あらすじ
1920年ドイツ。表現主義と抽象全盛の時代に突如現れ、束の間妖しく輝き、やがてナチスの「血と大地」の神話の陰に消え去った、幻の芸術があった。歴史の狭間に忘れ去られた画家たちの軌跡を克明にたどり、仇花のごとき芸術の誕生と死を通して、ある時代の肖像を鮮やかに描きだした名著。
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Posted by ブクログ
魔術的リアリズムは別の本で名前だけは知っていたけど、それを掘り下げるにはマイナーな分野である。第二次産業革命後の技術革新と戦争不安でわちゃわちゃしてる時代の文化ってめちゃ魅力的。日本の文豪の時代とか、今の感覚でなかなか生まれない面白さがあった。背伸びしすぎて前提知識足りんかったけど、ちょっとだけ魔法使えるようになりました。部分的に再読したい。
Posted by ブクログ
魔術的リアリズム、新即物主義。日本ではそれ自体がマイナーな派閥ではある。しかしそんなマイナーな派閥の中でも筆頭格として名を挙げたベックマン、カーノルト、ディクス、グロス、ショルツらではなく、本国でもマイナーな気味(らしい?)な画家たちにスポットライトを当てている。
シュリンプフやグロスベルク、ヴァッカーをはじめとした日本では中々お目にかかれない彼らの貴重な日本語資料。有難い。
しかし少し触れられたディクスの箇所に誤りがありました。彼は左派ではありません。作品についての解釈が寛容であり、左派の友人たちも多かっただけで、本人は政治的な立場を明確にすることは避けていました。こちらは1988年に神奈川近代美術館等で開催された『オットー・ディックス』展の図録で確認が取れます。