をみるというから、兄夫婦に実家を明け渡したのに、父のぼけがはじまった途端、兄嫁・登喜子(56)が家出をしたというのだ。嫁にガツンと言えない頼りない兄に父を任せるわけにいかない……期せずして、邦子の介護の日々が始まった。
田代朝子(54)は看護師の仕事を辞し、寝たきりの母・チヅ(78)の介護中。そこに、リストラされた弟・慎一(53)が転がり込んできた。職探しもしない弟のために家計は逼迫、朝子は広尾にある高級介護付きマンション「セブンスター・タウン」で働きはじめる。
丹羽さつき(52)はセブンスター・タウンの従業員。80間近の父・貢と、母・ヨシ子はともに元気で、周囲にうらやましがられるほどだったが、父にがんが見つかり、闘病むなしく死去。母の老いもにわかに進み、さつきの平穏な日々は終わりを告げた……。
坂道を転げ落ちるように悪化する父の認知症。より時給のいいパートを探し、セブンスター・タウンで働きはじめた邦子が目にしたのは、入居費8000万円をやすやすと支払い、ホテル並みの施設で悠々と暮らす豊かな老人たち。母を手頃な施設に入れることに決めた朝子も、老いた母と困窮していくさつきも、自らの状況と、セブンスター・タウンの住人たちとの「格差」に愕然とする。いつしか3人は力を合わせ、親を空き部屋に住まわせたり、ぼけた入居者と自分の親をすりかえたり、それぞれの危機を乗り越えるため、一世一代の「計画」を企てる!
はたして「貧者の逆転劇」の結末は??
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Posted by ブクログ
超高級老人介護施設での出来事を、そこで働く3人の女性自身の親の介護を絡ませながら描かれた物語。
物語の前半は、普通の女性が親の介護をするうえで起こるいろいろな人間関係の問題、トラブルが描かれており、面白みが感じられず嫌な気分にさせられて何度か読むのを止めようかと思った。この小説は毎日新聞に連載されたものらしいけれど、新聞小説だったら私は読み続けるのを止めただろう。
読み進める内に、従業員の親を偽って超高級介護施設に入れてしまうという奇想天外な展開となり面白くなってきたが、結末が介護施設に籠城して警察沙汰になるというのは如何なものか。。。自分達が警察に捕まり、今後、親の介護はどうするつもりなのだろうと、変な心配をしてしまう。
もっとハッピーエンド的な結末を期待していたのになぁ~
「我らがパラダイス」という題名の意味も私には分からない。。。
Posted by ブクログ
「介護は優しい人間が負けるのだ。親を思いやる心を持ち、常識や気配りがある方が負ける。」痛い言葉が、しばらく心に残ったまま。そして、気づく。誰も救い出してくれない。
最後は、ハッピーエンド? お仕着せの高級介護施設を出て、自前で高級な老人ハウスを作って住む。看護師と介護士を雇って。当然、入れるのは「金持ち」だけ? きっと邦子さんらは、きっと、呼ばれることはない。
GM福田さんの”アリとキリギリス”論が正論に思えてくるのが怖い。「年取るのもボケるのも、予想できたハズ。将来の見通しを立てて準備するのが当たり前」、と。ふと、考える。私たちは過渡期にいるのだろうか? 古き良き時代の日本はどうだったのだろうか? たまたま、私たちの時代だけが、介護の問題に直面しているわけではないでしょうに。
そして、私たちの世代は考える。このような”介護”の問題や苦労を、次の世代には持ち越してはいけない、と。そして、そのためには、介護施設充実させることではない。きっと、介護を必要としない身体(人工四肢のようなロボット)かもしれない、と。
Posted by ブクログ
介護に奮闘するおばちゃん達っていう内容を想像してたんだけど、あまりにハチャメチャでありえないなぁって少し冷めました。
でも、それくらい介護というのは大変なのかもしれないと怖くもなりました。
Posted by ブクログ
日本一の高級老人ホームが舞台とあったからさぞやお金持ちなご老人達のドロドロ関係が描かれるのか、と思っていたら前半はそれぞれ介護の問題で追いつめられる従業員の話で読むのが苦しかった。できるだけ頑張ろうとしているのにお金がなくて報われないのはやり切れない。しかし職員で協力して親と入居者をすり替える展開になってから最後の立て籠もりまでは陽性なので読後感は軽くなった。切羽詰まってるからやっても仕方ないじゃない!と正当化しているけどいやでも普通に犯罪ですから。