あらすじ
確率をめぐる数学的考察は、賭け事に関してパスカルとフェルマが交わした往復書簡に始まると言われる。組み合わせの概念に基づく古典的確率論は、20世紀になるとボレルやコルモゴロフの手により、集合論に基礎づけられた「現代数学」へと大きく飛躍した。本書はその確率論の古典と現代とを橋渡しする目的で書かれており、トランプやサイコロ投げといった初歩的な具体例を豊富に示しつつ、抽象的な数式の意味を読者にわかりやすく説く。高校数学で習う確率を、より深く学び直すことのできる入門書。
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Posted by ブクログ
はしがきにもあるように、古典確率論からコルモゴロフ以後の公理的な確率論への橋渡しとしての役割をもつ良い入門書です。
全体の議論は(最終章を除いて)有限加法的な事象に限定されています(一応最後の章に無限個の確率事象の和・共通部分への拡張が言及されており、ルベーグ積分や測度論への導入がされていますが)。より専門的な公理的確率論の本を求めているのであれば、この本の内容だと大分物足りなさを感じるかもしれません。未読ですが、同じちくま学芸文庫で出版されているコルモゴロフ『確率論の基礎概念』などをこの本の後に読むと良いかもしれませんが、そこまで買うならちゃんとした確率論の教科書を一冊買って読み込んだ方が結果的に経済的な気もします…
とはいえ文庫本で値段も比較的安価かつ持ち運びも容易なので、確率論に対する考え方を見直すのには丁度良いと思います。