あらすじ
国家なんて要らない。資本主義も、社会主義や共産主義だって要らない。いまある社会を、ひたすら自由に生きよう──そうしたアナキズムの思考は誰が考え、発展させてきたのか。生みの親プルードンに始まり、奇人バクーニン、聖人クロポトキンといった思想家、そして歩く人ルクリュ、暴れん坊マフノといった活動家の姿を、生き生きとしたアナーキーな文体で、しかし確かな知性で描き出す。気鋭の思想史家が、流動する瞬間の思考と、自由と協働の思想をとらえる異色の入門書。
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Posted by ブクログ
著名なアナキストたちがどんな人生を送ったか、どんな思想を持っていたかを残した作品。まさしく入門。左翼の中では本流となれず、インターナショナルでもアナキズムが迫害されているのは心が痛んだ。しかしアナキズムってかなりの部分性善説に依拠していると感じ、実社会では限界もあると感じる。理想は素晴らしいが。
Posted by ブクログ
ちょい軽めのバイブスで語られるアナキズム・アベンジャーズ(わたしはクロポトキン、ルクリュ推し)
世界がまたも軍事による緊張状態にある中、いまこそ読むべきタイミングだと思って手に取りました。プルードン、バクーニン、クロポトキン、ルクリュ、マフノ。これら19世紀から20世紀のアナキストたちがいかにして権威に反抗し、自律した社会をめざしたかを紹介した本です。聖人、暴れん坊、変わり者など各々のキャラクターも色とりどり、推し活できそうなほど役者が揃っています。
『アナキズム入門』というタイトルや、ちくま新書のレーベルイメージから感じるようなお硬さはまったくありません。とてもくだけた文体で読みやすかったです。どれくらいくだけているかというと〝なんか、ムカつく〟が平気で出てくるくらいカジュアル。いい意味でとても軽々しいです。ノリで歌の歌詞を文中にぶっこんだり(ディアンジェロ、Suchmos、ゆらゆら帝国など)、時に博多弁まじりだったりとおふざけもしばしば。
クセ強な文体ですが、わたしは好感が持てました。著者は文章からも権威的な堅苦しさを抜きさることで、文体も含めてまるごとアナキストであろうとしているかのように感じたからです。語りかけるようであり、かつ詩的なバイブスを感じます。
しかし、だからこそこの手の文体は怖いとも思います。初心者に寄りそうような親しみやすさの裏側で、危険な魅力に満ちているので、プロパガンダ的にコロッと影響されてしまいかねないのです。実際にこの本は、読者との距離をガンガンに詰めてこようとする著者のエネルギーを感じます。こちらのガードが追いつかず、心の芯を右ストレートで打ち抜かれてしまいかねない。もしわたしが10〜20代でこの本を読んだら、1Rノックアウトで著者に心酔しただろうな、とすら思いました。
著者が繰り出すキラーフレーズもたくさん。
〝当たり前のことを、制度でできなくさせて、考えないで済むようにしむけ、しかし金だけは吸いつくし、国家だけが肥える〟
〝本当はみんなアナキスト〟
〝私たちは虫である、動物である、人間である、自然である。ただ生きている。生そのもののあり方、それがアナルコ・コミュニズム〟
etc、etc…
著者が放つ軽妙で快活なエネルギーは、やばいです。人たらしなんだろうなあ。究極の助け合いを目指すアナキストたるもの、人たらしでないやっていけないかもなあ、なんて思いました。
自然であることこそ、アナキズムだという考えにはうなずくものがありました。アナキズムは自然、そういう意味ではナチュラリズムとも結びつきます。国というシステムは、地球が用意したものではありません。人間が作り上げた概念です。地に足をつける。自分が触れているこの大地は「国土」ではない、本来はただただ大いなる自然である大地だった。国があることが当たり前すぎて、国がない生活というものを具体的に思い浮かべることが、今のわたしにとっては難しいですが、動物の社会や未開地域の人々の社会が想像のヒントになりえます。
人類史上はじめての革命であるフランス革命、そしてロシア革命へと続く権威をひっくり返した革命の歴史を知ることができましたし、文化人類学や地理学とも密接な関係にあるアナキズムのその根本的な考えも学べて、いい読書になりました。見返りをもとめないまま与える〝互酬性のない贈与の関係〟、わたしもチャレンジしていきたいと思います。まずは第一歩、飲食店のトイレでペーパーが切れそうになったら積極的に新しいペーパーを用意しよう、とか(笑)。資本主義のせいでケチがうまれ、助け合うことができなくなるから、お金も心もケチになってしまわないように、とか。
武装、戦闘による革命をわたしは望みません。なんの因果か、SNSのタイムラインで流れてきた、いとうせいこうが先日ライブで放ったこの言葉を最後に。
「戦争反対!革命上等!非暴力上等!」
Posted by ブクログ
色々な意味で息苦しい世の中だなと思っていた時、ふと話に上ったアナキズムについて知るために読みました。紹介されているアナキスト5人は経歴も方法論も異なるけれど、ただ1点、優しい心の持ち主であることは共通していて、単に無政府主義と捉えていた見方が変わりました。
Posted by ブクログ
サクサク読める平易な文体ながら、アナキズムの入口の淵を覗きこむことができるとともに次に読む一冊まで見つかる。
自分の身の回りの社会に疑問を持ち始めた方にオススメ。
Posted by ブクログ
門外漢が興味を持つのにはいいと思う。口語調なので、新書を読むことが苦手な人にも抵抗はないと感じる。
アナーキーというと、パンクだったり暴力的で無秩序というイメージだったが、国家に頼らず合議制で決めていく等と目から鱗が落ちることが多かった。
意外だったのは、登場人物のふたりが地理に通じており、文理が分かれる前には歴史や地学など、総合的な学問で、営業を与えたかもしれないと言うこと。
Posted by ブクログ
アナキズムの入門書として、著名なアナキスト5人の人生を伝記の様に学べる。フランス革命、パリコミューン成立、ロシア革命を完全に理解すればさらに深く理解出来そう。
Posted by ブクログ
アナキズムがどのようにして生まれて、どう広がっていったのか、各重要人物の人生を追っていく形で解説されていた。
何を勉強するにも全ては歴史があると最近ようやく理解できてきた気がする。
アナーキーは無秩序主義とされてしまうが、もともとはアナルシーというギリシャ起源の言葉で「無権力」という意味だった。
それが、今になって形が変わっていったそう。
そう考えると、アナキズムと共産主義は似ているなぁと感じたが、
両者の違いは共産主義はどこまでいっても国家という権力が存在しているが、アナキズムは最初から国家という権力は最初からは必要ないという違いなのだろう。
もっと深くは異なるのだろうけど、今の段階ではこのくらいの理解しかできていない。