【感想・ネタバレ】天国からの銃弾のレビュー

あらすじ

もと消防署だった建物を購入した男は、施設の一部として残った「見張り塔」から、毎日写真を撮りつづけた。聳え立つ富士を背景に、ソープランドの屋上に立つ“自由の女神像”。ある日、その女神の目が異様に赤く光る瞬間があることに気づいたとき、男の平穏な日常を襲う衝撃的な事件が……。(表題作) 奇抜な着想で鬼才が放つ、トリック&サスペンスの傑作!

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

ストーリー発想の奇抜さ、奇抜なだけで終わらない構成力、最後まで読者を飽きさせない登りつめるような収束力。島田荘司さんの作品は私に本を読む楽しさを教えてくれる。ミステリの醍醐味が主人公と一緒になって謎解きをする面白さだとすれば、三作品からなるこの『天国からの銃弾』はミステリの王道だと思う。また島田作品を読みたい。

0
2015年01月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

島田氏の短編集としては珍しく吉敷も御手洗も出てこないノンシリーズ物ばかりだった。短編集とは云え、一番短いのが冒頭の「ドアX」の70ページでその他2編はどれも100ページを超える作品で、どちらかと云えば中編集といった方が正しいだろう。

ハリウッド女優を夢見る女性のあまりに出来すぎた世界が語られる「ドアX」はその明かされた真相からして長編『眩暈』の変調のような味わいがある。最後に志賀直哉氏の短編「出来事」を髣髴させるところは作者の手腕だが、「ドアX」の正体が途中で判るのが災いして却って蛇足になった感がある。

次の「首都高速の亡霊」はタランティーノの映画に触発されたような内容で、ある一点から語られる凶事がそれぞれ登場人物の視点、立場で語られることでからくり仕掛けのおもちゃを見ているようで結末の恐ろしさが強調されるというより物語進行のユニークさが印象に残った。最後の死体が首都高速の外灯に持たれるように偶然腰掛けるような姿勢になるというのがどうしても想像できず、これさえもっと簡潔であればすっきりした好編になったのだが。

最後の「天国からの銃弾」は島田的ロス・マクドナルド調綺譚といった感じで、結構好きな一編。
定年退職した老人の富士山を撮り続ける趣味を発端として息子のソープランドの屋上での首吊り死が起き、その事件の真相を調べていくうちに息子夫婦の知られざる暗黒が次第に明かされていく。
しかしこれには一点、大きく物語のリアリティに欠ける部分がある。主人公の老人がプロ級の射撃を持つ、その事ではない。毎週射撃の練習を神奈川県のど真ん中でやる、これも瑕疵ではない。それは息子夫婦が常に覚醒剤の常習犯になっていたこと、しかも結婚する前からだという事だ。もしこれが本当ならば彼ら2人の子供に何か障害があって然るべきだ。文中にもし「孫は不幸なことにどちらかと云えば周りの子達よりもいささか知恵遅れのようだが、老衰の身になってみればそれさえも可愛さを倍増するだけなのだ」などという一文があれば、最後の彼ら家族の暗黒はもっと現実味を帯びていただろう。

以上3編、どれも佳作だがそれぞれに弱点や瑕疵を備えているので今回は3ツ星とする。

0
2020年11月11日

「小説」ランキング